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大仏様の声

朝日新聞のシリーズ「語る 人生の贈りもの」
先日まで、歌舞伎俳優、松本白鸚さんでした。

 「ラ・マンチャの男」を何回演じられたのだったか。
「語る」シリーズはもっとお話がありそうでしたが、もう終わっちゃうの?と思いました。

 ある回に、興味あるお話をされていました。大仏様の声を聞いたという話です。ここは記事を引用したいと思います。

「勧進帳」の弁慶は、16歳で歌舞伎座の子供歌舞伎教室で初演して以来、47都道府県を回って演じることができました。
 千回目は、08年、奈良・東大寺の大仏殿前にもうけられた特設舞台での上演でした。夜空に浮かぶ満月と、東大寺のいらかを背に弁慶を演じていると、大仏様の声が聞こえてきました。
 「人に感動を与えるということは、なかなかできないこと。できないことをなりわいにしているのだから、一生励め」

(2023年10月4日朝刊より)



  想像するに、神々しい光景です。
  一口に1000回と言っても、そこにはどれだけの稽古と精進があったのでしょうか。受け継がれてきた伝統の力もたぶん加わっています。惰性などはみじんもなく、毎回真っさらな気持ちで真摯に演じてこられたと思います。だからこその大仏様の声。


 この前、ジャズの日野皓正さんが天の声を聞いたという話を書いたので、関連で書きました。  
 同じですよね。挑戦し続ける姿勢。努力。無の境地、芸の極致なのかもわかりません。「一生励め」これ以上ない承認と応援、そして白鸚さんの決意です。

 私もそこまで何か極めてみたいと思いますが、努力も精進もなければ絶対にかなわない。昔話の、「よこしまなおばあさんが、お宝だけ手に入れようと企て、しっぺ返しをくらう」なんて話を思い出しました。


*画像お借りしました。東大寺の大仏様です。

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