予定は、希望だ。
毎年、涼しくなってきて年の瀬の予定を考えるようになった頃、本屋さんに足を運ぶ。
来年の、新しい手帳を手に入れるため。
高校生の頃から書き始めて、いろんな手帳を使ってみたが、ここ最近はいつも決まって同じもの。
NOLTYのエクリA5-1、色はキャメル。
携帯にスケジュール管理のアプリは入っているものの、手書きの手帳を無くすことは考えていない私は、1年間の相棒をお迎えに行くような気持ちで本屋に行く。
来年の手帳自体は、早めに店頭に並ぶことが多いが、新しいものを手に入れてしまうと、そちらを使いたくなってしまうので、師走に入る直前までお迎えに行かないことにしている。
その紙質や、表紙の触り心地はもちろん、これを選ぶのには、もう1つ特別な理由がある。
知っているだろうか。
NOLTYの手帳には、毎年メッセージが挟まれているのを。
名刺サイズの小さな紙に、時代背景を踏まえた上で、毎年違うメッセージが書かれている。
2022年はこうだった。
まだまだコロナ禍だった2021年、飲み会や行事も少なく、なかなか埋まらない手帳に寂しさを感じながら、来年の手帳をお迎えに行った時に、このメッセージが入っていた。
きっと、これを書いた人も、私と同じように手帳を使っている人も、同じように寂しさを抱えていた1年だったのだと、容易に想像ができた。
そして2023年の手帳には、このメッセージが入っていた。
コロナも少しずつ落ち着いてきていたが、旅行に行ったり食事に行ったりすることは、周りに遠慮していた頃、このメッセージが私のもとにやってきた。
そんな大きな予定でなくても、私の心が惹かれる小さなことを、少しずつ少しずつ、また私の生活に取り戻していこうと思える言葉だった。
このメッセージカードが欲しくて、毎年NOLTYを選ぶ。
裏表紙に貼って、1年に何度も何度も見返す。
新たな予定を手帳に書き込むたび、時にその予定がなくなってしまっても、また新たな私の日々を彩っていけばいいのだと思い出させてくれる。
まるでもうひとりの自分が、手帳の形をして、相棒のように寄り添ってくれているかのように。
また私は今年も、涼しくなった頃、来年の手帳を迎えに行く。
そうしてまた、推して推される関係をつづけていく、NOLTYと共に。
ちょっといいもの食べて、もっといいヒトになりたい。