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ロシアで人気のポテサラ「『オリヴィエ』サラダ」の歴史とレシピを公開!

『はじめてでも美味しく作れるロシア料理』著者ヴィタリさんに訊く、もうちょっとロシア料理のことーvol.2ー

料理が大好きというロシア人のオペラ歌手、ヴィタリ・ユシュマノフさんのとっておきのロシア家庭料理のレシピが、はじめてでも美味しく作れるロシア料理という一冊の本になりました。本に収めきれなかった貴重な解説を含め、いくつかのレシピを特別に公開する連載です。
最初にご紹介するのは、「オリヴィエ」サラダ。牛肉、ピクルス、グリーンピース、そしてじゃがいもの絶妙な組み合わせがクセになるロシアのポテトサラダです。ポテサラのスタンダードにしたいぐらい美味しいので、ぜひ作ってみてください。
前回の記事はこちらから。

ロシアで一番人気のサラダのストーリーは、19世紀、モスクワにあった「エルミタージュ」というレストランから始まります。シェフの名は、リュシエン・オリヴィエ。フランス人です。

このレストラン「エルミタージュ」は、19世紀半ば頃からメニューを更新していなかったため、徐々に客足が遠のいていました。
そこで、店の人気を復活させようと、オリヴィエシェフは新しいレシピを考案しました。それは、狩猟で仕留めた鳥の肉、牛タン、ザリガニ、オリジナルソース、ゆでたジャガイモ、ピクルス、ゆで卵を美しく盛り合わせたサラダでした。
でも、その料理を出したところ、お客さんの多くが、皿に盛られている材料を切り混ぜてから食べていたので、オリヴィエも、最初から細かく切って混ぜ合わせたものを出すことにしたのです。

1917年のロシア革命の後、ザリガニなどの珍しい材料の代わりに汎用性の高い牛肉や鶏肉を使い、グリーンピースなども入れるようになりました。
その後「オリヴィエ」サラダは、一般家庭でも作られるようになり、現在では、にんじん、りんご、玉ねぎを加えるなど、各家庭にオリジナルレシピがあります。今回の本でご紹介しているのは、我が家のレシピです。

ロシアではこのサラダは、主にお祝い事があるときに食卓に並びます。特にお正月の御馳走として欠かせないメニューのひとつ。このサラダ無しのお正月はあり得ないことです。
ぜひ、作ってみて下さい!

【材料】3~4人分

じゃがいも………3 個
ゆで卵………2 個
ピクルス………1 瓶(正味185g)
グリーンピース………大1 缶(正味240g)
牛かたまり肉………250g
マヨネーズ………大さじ2~3(ピクルスにより加減)
塩………適量(ピクルスにより加減)
黒こしょう(粒)………5~6 粒
お好きなハーブ(イタリアンパセリやディルなど)………適量

【作り方】

1)じゃがいもを皮つきのまま水に入れ、塩を加え、20分ほどゆでる。冷まして皮をむく。
2)鍋に牛肉、湯、塩、黒こしょうを入れて強火にかけ、アクを取って蓋をし、弱火で15分ほどゆでる。そのまま冷ます。
3)1のじゃがいもを1cmほどの角切りにし、ゆで卵は刻んで、ボウルに入れる。
4)ピクルスは縦半分に切り、幅5mmほどに切る。3のボウルに入れる。
5)2の肉は小さめに切り分け、同様にボウルに入れる。食感がかたいので、小さめに。
6)グリーンピースの水気をきってボウルに入れ、全体に軽く混ぜる。
7)塩、マヨネーズを加えてよく混ぜ、20分ほど冷蔵庫で休ませる。ハーブをのせる。
グリーンピースは、ヨーロッパ産の缶詰をぜひ使ってみてください。色は少しくすんでいますが、しっかりとゆでてあって、本場に近い味になります。

次回は3月4日(金)に掲載予定です。どうぞお楽しみに!
前回の記事は、こちらから。

文:Vitaly Yushmanov(ヴィタリ・ユシュマノフ)/サンクトペテルブルク生まれ。マリインスキー劇場の若い声楽家のためのアカデミーで学ぶ。ライプツィヒ音楽演劇大学を卒業。2015年春より日本に拠点を移す。びわ湖ホールオペラ、「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」、「東京・春・音楽祭」、NHK-FM、NHKワールド・ラジオ日本、BSテレ東、NHKワールドTV、東京芸術劇場他の全国共同プロジェクト、新国立劇場オペラなどに出演。「日本トスティ歌曲コンクール」第1位、「日伊声楽コンコルソ」第1位、「東京音楽コンクール」など、受賞多数。これまでに4枚のCDをリリース。幼いころからの料理好きが高じ、YouTube「Café Vitaly」(カフェ・ヴィタリ)でも、その腕を披露している。
オフィシャルサイト:http://vitalyyushmanov.com/
twitter:https://twitter.com/vitaly_jpn
写真:ローラン麻奈


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