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ビジネス書まとめ

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経営戦略、新規事業開発、マーケティング、テクノロジー活用あたりのテーマが多いです。
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記事一覧

ザッポスらしい4つの数字(『ザッポス伝説2.0』書評)

前作の『ザッポス伝説』ではAmazonによる買収までのブランドの進化が語られていたのに対し、『ザッポス伝説2.0』においてはAmazonの参加に入った後の組織変革に焦点が当てられている。 本書では、ザッポス社員の生声のみで構成されており、組織変革によって実際に生じた変化が包み隠さず紹介されている。 CEOのトニー・シェイは「トップダウンではなく、都市のように全員が自分の判断で動ける組織」を目指す過程で、ティール組織を目指したり、ホラクラシーというオペレーションシステムを導

アマゾンが震撼した企業(『ザッポス伝説』書評)

靴D2Cの先駆けであるザッポス社(1999年設立)。 Amazonが圧倒的機能価値を有したEndress.com(同じ品ぞろえで価格が2-3割安いサービス)で対抗したが、ザッポスユーザは増え続けた。 Amazonは、最終的に負けを認める形で、ザッポスの独立性を担保する条件付で、同社の買収に至る(2009年)。 『ザッポス伝説』には、ECの巨人が敗北を期したサービス「ザッポス」の成功の背景が、3つのpartに分けてストーリ仕立てで描かれている。 Part1は、起業家トニ

ビル・ゲイツ注目、「無形資産」4つの特徴(『無形資産が経済を支配する』書評)

ビル・ゲイツが世界経済最大のトレンドと称する「無形資産」。『無形資産が経済を支配する(Capitalism without Capital)』では、その「無形資産」の重要性と、そのトレンドの中でどのように振舞うべきかの示唆もあり、おすすめです。 900年以上、人類は「有形資産」を数えてきた本書の冒頭が面白い。 2013年に経営難により15憶ポンドで売却されたスタンテッド空港は、約900年前にはただの田舎町だった。当時の征服王ウィリアムがイギリス全土の土地台帳をつくるため

GAFAが実践するファイナンス思考と日本企業のPL脳(『ファイナンス思考』書評)

ファイナンス思考は、大企業のビジネスパーソンが陥りがちな短期的思考(PL脳)と違って長期的な企業価値を重視する考え方です。著者は、ファイナンス思考によってミクシィの業績をV字回復した朝倉氏。実体験に基づいた整理がされていて、かつ小難しいファイナンス用語を省いた文章になっており、経営・マネジメントに関わる全ての方にお勧めです。 ファイナンス思考とは多くの企業が陥りがちなPL脳的な考え方と対比して、ファイナンス思考が説明されています。GAFAが急成長した要因もこのファイナンス

事業戦略は4ステップで思考する(『IGPI流 ビジネスプランニングのリアル・ノウハウ』書評)

事業計画作成の際にとても参考になる本の一つ。著者の冨山氏は新規事業/事業再生の経験が豊富で、その実体験をベースにエッセンスがまとめられています。少し古い本でどんな部署・役職でも事業計画やビジネスプランが求められる昨今、作成慣れをしていない時期に読む本としてとてもお勧めです。 事業計画とは何か?冒頭では、「事業計画とは何か?」という筆者の考えが書かれています。 ・無形である事業を『物語』として有形化するもの ・稼ぐ力のメカニズムの説明書 ・説得のツール ・事業を遂行するため

AIと協働するための8つのスキル(『人間+マシン AI時代の8つの融合スキル』書評)

アクセンチュアCTOの著書で、AIの発展について肯定的に記述されている『人間+マシン AI時代の8つの融合スキル』を読み、8つの融合スキルの位置づけについてまとめてみました。 PDFはこちら AIへのポジティブな姿勢は下記の著者のコメントにも表れています。僕は著者のこのフレーズに惚れて読書欲求が湧きました。 AI’s Real Power Is Helping Reimagine Business by Augmenting, Not Replacing, Human

サブスクリプションにおける4Pの変化(『サブスクリプション』書評~)

