友人が新曲について書いているのをみて書かねばと筆をとった。

実はふたつ新曲を作った。

ひとつめは『ソドレソ』。
3月くらいに作っていたフレーズに音を足して出した。
正直過程はほぼ覚えていない。
音をつけながらこれは違う、これは違う、これかしらん、を繰り返して練ったイメージだ。
というか全曲そういう作り方をしている。
音楽理論なんかもあまりわかっていないので勘に頼っている。
体良くいえば自動手記的というか、思考から逸脱した脳の領域で作っている感覚がある。
タイトルは後ろで「ソドレソ(移動ド)」と鳴っているのが気に入ったのでそのままつけた。意味はない。

ふたつめは『pendulum』だ。
これってカノン進行なのかしら？
やはりというべきか、感覚ばかりだと似ているものを作ってしまう。質量が伴えば個性なのだけれど。
「作らねば」という切迫感が先んじて、これだという音を選べていないように思う。
たまたまそれが感覚とずれた音になって、時折感覚通りの音と重なる。
繰り返しが振り子のようだと思ったのでそのまま名付けた。

満点のものかと言われればそうではないが、あとから聴いてみると悪くない。
少し前までの自分は作品が完成せず煮え切らないままだったのだが、この完璧主義というべきか、100点じゃないと世に出したくないという感情が邪魔していたのだなと今更自覚する。
今のところ音楽は60点から80点のものを作っている(音楽にしろ絵にしろ100点のものが作れる日なんて来ないのだろう)。

友人からたびたびセンスがある、才能があると褒められる。才能があるというのは飲み込みが早いということで、飲み込みが早いというのは観察眼に優れているということなのだけれど、これはひとつの呪いだという言説がある。
いざ自分がものを作ろうとすると手より目が肥えていて、自分のものに満足できず作り上げられないという話だ。
おもしろいかもと書いたが聞き飽きた話だ。それに過ぎたことだ。才能なんてものに甘んじているうちはそこから出られない。言う方も言い聞かす方も。

作ったものはSoundCloudに上げてInstagramのストーリーにひとつ投げるだけで、プロフィールには一応リンクを貼っておいて、と私のことがよっぽど好きでないと辿り着けないようにすることで自意識過剰を守りつつ制作を進めている。
だからこそ聴いてくれている人がいるととても嬉しく思う。noteを読んでくれている人も3人もいないのではないかしらん？　読んでくれて聴いてくれてありがとう。

ゆっくりとまわるものが好きだ。
メリーゴーラウンド、オルゴール、観覧車、雲、星空……。
三秋縋(敬称略、こういうときどう呼べばよいかわからない。さん？　先生？)の小説で読んだ一節なのだけれど、いつの間にか自分にも染み付いている。

少女終末旅行(完結済み)という作品が漫画で一番好きなのだけれど、友人にずいぶん貸していたのが戻ってきた。
久しぶりに読み返すとやはりいい。
遠い未来、度重なる戦争により文明は衰退、人類はほぼ滅亡した世界を旅するふたりの少女、チトとユーリ。
ふたりは何を求めるでもなく彷徨い、ただ生きるために生きる。
それがどれほど尊いことか、難しいことか、普遍的なものか……。
戦争というもの、本というもの、知識というもの、科学というもの、文明というもの、生命というもの、失われた文明の残骸を前に少女らの問い続けることが可愛らしく、美しい。


※ネタバレ注意、読み飛ばしてくれてよいよ

最終巻、最上層に続く螺旋階段を登るシーンが一番好きだ。暗闇の中ふたりが手を繋ぎ、言葉もなく時折手を強く握り、握り返し、そうして階段を登っていく。その応酬にチトはユーリとひとつの生命体になったような錯覚を覚え、だとしたらこの肌に触れる空気も、螺旋階段も、都市も、海も、すべてが繋がっていてひとつの生命体なのかもしれないという考えに至る。
生きるために生きるということ。すべてが繋がっていて、生きており、いずれ死にゆくということ。これほど美しい瞬間はそうそうないと思う。

※ネタバレ終わり　読んでくれてよいよ

それもあってここ最近考えているのは「まわるということ」だ。
生命とか、生活とか、音楽の構造も、すべてが螺旋に絡まり、ひとつになる。

その螺旋の一部になるのも善し(どう足掻いてもなってしまうのだけれど)、願わくば螺旋そのものを写したい。



おまけ
数日の間闇に堕ちていた。就職活動は危ない。

ずっと話していないからか、以前書いた好きな人に恋愛感情の好きがなくなってきた。私と話してほしいというのは消え去り、元気で生きていてくれたらそれでよいとだけ思う。

人を踏みつけにはしたくない、という想いは年が経っても変わらない。繊細さを捨てたくはない。

少女終末旅行についてはまた詳しく書こうと思う。新曲も作らねば。

思えば振り子(pendulum)も繰り返しだよな。繰り返しというものが私の頭を占めている。

あと歌も作りたい！　歌詞にチャレンジしたい！　頑張るぞ。

結局何が書きたかったのだろう。わからないなりに出してみるけれど、こういう詩だと思って読んでくれ。オチや結論はない。