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【EDH】ラザケシュ100枚解説('23/9/24現在)

 《穢れた血、ラザケシュ》が登場してからおよそ6年。手持ちの統率者の中でも気づけば古株になってきており、且つ大会へ参加する際も大半はこの統率者を使い続け、前回の記事でご紹介したように現環境でもぼちぼち好成績を収める事も出来ております。自分の思考整理も兼ね、エルドレインの森が発売された現在のリストから採用理由を含めた解説記事を書く事とした次第です。

デッキリスト

 随時更新しているが、管理しているmoxfieldのリンク先は以下。

統率者

マナコスト、P/T全て8でデッキレベルも8くらい

 8マナ8/8飛行トランプルというマッシブな肉体に2点ペイで《悪魔の意図》が打ち放題という能力。インスタントタイミングで起動は可能だが、自身をコストにする事は不可能なため最低でも隣に1体は生贄要員が必要。また現代のcEDH環境での統率者の基準が3~5マナ、重くとも6マナ程度で色は3色以上がトレンドに対し黒単色の8マナと真っ向から抗うかのような統率者。統率領域に置くよりデッキの中に入れて踏み倒す方が一般的である。
 とはいえ何体か生贄がいれば着地すればほぼ勝つカードである事は誰の目にも明らかである。これまで筆者が黒単色のデーモンという条件下において様々な統率者を試してきたが、着地したターン中にゲームを決められる力を持つこの《ラザケシュ》こそが最も勝率が高く、且つカードプールの拡大によってデッキの拡張性も見込めるため今なお健在の統率者として扱っている次第だ。

デッキ概要、勝利手段

 《ラザケシュ》着地ターン中に生贄要員2体分からサーチを繰り返し、最終的には《ミケウス》+《トリスケリオン》もしくは《投石攻撃の副官》《朽ちゆくゴブリン》による無限ダメージ・ドレインを狙う。そのためあらゆる手を駆使して《ラザケシュ》を着地させる事に注力する。
 《ラザケシュ》+2体分の生贄要員からの繋ぎ方については下図の通り。セットランド済・浮きマナ無し・フルタップで《ラザケシュ》着地を想定した盤面でもマナを工面して勝利まで繋いでゆく。

 上記のように、《悲嘆》による前方確認を1度挟むことを前提にサーチ回数は少なくとも10回行うが、《ミケウス》後に《陰極器》1回目で《投石攻撃の副官》を着地させる事で最大5点ドレイン可能なため残ライフは21でなく9回目までの19が最低でも必要となる。逆に、残りの半分近いライフは自らペイライフしたりコンバットで削られても問題ない範囲であるとも言える。
 ルート内で使用する非生物呪文は《LED》《動く死体》の2枚。これらは道中で4マナ目へ到達するために使っているが、セットランドがまだの状態であれば《Lake of the Dead》をサーチする事でこの2枚を経由する必要はなくなるため、《耳の痛い静寂》《神秘的負荷》《イーオスのレインジャー長》《激情の後見》のような非生物呪文への妨害手段を無視して走る事が可能だ。

爆発力最高クラスの土地

 《ラザケシュ》が8マナという重量級であるため、マナアーティファクトと黒の一時的なマナ加速で効率の良いものは多数搭載している。またルートの起点となる生物が2体必要だが、《巣のシャンブラー》を経由する事で黒1マナ浮きがあれば1体からでも走る事が可能。そのため、走るために最低限必要なリソースは以下となる。
・8マナ+生物2体
・9マナ(黒1マナ浮き)+生物1体

 自分から仕掛ける際は凡そ3~4ターン目である一方、スロットの大半をマナ加速やルート用のカードに割いている上に黒単色であるため他者への妨害手段は一部の除去や《敵対工作員》等と非常に限られており、走った人を止める事はほぼ不可能。またルートの途中で除去やカウンターといった妨害を挟まれると余計にサーチ回数が増えてライフやマナが不足してしまい、結果的に走り切れない事も起こり得る。明らかに妨害が透けていて自分が走った事によってその妨害を吸い、結果第3者が完走するというような展開は避けたいため、状況に応じては走れそうであってもあえて仕掛けず次のターン以降へずらす事も場合によっては視野である。
 またリソースの回復については不得意であり、引き増しが出来る手段は《一つの指輪》頼りである。そのため長期戦を得意とするミッドレンジ~コントロール系統が卓に複数いる場合は《一つの指輪》《黙示録、シェオルドレッド》と併せて彼らのゲームレンジに付き合う必要が出てくる。
 統率者がリソースを変換できる能力を持っていると言えなくもないが、そもそも着地したらほぼ勝つためリソース云々どころではない。妨害系の置物によってルート完走が難しい場合は8/8飛行トランプルという恵まれたボディを活かして統率者ダメージにより無理やりどかし、改めて走るというプランも視野に入る。
 各カードの詳細については以下項目にて記載する。

