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改めてグラベルバイクとは。

こんにちは。
まだまだ寒い日が続いて自転車に乗るのも少し躊躇う感じです。
が、自転車を乗りたい気持ちはある僕です。

さて今回はグラベルバイクについてのお話をさせて頂きます。
最近確立した自転車ジャンルですが、もう僕ら自転車業界でも
当たり前のジャンルとなりました。
毎年「今年はグラベルバイクを買ってバイクパッキングに挑戦したい」
というお声を耳にします。

実際「グラベルバイク」ってどういうものなのか。
どれがグラベルバイクなのか。
この事について話していこうと思います。
(多分長くなります。)

<Gravel Bike(グラベルバイク)>

まず近年当たり前の様にラインナップされる様になった「グラベルバイク」
正しくは「グラベルロード」と呼ぶのが相応しいでしょうか。
グラベル(Gravel)とは砂利という意味を指します。
総称してオフロードですかね。
グラベルバイクはこのオフロードもオンロードも走れる自転車を指すことが
大多数です。

Salsa cycles / Stormchaser

これは僕が乗っているグラベルバイクです。
Salsa cyclesのStormchaserというモデルになります。
このモデルはアメリカのオクラホマ州にて開催されている
「THE MID SOUTH」というグラベルレースに向けて作られたモデルです。
赤土のドロドロになるこのレースでは泥の詰まりによる変速マシントラブルも多いことからこのモデルはシングルスピードにも組める仕様となってます。

Surly / Midnight Special

これはSurlyのMidnight Specialというモデルこちらもグラベルバイクとなっております。
DELTAの店舗ができた際、また僕の古巣tempra cycleや名古屋のCirclesさん、東京のBlue Lugさんなど自転車業界全体ではまだまだマイナーで、
個性が強いブランドを取り扱うお店に来てくれる皆さんが一番イメージ
されてくるブランドがSurlyです。
salsaとsurlyではフレームの素材の違いなどがありますが、その辺はまた
今度お話ししましょう。

僕らのようなお店に来られる方でグラベルバイクを求めている場合は
大多数の方がSurlyのような細身でラックやバッグが取り付けられる
ダボ穴も多数装備されている様な荷物も搭載できるバイクをイメージ
して来られます。
なぜかというと「Bikepacking(バイクパッキング)」もやってみたいと
いう方がグラベルバイクを求めて来られるからです。

Brother cycles / Mehteh

こういった完成イメージをもたれる方が多いのでは?
一方で。

Canyon / Grail CRF Di2

これってグラベルバイク?ロードバイク?
流れ的に正解はグラベルバイクです。
こちらはCanyonのGrailというモデル。
先のグラベルバイクとどう違うのか?
ロードバイクとの違いはなにか?
これが次のテーマ。

<ロードバイクとの違い>

Trek / Checkpoint SLR 9 AXS

これはロードバイク?
違います。これもグラベルバイクです。

Salsa cycles / Warroad C Ultegra Di2

これは?
ロードバイクです。
すいません。これは少しイジワルです。

こういった感じで世間的な自転車業界での「グラベルバイク」は
後半に出てきた様な一見ロードバイクのものが定番となります。
ロードバイクとの違いは一番大きいところでは「ロードバイクより
太いタイヤが入る」
ことでしょう。
グラベルは文字通り「砂利道」つまりオフロードを走るので、ロードバイクの様な細いタイヤではパンクリスクが高くなることと、タイヤが細いと
クッション性が固くなってしまい、バイクコントロールが難しく、
振動により身体への疲労負担も大きくなります。
それを太いタイヤにする事でクッション性が増し、ショックを吸収して
快適に走れる様にする違いがあります。
その他にも自転車にはジオメトリーと呼ばれるいわゆる「設計」の違いが
あります。
車でもレース向けやスポーツカーは平たく低く、前方は風を切るような
設計になってます。
自転車も漕いだ力が前に進む力に変換されやすい設計になっているのが
ロードバイクです。
もちろん空気抵抗や重量なども考えられています。

レースにおいても例えば冒頭で出てきたTHE MID SOUTHは、
グラベルレースですが、一般の方も参加できるレースになっており、
バイクの他にラン部門もあります。
またお祭りのように音楽やグルメなどもあります。
逆にプロが出るようなUCI Gravel World Championshipsというレースは
一見ロードレースの様に高速で、特に荷物を積まずに走るレースです。
こちらはもうTHEレース。
日本だと中継されるマラソン大会イメージでしょうか。
完全なクローズドコースを走ります。

