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オンライン授業は可能性であふれている〜miroを使った約140名のオンライン対話(参加型/対話型の授業)の紹介/学生の声も紹介〜

北海道大学大学院環境科学院にて、全国から入学してきた大学院生の集中講義・オンラインオリエンテーションの1日目の3時間を担当させていただきました。

研究者に対話は必要なの?

オンラインで深い対話は無理でしょ!

対面が一番に決まっている

と思っている人がもしもいたら、ぜひ知ってもらいたいと思い、オンライン対話を体験した学生の生の声も最後に紹介しています。


「凸凹を楽しむ」

「凸凹を楽しむ」が好きな言葉です。私自身が受けてきた教育は、足並み揃えて同じ内容を同じ時間に学ぶスタイルがほとんどで、答えを先生が教えてくれるというものでした。一方で、社会に出て必要とされているのは、みんなができることを人並みにできるような能力よりも、自分で意味を見出して、価値や問題点を見つけ出し、進みながら考え行動していく能力だと感じています。「誰かの苦手」に合わせる公平性も大切だし、関心がある人、もっと学びたい人の「どんどん吸収したいニーズ」に答える公平性も大切だと感じます。

オンラインでの大学院受験を経験してきた大学院生にとって、オンラインは当たり前になりつつありますが、オンラインで対話、深い対話ができるという体験は初めての人も多く、「オンラインツールを使えるかどうか」ではなく、「自分自身が必要とする学びを一人一人が持ち帰れるような時間にしたい」と思いました。

・「誰かの苦手」に合わせる公平性も大切だし、関心がある人の学びたい人の「どんどん吸収したいニーズ」に答える公平性も大事にしたい
・みんな揃って同じことを学んで、「同じ能力を身につける」のではなく、背景もスタートもバラバラ、習得したい能力もバラバラな状態で、「自分自身が持ち帰りたい学びを自分の力で持ち帰ってもらう」授業のデザインを大切にしたい


 オリエンを担当する山中教授の思い

今回、大学院のオリエンテーションという公の授業の中で、100名以上の学生が対話をする。というのは、何が起きるかわからない試み。ネットワーク環境によっては、教育機関では重要視される「みんな公平に学びが享受される」が危ぶまれる試みです。「やろう!」とGOサインを出すのは、かなり勇気のいることなのではないかと思います。また、研究するために入学してきた学生に「対話」がなぜ必要なのか。についても、先生によっては理解し難いと感じる方もいるのではないかと思います。

3日間のオリエンテーションという名の集中講義を総括されている山中教授は、研究者としても尊敬できる方ですが、研究だけでなく、研究室一人ひとりの学生との対話の時間も大切にされていて、また、SDGsの取り組みでは、北海道全道の高校生にアクティブラーニングの機会を設けたり、交流会をいち早くオンラインでも取り入れたり、SDGsのその先の未来を見据えてウェルビーイングについての教育プログラムを開発していたりします。

今回、大学院生のオンライン対話の場のお話をいただいたときも、1時間以上(言い過ぎではない^o^)、この時間にかける思いや、大学院生活の始まりをいかに豊かなものにしたいかについて語ってくださりました。

そんな経緯で、多大なプレッシャーを感じつつ、当日までの準備を進めました笑


約140名でオンライン対話/参加型授業

今回、大きく3つのテーマを扱いました。

対話することを通じて

1. これまで自分が歩んできた過去について振り返り、人に伝える時間
2. 未来について考えて、それを人に話したり、人の話を聴くことで、視野を広げる時間
3.「ファシリテーション」や「オンラインツール」についての、少しのコツを知っていることで、人と関わりやすくなるスキルやツールがあるということを知る時間


その他にも、チェックインを丁寧めに何回かに分けてすることで、お互いのことを知って安心感を増やすことを心がけました。


miroを活用した授業のデザイン

3時間という限られた時間のプログラムをmiroであらかじめ見える化して、双方向のコミュニケーションを促すとともに、参加の選択肢を増やしました。

実際に使ったオンラインホワイトボードツールmiro(講義終了時)はこちらです。
※miroの活用について知りたい方は、いつも参考にさせてもらっている対話支援ファシリテーターの玄道優子さんのサイトへのリンクを文末で紹介しています。

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オンラインボードはみんなが同時に一緒に作業できることや、眺める、書く、動かす、選ぶ、といろんなことがオンライン上でできる点が面白いです。また、上記のようなデザインも、パワーポイントやKeynoteを触るように手軽に作成できる上に、凝ろうと思うとそれなりに作り込めるのも面白い。