クリーチャー

《巣のシャンブラー》

黒単統率者において1マナで確実に2体分になれる唯一の生物

 上述したルートにある通り、《ラザケシュ》着地時点で生物が1体しかいなくとも余剰の黒1マナがあればルートに入る事を可能とした生物。トークンの生成量は自身のパワーを参照するため、《ミケウス》下では+1/+1修正を受けた状態で不死するため最大7回サクる事も一応可能。(そんなことをした試しは無いが)

《ギラプールの希望》

希望(絶望)

 1人限定の対話拒否手段。生物のため最悪サーチの生贄要員に充てても良い。1マナと軽い上に無色マナが余る事もあるため、《ラザケシュ》着地ターンに引いても1マナ余裕があるならそういう運用も可能なため比較的無駄になりづらい。

《ダウスィーの虚空歩き》

相手には絶対出されたくない1体

 黒黒の捻出に困る事は多々あるが、《死の国からの脱出》《意志を縛る者、ディハーダ》を睨んだり他人のカウンターをバックアップにつける事も可能。《生ける屍》を絡める必要がある時は《敵対工作員》等のように墓地に残って欲しくないものも追放してくれる。

《オークの弓使い》

モダンやレガシーでも活躍中

 《フェアリーの黒幕》や相手の《弓使い》を処理するために採用しているという側面もあるが、2マナで2体分になるため仮に誰も追加ドローをしなかったとしても最低基準のスペックはある。

《鉛のマイア》

20年経ったしそろそろ1/3のマナマイアが欲しい

 生物がいなければ走れないため、マナ加速を内蔵した生物の価値は相対的に向上する。特に黒マナを捻出できるものの優先度は他よりも一段階上になる。現代cEDHにおいて召喚酔いするマナクリの一般的な評価は一部デッキ以外は低くなりがちだが、本デッキにおいては必要な枠である。また《エスパーの歩哨》《神秘的負荷》下であっても引かせること無くマナ加速が行える点も非生物マナファクトより勝る点と言えよう。但し《オークの弓使い》に射抜かれる程脆弱なサイズであるため以前より場持ちは相対的に悪くなってしまっている。
 なお純粋に1マナ捻出するだけのマナクリは計5枚採用しているが、他にも2マナ0/1で無色マナを生成する能力を持つものは2種存在する。それらは《ラガバン》と相打ちが狙えないという理由により不採用としている。

《マナキン人形》

無色マナ出すだけの1/1

 無色マナしか出せないため《鉛のマイア》の下位互換ではあるものの先述の通りマナクリは生贄になるという観点から価値があるため採用。

《疫病のマイア》

一応感染持ち

 《マナキン人形》とほぼ同スペックではあるが、感染持ちのためブロッカーとしての性能は少し上回る。

《マイアの改宗者》

パワー2で任意の色マナが出せるマナクリ

 基本的には少々痛い《鉛のマイア》だが、パワーが2あるため《織り手のティムナ》を睨む事も可能。黒マナが出せるためペイライフを伴うものの優先度は高め。

《極楽の羽ばたき飛行機械》

飛んでてタフ2

 他のマナクリが一律タフ1に対し、唯一タフ2あるマナクリ。パワーは持たないものの、《弓使い》1発なら耐える点が優秀。更に飛行持ちのため《ルーデヴィックの名作、クラム》等の攻撃を守る必要がある時は差し出す事も視野。

《Soldevi Adnate》

イラストは2種ある(こちらは男性版)

 タップと黒かアーティファクト生物をサクる事でそのマナ総量分の黒マナを生成。自身をサクる事で2マナ分貯蔵しておく事も可能だが、ピッチした《悲嘆》やマナを生成する《ギックスの僧侶》《陰極器》《Su-Chi》をサクって《ラザケシュ》着地を狙いたい。

《Priest of Yawgmoth》

この見た目で人間・クレリック

 前述の《Soldevi Adnate》同様にタップ+アーティファクトをサクる事でそのアーティファクトのマナ総量分の黒マナを生成。こちらは生物・非生物問わずアーティファクトなら何でも黒マナへ変換する事が出来るため《陰極器》《Su-Chi》だけでなく《厳かなモノリス》《スランの発電機》も即座に使えるマナが増えるようになる。

