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ミロコマチコ「いきものたちはわたしのかがみ」展

うだるような暑さの中、なかば夏の恒例になりつつある市原湖畔美術館へ。今夏は絵本作家で画家のミロコマチコさんの特別展を開催中。入るや否や大きなクマのオブジェに迎えられる。クマが曳く箱の扉は開け放たれ、これから始まる物語(展覧会)に誘う。「ある日、森の中」と題されたショートストーリーが入り口に掲示されている。タイトルの通り人間が「クマさんに出会った」話。そしてクマさんは人間に「出会った」。

カモシカと人との「出会い」も。

カモシカのオブジェの脇には耳(人間)と目(どうぶつ)のアイコンで、双方の遭遇が語られている。これがこの「いきものたちはわたしのかがみ」展に通底するメッセージなのだろう。ただ野生動物の保護とか、共生とか簡単にいう前に、まず生き物たちの話も聞いてみたらと問いかけているような。しかし、人間という生き物は、ヒトの話もろくに聞けない情けない生き物だ。

雑誌「味の手帖」表紙。スペースいっぱいに描かれる作品はデザイナー泣かせだったとか。
自然は音にあふれている。人間はその音たちをどれだけ聞けるのか。
あっちの耳、こっちの目

「あっちの耳、こっちの目」という蛇腹状の絵本セットを購入。「東北の人たちから聞いたほんとうのおはなし」に「動物から見た創作のおはなし」が対になった6つのおはなし。冒頭のクマ、カモシカをはじめウサギ、コウモリ、ヘビ、トリのお話。2016年の山形ビエンナーレへの立体造形の出品から生まれた。「あっちの耳」(ヒト)は伝承や寓話ではない実際の体験談だけに「こっちの目」(どうぶつたち)への想像が膨らんだという。ミロコマチコさんは、今、奄美に生活の拠点を置き、夫と猫とともに創作の幅を広げている。

イワシのピッツァ
落花生ジェラートのドルチェピッツァ

敷地内にあるピザハウス「BOSSO」に立ち寄るのも、もはやコース化している。この日は銚子港に水揚げされたイワシのピッツァをいただく。ドルチェ、メロンのスムージーと房総の食材を使ったメニューはどれも美味。高滝湖の水面が太陽でギラギラと輝いている。



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