立命館大学のインタラクティブオープンキャンパスや、やりたいことを叶えられる町、共創パートナーが集う石川県能登町ののと未来会議でも活用されています。オンラインワークショップだけでなく、シンポジウムや、作品展など活用の幅がありそうです。個人的には、オンラインワークショップや研修で作成したグラフィックファシリテーションや、グラフィックレコーディングをギャラリーのようにして、参加者がいつでもアクセスできるようにしたり、後日にも付箋紙で意見交換できたりといった仕掛けによく活用しています。


●チェックイン
「今のご機嫌はいかがですか?」
付箋をダブルクリックして付箋の中に絵文字を入れることで、参加者の状態をお互いに見える化する。

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「どこから来ましたか?」
ひまわりのアイコンを140程度用意しておき、地図上の自分の出身地に動かしました。

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●ストーリーテリングトリオ
3人1組で、3つの役割(話す・聴く・証人としてそこにいる)に分かれて過ごす時間
↓実施してみた感想

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●未来ダイアローグ
今回、オリジナルで考えたワーク

北大オリのコピー


●休憩時間を活用したネットワーキング
休憩時間を利用した交流のしかけとして、zoomのブレイクアウトルームを3つ開けておき、参加者が自分で移動できる設定に。miro側では、どんな人(自分をアイコンで表現)がいるかわかるように、生物のアイコンを移動させてから実際のzoomの部屋を移動するようにしました。20名ほどが利用していました。

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miroを活用したポイント

日本人だけでなく留学生もいるので、いきなり話すのではなく、付箋紙に書く時間をとって、自分が話したいことを整理する時間をとってから話すようにしました。

また、同じ体験をしても、一人一人感じ方が異なるので、ワークを実施して終わり。ではなく、ワークの感想、ワークを通じて持ち帰りたい気づきなどを、ワーク後に付箋紙書き出して全員の意見を共有できるようにしました。

その他にも、導入として、今の気持ち(ご機嫌)をスタンプで答えたり、出身地を地図にして、ここにどんな人がいるのかを直感的に知れるようにするなど、あらゆる仕掛けを組み合わせて、少しでも心理的安心感を早く感じられるようにしました。

また、できるだけ様々な人と出会えるようにしようとすると、何度も小グループに分かれることになりますが、グループに分かれたときに、話すテーマや手順を忘れても確認できるよう、miroに掲載しました。


"自分たちの関係がどう在りたいかについて話すことを後押しするのは、お互いの空気感だったりするので、オンラインで素直に話しやすくするにはどうすればいいのか、今も試行錯誤しています。
"ファシリテーターが場づくりをするときに参加者がどれくらい自分のことを表現、伝えやすくする隙や選択肢を準備しておくことが大切だと思っています。そして、オンラインの方こそ、ファシリテーターの力量・事前の設計や準備で参加者の自己表明のしやすさの幅が大きく変わると実感しています。  
                                                 玄道優子さんの記事より引用

本当にその通りだなと思います。「場を運用すればいい。」「小グループで話せるようにブレイクアウトルームを活用すればいい」「オンラインで集まったから良い授業ができる」というものではなく、事前の設計や、一人でできないことは、積極的に複数人で実施するというのも大切なポイントだと思っています。今回、私自身も、テクニカルサポート(鈴木耕平さん)やグラフィックハーベスト(穴澤えりさん)、全体のサポート(山中教授)、TAの学生にもサポートしてもらうことで、事前準備に時間をかけれたり、当日メインの授業の進行に集中することができました。授業を一人でしないといけない。と、方針を述べる組織の声を聞くこともありますが、柔軟で先進的なことに取り組んでいる人、組織ほど、チームでのホスト(運営)は当たり前になりつつあると感じています。予算がないのであれば、こういった学びの場を勉強したい学生に手伝いをお願いしたり、部外者は立ち入り禁止!ではなく、一般の友人にもきてもらっても良いような寛容性を持つ教育機関が増えればいいなと、心から思います。私自身も、自分の場以外にも、人手が必要な際に手伝いに行く機会が増えて、結果として、自分の関心以外の学びや出会いの広がりにつながっているように思います。


