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パイオニアEDH《希望の死、タボラックス》紹介

1. パイオニアEDHへの参入

2022年7月、晴れる屋メディアおよびリラさんのnoteにて「パイオニアEDH」なるものが発表された。

 その名の通りパイオニアのカードプールで組むEDH。禁止は本家EDH準拠のため、通常のEDH卓に持ち込んでも問題ない。自分自身お世話になっているホイさんが運営するサーバーでモダンEDH卓が立っていたため、イメージは付きやすかった。

 パイオニアも限定構築EDHも積極的な眞白井エイドさんがこの告知に飛びつき、普段お世話になっているEDH鯖内でも興味を示す人が続出。折角なら配信もやりたいとの事だったため、それなら自分もやってみようかと手を挙げた。

2. 統率者選定・デッキ構築

 普段は重量級デーモン達を豊富なマナファクトの加護を受けて通常EDHで使っているが、パイオニアのカードプールではモダン以上に序盤のマナ加速が大きく制限され、制限なく使える2マナのマナファクトは非常に限られてくる。必然的に序盤の動きが課題となってしまう事から重めの統率者の使用は避ける事となった。

2ターン目マナ加速有力候補

 また、普段通り黒単のデーモン統率者を選ぶことは必然であったため、《魔力の墓所》も《太陽の指輪》も無い世界でデッキが成立する統率者を選ぶこととなる。果たしてそんな統率者がいるのだろうか。

いた。《希望の死、タボラックス》だ。

通常EDHでもお世話になっているデーモン

 もっと言うとこのカードがパイオニアリーガルである事が最大の決め手であった。そう、《影生まれの使徒》。

実はM14でリーガル

 序盤のマナ加速が無いなら序盤のアクションが十分確保できるデッキにすればいい。土地と《使徒》に加え、《ラザケシュ》《ヴィリス》とサーチ先デーモンも充実しており、これらで7割は決まった。通常構築ならここに《織端の石》《忌むべき者の歌》等が加わるところだが、パイオニアにそんなものはない。《使徒》6体生贄から《ラザケシュ》をサーチしてももう少し浮きマナが確保できないとゲームの勝利は目指せない。更に言うと最終的な勝利手段自体も制限されているため、無理なく搭載できるものを吟味しなければならない。

デッキの使徒全部捲って生贄→大量マナ出したかった

 最初は勝利手段の一つに《ウォーロック・クラス》《スカイクレイブの災い魔》を検討していたが、両方とも一度に揃えようとすると計17マナも必要となるため基本的に2,3ターン跨がなければならない上《ウォーロック・クラス》だけで計10マナかかるため断念。

黒単で可能な数少ない2枚コンボだが計17マナ

 2枚コンボに固執せず、個々のパーツがある程度役割を持っているなら3枚コンボも検討する事に。まず白羽の矢が立ったのは《霊気貯蔵器》《破滅を囁くもの》《ボーラスの城塞》。通常構築なら《破滅を囁くもの》の枠が《師範の占い独楽》で使われるコンボだが、このデッキなら《使徒》が3~4割近くを占めるため《城塞》から《使徒》を並べて《破滅を囁くもの》をサーチし、《貯蔵器》まで繋げるといった事も一応可能。《貯蔵器》側も《使徒》連打でライフゲインしつつ《タボラックス》の絆魂の力も得る事で50点ビームを1回くらいなら普通に発射する事も視野。

個々のパーツが強い上に城塞からうまくチェインすれば実質6マナ

 続いては《ラザケシュ》着地からのルートの模索。生贄からチェインさせるために必要なものは当然マナと火種だが、それぞれ《無慈悲な略奪者》《頭蓋ふるい》というシステム生物が存在する。この2種を《ラザケシュ》で揃え、その後は《使徒》を生贄に《使徒》をサーチすると無から末裔トークンが1体生まれる。このトークンを自身の能力で生贄に無色マナを生成すると宝物も追加される。もちろんサーチの火種にしてもOK。

基本的には頭蓋ふるいからサーチ

 そうして最終的には上でも登場した《貯蔵器》や《秘宝の薬瓶》といったカードで2ペイを相殺+相手のライフだけ減らせる状態に持ち込んでGG。他にもドレイン系置物・生物は存在するが、生贄エンジンも兼ねているのはこれと《アヤーラ》くらい。ただドレインするだけの置物ではデッキは回らないためこういったカードを優先することに。

PIGに反応してドレインする置物シリーズ

 その他、除去やドローソース等を吟味して仮組みし試運転。
4,5ターン目までに《タボラックス》下で《使徒》6体揃えば6ドローで失った使徒の分だけ手札が戻ってきて8/8飛行絆魂+《ラザケシュ》や《ヴィリス》といった盤面になる。が、もちろんいつもそううまく引ける訳ではないため何かしら1枚を起点に《使徒》を複数引き込める要素が欲しい。

 パイオニア界の《織端の石》探しが始まった。そして程なくして2枚のカードが導き出される。

まずは《勝者の戦旗》。

5マナのアーティファクトで《使徒》キャストに反応するところまで同じ

 クレリックを指定する事で《使徒》および《タボラックス》キャスト時にドローが付与される。更にロード能力のおまけつき。《織端の石》ほど確実に使徒が揃う訳ではないが、6体揃えるという条件達成には大きく貢献できる見込みがある1枚という事に間違いはないだろう。