ZUORA社(サブスクリプションビジネスを支援するプラットフォーム提供)の創業者兼CEOの著書である『サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル』の第11章をまとめてみました。サブスクリプションにおけるマーケティングミックス(4P)の変化について具体的に記載されています。 PDFはこちら (※携帯の場合は、下図を画像保存して閲覧するとそこそこ見やすいです) 上記「マーケティング」の他にも、サブスクリプションの転換において、「IT」「営業」「ファ

amazon3つの収益源と経営戦略全体像(『amazon 世界最先端の戦略がわかる』書評)

『amazon 世界最先端の戦略がわかる』をまとめてみました。 ポイントは下記に代表される積極投資。 ①再投資:特に会員サービスは赤字覚悟で拡充 ②M&A:進出領域において価格競争で他社を圧倒し、弱らせた先駆者を買う…恐ろしい ③新サービス:失敗事業はすぐ撤退!! ④新技術:技術人材は年間数万人以上獲得 PDFはこちら (※携帯の場合は、下図を画像保存して閲覧するとそこそこ見やすいです) 元マイクロソフト社長の成毛氏の視点での記述が面白いです。BIG5の一角からみても

8つのプラットフォーム立ち上げ戦略(『プラットフォーム・レボリューション』書評)

プラットフォームビジネスにおける「鶏と卵問題」を解決する8つの戦略について、『プラットフォームレボリューション 未知の巨大なライバルとの競争に勝つために(ダイヤモンド社)』の第5章を参考にまとめてみました。 PDFはこちら (※携帯の場合は、下図を画像保存して閲覧するとそこそこ見やすいです) 言わずもがなプラットフォームビジネスはあらゆる産業で注目されており、近年「プラットフォーム」というビジネスモデルを題材とした書籍が多く発刊されています。今回引用文献としたプラットフォ

データ・ドリブン・マーケティングで必須の15指標(『データ・ドリブン・マーケティング』書評)

ジェフ・ベゾスの愛読書でもある『データ・ドリブン・マーケティング―最低限知っておくべき15の指標』の第Ⅱ部を参考に、マーケティングの意思決定において重要な指標をまとめてみました。 PDFはこちら (※携帯の場合は、下図を画像保存して閲覧するとそこそこ見やすいです) AmazonのCEOジェフ・ベゾスが選ぶビジネス書12タイトルに選出され、Amazon社員の教科書とも言われる本書。ベーシックな指標の中で、「どの指標がなぜ重要であるか」が丁寧に記載されています。 第Ⅲ部では

SaaSモデルと4つの役割(『THE MODEL』書評)

SaaSの先駆けであるセールスフォースを日本で普及した張本人である福田氏(マケルト代表)が、SaaSのレベニューモデルを分かりやすく整理した書籍。筆者の実体験に基づいた内容で具体的なアクションプランまで示されており、SaaSに限らず、顧客体験向上と企業価値向上の両立に関する実践例を学ぶうえでお勧めです。 SaaSとはSaaSは優れたビジネスモデルであり、米国株式市場の成長を牽引しているともいわれていますが、そのすごさについてはこちらの記事をご参照ください。Salesforc

マス広告からファンベースへの変遷(『ファンベース』関連書籍書評)

これからのマーケティングの必読の書と言われる『ファンベース』と、著者・佐藤尚之氏が過去に発刊した『明日の広告(2008)』『明日のコミュニケーション(2011)』『明日のプラン二ング(2015)』を時系列でまとめてみました。 PDFはこちら ①明日の広告(2008)「オムニチャネル」の概念や重要性を分かりやすい言葉で解説されています。まだ日本でSNSユーザが急増する前に書かれたとは思えないほど、今日もバイブル的に読める内容でした。 ②明日のコミュニケーション(2011)

コミュニティをつくる9ステップ(『ボールド 突き抜ける力』書評)

指数関数的に成長するビジネスの実践的マニュアルとして評価の高い『ボールド 突き抜ける力』の中から、第9章の「コミュニティをつくる」をまとめてみました。 PDFはこちら (※携帯の場合は、下図を画像保存して閲覧するとそこそこ見やすいです) 3年前の書籍のため、技術/市場の前提条件が一部古い部分もありましたが、コミュニティ運営において具体的アクションに繋がる示唆が多くありました。大小関わらず、コミュニティ運営に携わる方にお勧めです。