近年はこのグラベルレースも速度域が増しており、2022年の
UCI Gravel World Championshipsで勝者となった選手が乗っていた
バイクはロードバイクでした。
「え?ロードバイク?」
近年のロードバイクはグラベルバイクほどではありませんが、ある程度
太めのタイヤが入る様に設計されているものが増えてきました。
マウンテンバイク含めオフロードなレースほど太いタイヤを履く
イメージがあるかもしれませんが、プロのレースは逆で速度を求められる
オフロードレースでは予想外の細さのタイヤを使用します。
これもあって一部メーカーのモデルではロードバイクなのかグラベルバイク
なのか、境があいまいな物もあったりします。
僕らにとってもややこしい…

<Bikepacking向けの自転車は?>

さてさて僕らの様なジャンルのものを取り扱っていると、先にもいった通り
「グラベルバイクでバイクパッキングをやりたい」と良くご相談頂きますが
どちらかというと「バイクパッキングはグラベルバイクでやるもの」という
イメージが強いのではないかと僕は思ってます。
もちろん間違ってません。
しかし大手スポーツバイク量販店などでは「グラベルバイクがほしいです」と伝えるとロードバイクの様なグラベルバイクを勧められることが多いかも
しれません。

Salsa cycles / Marrakesh

バイクパッキングといえばこういったイメージを持たれる方が多いかと
思いますが、じゃあこれはグラベルバイクか?
というと正解でもあり不正解でもありといった感じ。

Salsa cycles / Marrakesh

上の2つはSalsa cyclesのMarrakeshというモデルになりますが、このモデルは「ツーリング(Touring)」モデルになります。

Brother cycles / Kepler

こちらのBrother cyclesのKeplerというモデルもツーリングモデル。
ここでも新たなジャンルが登場です。
この「ツーリング」というジャンルは昔でいう「ランドナー」に類似しています。
これこそが皆さんのイメージされるバイクパッキングバイクではないかと
思います。

Brother cycles / Kepler

ときにはカゴも付けて。

Salsa cycles / Marrakesh

ときにはライザーハンドルにしてゆったり乗れる様にしたり。

Salsa cycles / Marrakesh

ときにはライザーでカゴも付けてコミューターにといったイメージを
持たれているのではないかと。
こういった汎用性が高いモデルは大体がツーリングモデルであることが
多いです。
ツーリングモデルはグラベルバイクよりかは舗装路向けに設計されてます。
長い距離を快適に走れる設計でラックやバッグなどが取り付けれる
ギミックも豊富でなによりフレームが細身のクロモリフレームが多いです。
このツーリングモデルも太いタイヤが入るものが多いのでブロックタイヤにしてグラベルも走れる様にカスタムする方も多いです。
なのでグラベルバイクと言っても差し支えはないと思ってます。

<結果どれがいいの?>

ここまでで「グラベルバイク」「ロードバイク」「ツーリングバイク」
3種類が登場しました。
本当はもっと細かく説明できますが、文字数がえぐい事になってしまう
ことと、僕ら自転車業界の人でも境が曖昧なモデルやそれぞれのジャンルの見解が人によって異なってくるので一概に「これ!」とは断言できません。

ただ僕らが扱うようなブランドなどでは「グラベルバイク」の見かたが、
世間一般の自転車業界とは違った視点というのがあると思います。
なので自転車をお求めの際は全てのジャンルにおいて、あなたの考える
使用用途をお伝え頂くことが、理想の自転車に辿り着く近道になります。
併せて完成イメージの車体(web上やSNS上に転がってる)画像等を見せて
頂けるとより良いかと思います。

結局のところ「グラベルバイク」というジャンルは少し曖昧でもあり、今ではしっかりと確立されたジャンルでもあります。
どのジャンルがあなたにとってのベストなのかは用途次第。
見た目が大事なのも分かります。
しかし見た目重視で用途とかけ離れたものを買うのだけは避けたほうがいいです。
なので想像していたものと違うものを勧められる場合もあるかと思います。
そこはご相談を重ねて擦り合わせて行きましょう。

今回はここ数年でよく耳にする(目にする)グラベルバイクのことを
僕なりに皆さんにお伝えしたつもりですが、分かってもらえたかな?
全然説明も足りてないので、DELTA SNSからDMなどでご相談頂いても
構いません。
グラベルバイクというだけの用途違いのバイクを買ってほしくは
ありません。
レースしたいわけじゃないのにレースバイク買っても仕方ないでしょう?
なので皆さんのもつグラベルの知識が間違っていても構いません。
恥ずかしいことではないです。
ご相談ください。
ただ僕も自転車業界にとってはイレギュラータイプになるかと思うので、
世間一般と意見が食い違うこともあると思いますので、その辺も
ご相談の中でどの意見がいいかを判断してもらえればと思います。

長くなりましたが、今回はこれでおしまいです。
またお会いしましょう。


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