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富士山本宮浅間大社

富士山方面には幾度も足を運びながら、一度も訪れていなかった富士宮の浅間大社へ。全国の浅間神社の総本社。古来から崇拝・遥拝の対象だった活火山・富士山の鎮火の祈りを行うため「あさまのおおかみ」を祀る。元来無信心なのだが、神社という空間が醸す気は嫌いではない。参拝し旅の無事を祈る。富士山の湧水によって出来た湧玉池は藤棚が見ごろ。古くはここの霊水で禊をして富士登山をしたという。山開きには境内で様々な神事・式典が行われる。そういえば山岳信仰における修行時のかけ声にあの有名な「六根清浄」がある。視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感に意識を加え、その総称としての「六根」を清らかな状態にすることを指す。「どっこいしょ」はこの「六根清浄」が由来になっているという説もあるが、それならば毎日欠かさず唱えている。

藤棚の下に一組の男女のカップルがいた。30歳前後だろうか。女性が水面を見つめ、男性は藤にカメラを向けている。訪れる人もまだ少ない連休前、池に映る藤と二人の姿はなかなかいいコンポジションで、対岸からしばし眺めていた。藤の花言葉は「至福のとき」「恋に酔う」らしいが、色はにほへど散りぬるを、なのがこの世の習わし。水面に見ているのは始まりなのか終わりなのか、そんなことを考えているから「六根清浄」はいつまでも「どっこいしょ」から進まない。

神社から数分歩くと静岡県富士山世界遺産センターがある。逆さ富士を模した外観が眼を惹く。らせん状に疑似登山をしながら自然・信仰・生活や芸術と富士山のかかわりに触れるという仕組み。性格上総花的なのは致し方ない。とりあえず公式ハンドブックを買い求め、朝霧高原へ車を走らせる。もちろん修験とはほど遠い気楽な山行だ。




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