100名以上がアクセスする際の懸念点

ネットワーク環境が弱くうまく動かない人、パソコンのキャパシティが足りず固まった学生については、zoomのチャットにコメントを打ってもらうことで、運営側でmiroにコピーして移したり、見ながら空気を感じてもらう等の対応をしましたが、ほとんどの学生は使えていたように思います。ただ、IT格差は無視することのできない今後の留意点とも思うので、試行錯誤していきたいです。

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また、意外と知らない・便利な機能として、100名といった大人数が同時に使うと上記の写真のようなことになって、矢印が交差する一体感を楽しむこともできるのですが(笑)、下記の赤丸で囲っているボタンを押すと、自分の矢印以外を隠すことができます。

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実際に長期的なプロジェクトでオンラインツールを活用した際の紹介はこちらです。


オンライン✖️グラフィックレコーディング

オンラインになってから、空気感が伝わりにくい、URLをクリックするだけでリモート会議という非日常に入れてしまうリモート会議を、より豊かなもの(双方向コミュニケーションを促したり、議論を深める)にするために、ビジュアルプラクティスは有効だと気づく方が増えてきて、これまでよりもさらにさまざまな方が関心を持つようになったと感じています。

特に、話した内容をリアルタイムに絵と文字で見える化しているビジュアルプラクティスは、視覚情報から情報を得やすい方にとって有効ですし、内省してから話す方、話ながら考える方が同じ空間で話す時にもお互いにコミュニケーションを取りやすくなります。

リアルタイムで描くビジュアライズには、ざっくり大きく分けると2種類あります。議論を深めたり、俯瞰して見れるようにするために、内容を構造化せずに、どんどん見える化していくグラフィックファシリテーション(20〜30分に模造紙1枚分,A4用紙1 枚分くらい描いていく。ビジュアライズする同時通訳に近い)と、後から見返してもわかりやすい形で記録物という目的で要点を絞って描いていくグラフィックレコーディングです。(ざっくりと紹介しているので、もっと詳しく知りたい方は記事の最後に記事をご紹介します)

今回は、3時間の授業でどんなことをして、そんなことがあったのかを後から見返したり、思い出せるように、グラフィックレコーディングを描いてもらいました。(あたたかいグラフィックレコーディング、えりさんありがとうございます!)

忙しい毎日で、この日の授業のことを忘れた時、パッと見返すことで、この時の気持ちや自分が考えたことを思い出しやすいのもイメージで残す良いところの一つです。

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Graphic by Eri Ishikawa


参加者の声/感想を紹介

ここまで、徒然とファシリテーターとして見えていたことを書きましたが、実際に参加した参加者(今回は学生)がどう思ったのかが一番大切だと感じています。参加者が何も学んでいなかったり、必要な気づきを得られていなかったり、次に繋がらなかったりするようなら、ファシリテーターの自己満足に終わります。とはいえ、参加者からの厳しい?フィードバックを受け取るのは毎回緊張します。。

今回のオンライン対話の授業について、山中教授が丁寧に準備を進めてくださり、事前アンケートから事後アンケートまでまとめてくださりました。

研究者に対話は必要なの?
オンラインで深い対話は無理でしょ!
対面が一番に決まっている!
と思っている人がもしもいたら、ぜひ読んでもらいたい内容です。
一部になりますが、紹介したいと思います。

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最後に

学部からそのまま大学院に進む学生もいれば、本州から引っ越してきて、一人暮らしを始める不安でいっぱいの学生も半数近くいます。

大学は様々なバックグラウンド、出身、専門の学生が集う、本当に豊かな価値観が集う場所です。また、北大環境科学院は、教授や研究者の方々も個性的で、研究だけでなくて、生き方そのもののストーリーが魅力的な人がたくさんいます。

せっかく入学したのであれば、さまざまな価値観に触れて、視野が広がる機会であってほしい。苦手を埋めることに時間を費やすよりも、得意を伸ばして、仲間と共創していって欲しい。視野が広がるまでいかなくても、どんな同期がいるか知るだけでも刺激的で、これからの大学生活への心持ちが変わると思います。そんな一助になっていればうれしいです。


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この場を、器をホールドするために、力を貸してくださった、山中研究室のTAのみなさん、miroのデザインを一緒にしてくれたえりつぃん、100人超えのテクニカルサポートを安心して任せられた耕平さん。そして、この場に声をかけてくださった山中先生に感謝です!


今回のワークショップは、対話支援ファシリテーターの玄道優子さんのこちらの記事を参考にさせてもらいました。ぜひ、詳しいことを知りたい方は、こちらをチェック!
オンラインツールmiroについても詳しく紹介してくださっています。


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