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アンノウン・デスティニィを書き終えて

わたしは自分に甘い。
ハチミツたっぷりのフレンチトーストよりも、安物のチョコレートよりも。ただし他人に厳しいかどうかはわからない。くわえて歳とともに集中力がいちじるしく減衰している。つまり、何かにつけ根性がたりない。

それはこのnoteにおいても。
毎日投稿ははやばやと匙をなげ、週2回の投稿が週イチになるのにそう時間を要しなかった。毎日4000字書くという目標は、立てた一日めから音もたてずに瓦解するしまつ。

そんなわたしに「革命」が起きた。
というのは、誇大表現としても。創作大賞への挑戦がわたしに2つの変革をもたらしてくれた、おおげさでなく。
ひとつは、「プロットを立てる」。もうひとつは、「集中して書く」だ。

小説は「プロットを立てて書く」が基本といわれる。
ハウツー本のたぐいはほとんど読まないが、それでも、プロットが基本であることは知っている。あるnoterさんは、1話ごとのコマ割りをきちんと立ててから書くとおっしゃっていた。プロットは綿密であればあるほど、小説が書きやすくなるとも聞いた。プロットの意義と必要性は十分に理解しても、実践できずにいた。ざっくりとしたストーリーと着地点をイメージできるようにはなったが、「プロット」と呼ぶにはぼやっとしすぎている。プロットはわたしにとっての課題であり難題でもあった。

2023創作大賞の募集が発表された日、わたしは茫然とした。
募集期間が2カ月半ほどしかなく、かつ、既出の拙著に募集部門に該当するものがひとつも見当たらなかったからだ。かろうじて連載中の『月獅』がファンタジー小説部門に当てはまるが、まだ物語の前半をやっと書いたにすぎず2カ月半で完成させられるとは、とうてい思えなかった(すでに制限字数の14万字を超えていたし)。
2万字を超える新作を2か月で書けるだろうか。
5月半ばまでのひと月あまり、瞑想に迷走を重ねていた。構想と冒頭の書き出しだけで傾向のちがうものをあれこれ7作ぐらい書き散らし、この時点で頭はショート寸前。恋愛も、ミステリーも、お仕事も、いまひとつイメージできずにいた。気持ちばかりが焦る。応募要項をイチからさらっていて、「イラストストーリー部門」に気づいた。

なぜそう思ったのかは、今となっては謎ですらある。
課題イラストの銃をもって対峙するふたりが、実は母娘だったらどうだろう、と思ってしまったのだ。前頭葉のあたりにふっと舞い降りた考えから、ころころとミシン糸が糸巻きから転がり落ちるように、受精卵やパラレルワールドの設定が浮かんだ。
具体的なイラストがインスピレーションにつながったのだと思う。
足の傷はどうする? コウモリのリュックの意味は?
そうした細部を考えることが、全体のストーリーにつながっていった。
(イラストを拡大し、銃もS&Wのリボルバーでないかと銃の一覧のサイトとにらめっこを。そこから、山際のS&Wコレクションへ)

星のごとく点在する、それらの微細な点と点をつなげ並べ直すうちに、
「プロット」らしきものができあがった。「神は細部に宿る」とはまた違うけれど、細部が全体を構築してくれたような気がする。当初は20話で終わる予定だったものが、エピソードを追加するうちに33話にまでふくれあがってしまったけれど。

第1話を書き始めたのが5月の後半。第8話ぐらいまで書き溜めた時点で、すでに6月の2週目に。そろそろ発表しないとまにあわないと見切り発車。毎日1話ずつ仕上げようと思いながらも、書き溜めた原稿があることへの心のよゆうが甘えを呼び起こし、1話に3日ほどかかったことも。貯えが底をつきかけると、毎日、朝の4時頃に起きては原稿にとりかかるはめに。一日に4000字どころではなく、6000字を書いた日もあった。こんなに集中して短期間で書いた経験がこれまでになかったので、脳内アドレナリンが沸騰している感じだった。

書くことは筋トレと同じだ、とも云われる。
まさにそのとおりだと実感した。まだ脳内がふつふつと興奮状態でクールダウンできていない。一日に4000字を書くことがたいへんでなくなった(気がする)。

応募期間の短さに愕然としたけれど。
それがかえって強制力となって、わたしの怠け心に負荷をかけてくれた。
ありがとう。こんな訓練の機会を与えてくれたnoteに心から感謝したい。

書き散らかした冒頭だけのいくつかは、いずれ完成させたいと思う。


よろしければ、『アンノウン・デスティニィ』をお読みください。
第1話末尾に、各話のリンクがあります。

こちらのマガジンにも格納しています。


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