《朽ちゆくゴブリン》

1枚で2体カウントでもある

 ルートの終着点で必要になる1体ではあるが、これ単体でも生贄2体分になるため素引きしてもルートを走るに際して最低限の役割はある。

《目覚めた潜伏工作員》

3マナ瞬速持ちの《影武者》

 コマサミレポートでも書いたように《酷叛明神》のコピーとして着地して全体リアニ2回目を挟む事が可能。他にも《ラザケシュ》起動スタックで除去を被弾しそうになった際、スタックで《Sacrifice》サーチ、《ラザケシュ》を生贄&墓地へ送り除去をフィズらせ、最初に起動したサーチで《潜伏工作員》を引っ張り《ラザケシュ》として着地させ、5マナ浮きとなるため手札に軽量生物がいればそれを起点にルートを走り直す事も可能。

《沼の妖術使い》

差し引き2マナ捻出

 《暗黒の儀式》スペルシェイパー。無色マナは軽量マナファクトから捻出が比較的容易であるが、黒マナをしっかり3マナ分確保できる生物というのは貴重である。2マナのマナクリと同等のサイズしかない点は御愛嬌。
ディスカードを伴うため何回も起動しているとリソースが枯れてしまうが、逆にそれを活かしてメリットになる事もある。

《熱心すぎる弟子》

妖術使いよりちょっとだけタフネスが高い

 生物ではあるものの、マナを捻出する際に自身の生贄を伴うため頭数は増えない。こちらも起動時に1枚手札を消費するが、《沼の妖術使い》共々ディスカードを活用する術として《統率の灯台》で《ラザケシュ》を回収し、リアニしたり《壊死のウーズ》で《ラザケシュ》になりきるという芸当も可能。2ターン目マナクリから3ターン目に《弟子》経由で上記手順により《動く死体》《Dance of the Dead》から《ラザケシュ》を着地させた場合においても黒1浮き+生贄1体の盤面になるためそのままルートへ入る事が可能である。また《ドラニスの判事》がいたとしても強引に走る事が可能。

《イルミノール・スゼラス》

デカいSoldevi Adnate

 《Soldevi Adnate》とほぼ同一の能力を持つが、自身をサクる事は出来ない。またアーティファクト生物であるため《無のロッド》系統が置かれていると起動する事が出来ないという欠点もある一方、《金属細工師》で公開できるというメリットも一応ながら存在する。3/3という優秀なボディを持つため《ラガバン》《ティムナ》のような地上生物は大抵止められる。

《陰極器》

マナバーン廃止によってデメリット無し

 ルート中でも必要だが、《弱者選別》等の単発スペルも含めサクってマナを捻出するカードを噛ませる事で《ラザケシュ》着地が近づくため素引きした時はベタ置きする事もしばしばある。

《ギックスの僧侶》

タフネス2だとより嬉しかった

 こちらも《陰極器》同様ルート中に噛ませるカード且つサクってマナへ変換するカードとあわせることで《ラザケシュ》着地に貢献する事が出来る1枚。《黒玉の大メダル》《ケリク》がいると1マナ分の加速にもなる。現在のオラクルでは人間が追加されているため《ミケウス》では不死しない。

《敵対工作員》

絶対出されたくない2号

 3~4ターン目に仕掛ける都合、どうしても手番が上・仕掛けるターンがより早い相手へは無防備となってしまうため、最低限抗うために採用。サーチに合わせてマナ加速をもらう事で擬似的にマナ加速内蔵生物になったり、《激情の後見》等のカウンターをもらって1枚バックがある状態でルートに入る事も可能。但し動きがほぼソーサリータイミングに集中しているためこれのために3マナ構えていると間違いなく読まれる。

《悲嘆》

モダン・レガシーで活躍中その2

 ピッチ持ちの生物であるため、生物を生贄にマナへ変換するカードを絡めて妨害を弾きながら《ラザケシュ》着地させたり、手札に追放しても問題ない黒いカードが1枚でもあれば《ラザケシュ》からサーチしてピッチキャスト、想起誘発スタックでサクりサーチにする事でより安全にルートを走る事が可能。またハンデス能力は対戦相手のみの対象であるため、《偏向はたき》で自分へ曲げられることは無い。勝率に貢献する影の立役者。

