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30年目の大移動。

ここ数年「いずれは」と言いながら先延ばしにしていた計画を実行に移すことにした。30年の長きにわたり2階にあった寝室を1階に移す。合わせて布団からベッドに変更をする。老い先を考えれば今のうちに着手しなければ機を逸してしまう。問題は、寝室にする予定の部屋である。和室の8畳間なのだが、そもそも客間としてかつては少なからぬ人をお招きしてきたのだが、近頃はとんと人を呼ぶこともなくなり、これ幸いと半ば物置然となっていった。ここを寝所として再生することが喫緊の課題だ。ふたりそろってミニマムな暮らしを得手としてはいないので、今まで眼をつぶってきた不用品の処分から始めなければならない。その意味も考えず猫も杓子も使うようになった「断捨離」という言葉は決して使わない。わが家が行うのは物理的な「捨」だけなのだ。そういえば、以前勤めていた職場で大掃除などのたびに「シズさん、断捨離ですよ断捨離」と言っている物欲満々の人がいた。もう笑うしかない。「新しい生活様式」の旗振りをしてきた人たちはその後の暮らしぶりがどう変わったのかな。さる企業のマーケッターは「現代社会にタイパは必須」だそうな。まあこういう尻軽なヒトビトもいて世の中は回っているわけだ。(そんな事をぶつぶつ言っているヒマがあったらさっさと整理にかかりなさい)

押し入れの整理というのもやっかいだ。もう何年、いや引っ越し以来一度もつけていない段ボールがあることをワタシも妻も知っている。今までも何度かその中の魑魅魍魎を退治すべく闘いを挑んだのだが、そのたびにバカボンのパパが現れ「これでいいのだ」というご宣託(いいわけ)にササーッと扉を閉めてきた。一体何者がひそんでいるのか、そこで敵と話し込んだりしてしまうとまたフツフツと情がわいてきて「もう少し一緒にいようか」となってしまう危険は大いにある。今度こそはその呪縛も解かなければならない。


見出しのイラストは「トウユウジ」さんの作品をお借りしました。ありがとうございます。



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