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Hatoba

また一曲作った。
『Hatoba』という。

寄せては返す波をみていた。
海が鳴る。海が寄せてくる。水位が上がる。コンクリートにぶつかる。大地が呻く。白い輪郭ができる。飛沫が上がる。海が鳴る。かさが減る。輪郭はぼやけて、失われる。静かになる。また海が鳴る。
その繰り返し。ただの繰り返し。
私は螺旋の途方もなさに委縮し、立ち止まった。
立ち止まったとて、海は鳴るというのに。

空には入道雲のなり損ないがぽつんと浮かんでいて、そのほかは素材をインターネットから拾って貼り付けたような真っ青が広がっていた。

……違う。私はこんなことをいいにきたのではない。

襟付きのシャツ。首の長い私に似合うらしい。
照れ笑い。忘れたはずの痛みを思い出す。
線路に波紋が広がる。私の言葉も?
そうだ、私はもっと正直であるために……。


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