そしてもう1枚はこちら、《秘密の回収》。

5マナで最大30枚くらいサーチ

 墓地にある《使徒》を追放し、任意の枚数だけサーチできる1枚。とはいえ5マナをここに使うため同ターン中に《使徒》キャストするにもせいぜい1,2枚程度。《ラザケシュ》を呼び出すための最低限となる5,6枚サーチするくらいに留めることとなるがそれでも十分。
 《使徒》を生贄にしつつ《秘密の回収》をサーチできる《アンデッドの大臣、シディシ》は有用と判断し採用。また《シディシ》からサーチし、一旦盤面をリセットして再度《シディシ》から改めて《秘密の回収》等をサーチという動きも出来るため《雪上の血痕》をサイズ問わない全体除去枠として追加。

地味に4/6接死のボディも偉い
サイズ不問のラスは欲しかった

3. デッキリスト

 完成したデッキリストはこちら。

・Moxfield

・晴れる屋デッキリスト

4. 配信での対戦結果

 配信は8/4~8/6の計3日間行われ、自分は4日と6日に参加した。

・8/4の卓:《キナン》→《ネスロイ》→《タボラックス》→〇《ヤロク》
尋常じゃないくらいマナフラッドして一人ゲームにならない状態に。
《カリタス》《虐殺のワーム》どちらとも刺さる(特に前者)のでマナフラッドしてなくても除去が引けてなければどちらにせよ厳しい展開だったかもしれないが、もう少しゲームさせてほしかった・・・。

・8/6の卓:《ジェトミア》→《トヴォラー》→《梓》→〇《タボラックス》
今度はしっかりデッキが動いてくれた。《陰謀の悪魔》で自軍もろとも盤面を流しつつ《タボラックス》肥大化。最終的にカウンター7個乗った《タボラックス》《破滅を囁くもの》《ヴィリス》と強力な飛行戦力に加えリソースもばっちり稼げる体制で勝利。

 配信卓以外でも同リストで対戦を何度か行っており、《使徒》+生贄ギミックという根幹は変わらないもののコンバットによるアグロプラン、《城塞》《ラザケシュ》絡みによるコンボプランいずれも成就することが出来ており我ながら良い具合に仕上げられたと感じた。

5. パイオニアEDH感想

 当初思っていたよりも居心地が良く、とても面白いルールだと感じた。
一定の勝率を出すことに重きを置くのであれば緑絡みの統率者を選んでマナクリーチャー等で序盤を支える動きを採るのが一番だが、緩く遊びたいというのであればどんな色の統率者でも問題ないだろう。またライフルーズやコンバットでの決着も少なくないため、重くて強い生物にスポットライトが当たりやすい。
 また最適化を図るとフェッチランド等でどうしても高くなってしまうが、それらを採用せずに値段を抑えたまま構築しても十分遊べるだろう。レベル帯でいうと4~5前後のEDHが好きな方は是非デッキを組んでみてほしい。
 主催の眞白井エイドさんも企画の振り返り記事を書かれており、そのあたりの空気感についても触れられているのでそちらも是非。

 改めて企画いただいた眞白井エイドさん、フォーマット発起人のるすとんさんおよびリラさん、その他企画協力者の方々にはこの場を借りて謝辞を述べたい。





6. おまけ:巨躯エシカ誕生秘話

 MTGAにもエクスプローラーアンソロジーにて《使徒》が実装されたため《タボラックス》をヒスブロで作成して対戦していた時。対戦相手の統率者は《初祖スリヴァー》。5ターン目まで土地を並べてくるだけの相手だがこちらもそこまで早いデッキではないためじっくり盤面を形成してゆく。迎えた5ターン目、《初祖スリヴァー》から《ティボルトの計略》→《耕作する巨躯》で土地が、いやもはやライブラリーが戦場に並んでゆく。その中には当然《迷路の終わり》が含まれており、土地破壊手段も持たず次のターンで決めきれるわけでもないため投了。

巨躯確定ガチャ(土地97枚)

 《初祖スリヴァー》こそいないものの、よくよく考えれば似たような構築はパイオニアEDHでも再現できそうだと考え、《エシカ/虹色の橋》であれば実現可能だという結論に。そして《ティボルトの計略》を採用するわけではないためちょっとだけ序盤のマナ加速を採用出来る。またアップキープ中に《巨躯》を出すためマナはある程度使えるから《見えざる糸》か《栄光の好機》で《迷路の終わり》を即座に起動できるようにして勝利。

 という考案をし、一部の人へ先にこういうのも組めそうだよねという話をしたところ、アジアで最もヴィンテージが強かった経験を持つくとぅるふ氏がデッキを組んでくれるという事に。一部カードだけ持っていたためそれを渡して配信当日に急遽完成させ、配信にそのまま持ち込んでくれるとのこと。

そして迎えた配信卓。2ターン目《成長のらせん》3ターン目《秘儀の印鑑》4ターン目《虹色の橋》と理想の立ち上がりから無事完走。

メイズエンドRTA in Japan2022会場はこちらです

 このデッキが定着するとそれは別問題が起こりえそうだが、配信で一発芸としては良いものをお披露目出来たのではないだろうか。1試合1時間近くかかっていた対戦がここだけ15分で終わったが。

 ちなみにデッキリストは彼のツイートにて公開中。もし通常EDHでも似たようなデッキを組みたいという方はマネしてみても良いのではないだろうか。尚レア土地がサイクルほぼ全部入るため値段はそれなりに高い。


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