《壊死のウーズ》

通称おにぎりウーズのウーズ担当

 黒単で数少ない2枚コンボを成立させる1枚。《生き埋め》で《Phyrexian Devourer》《トリスケリオン》《壊死のウーズ》を落とし、釣り竿で《壊死のウーズ》をリアニする通称おにぎりウーズだが、本構築においても採用している。また《ラザケシュ》に対する追放やバウンス除去を被弾しそうになった時は《ラザケシュ》をサクって墓地へ逃がし、《ラザケシュ》の能力を拝借して《生き埋め》を探して勝つといった事も可能。

《無情な屍技術師》

NEO神河が生んだ革命児その1

 ルートの最中に使うカードでもあり、《陰極器》《Su-Chi》を生贄に《ラザケシュ》早期着地も狙える1枚。下の能力はあまり使わないが、《目覚めた潜伏工作員》を吊り上げて強引にルートを走るという事は稀にある。

《黙示録、シェオルドレッド》

使用可能なフォーマットほぼ全部で活躍中

 自ら追加ドローする手段は《一つの指輪》のみだが、本体のサイズと相まって地上の攻撃はほぼ止める事が出来、その間にちょうど1回あたりサーチ1枚分のライフゲインをもたらしてくれるため余裕をもってルートに入るようになれる他、雑多なドローに対しても待ったをかける。構造上ロングゲームが苦手であるため、どうしても付き合わねばならない展開になった際は非常に頼りになる1枚。

《投石攻撃の副官》

無限コンボのフィニッシュ役

 ルートの終着点で必要になるが、これ1枚で3体分の生贄要員が確保できるため《ラザケシュ》が除去を被弾しそうになった際、余っている1体を《この世界にあらず》へ変換して守り、残り2体分でルートを走る事が可能。
またドレイン能力は自身を生贄に出来るため《ミケウス》下では自身の生贄&不死した際にも生成するトークンと合わせて不死後の本体を残したとしても5点分はドレイン可能。

《Su-Chi》

再録されていないためお高い1枚

 嘗てはルートに組み込んでいたが、今は不要となった。だが生物を生贄にマナへ変換する手段を多めに採用しており、分解するとちょうど《ラザケシュ》が着地出来るマナを生成できるため今なお重宝する1枚。

《晶洞ゴーレム》

攻撃が通るとそのままルートに入る

 ダメージが通ると《ラザケシュ》を無料キャストし、更にこれ自体が生物であるためルートに入る事が可能。要するに次のターンで決めるという宣言である。トランプル持ちであるため除去されなければまず誘発させられる。
既に一度統率領域から《ラザケシュ》を唱え、2回目以降のリキャストとなる場合これによって踏み倒せるのは元々の8マナ分のみ。統率者税は追加コストであるため別途支払う必要がある。

《アスフォデルの灰色商人》

3種類目の勝ち手段

 コンバットの矛先が常にこちらに向き続けた場合は流石にルートを走るだけのライフが残されていない事が多いが、ルートに必要なライフを取り戻したり、或いは《一つの指輪》のプロテクションの上から貫通して勝利手段となる事も可能。

《不浄なる者、ミケウス》

様々なコンボのお供

 本構築の終着点の内2つがこの《ミケウス》を絡めた無限ダメージ・無限ドレインであり、無限でなくともある程度の信心がたまれば《アスフォデルの灰色商人》を不死して吸いきれるため重要な存在。そのためこのカードだけは《金属モックス》《悲嘆》で追放する事はまずない。

《トリスケリオン》

ミケウスやおにぎりウーズのお供

 勝利する際にライフを削り取る要員。それなりに重いマナコスト持ちのため、《ドラニスの判事》《敵対工作員》等を除去した後に《Soldevi Adnate》等でサクって《ラザケシュ》着地から走るという事もたまにある。

《Phyrexian Devourer》

おにぎりウーズのおにぎり担当

 《生き埋め》で落として《壊死のウーズ》に能力を分け与える要員。こちらも素引きした場合は1ターン跨いでからサクってマナへ変換する事も稀にある。

《ヨーグモスの息子、ケリク》

統率領域にいる事の方が見かける

 先述の通り、ライフは20点近く使っても問題ないためルートに入る際に用いる。元手4マナ+6~8ライフあればサクってマナ変換するカードと併せて7マナ捻出できる。《沼の妖術使い》《ギックスの僧侶》等が普段より1マナ分加速できるようになるため、ある程度マナ加速が揃っていると《ケリク》着地ターンに決めに行ける事も。

《溜め込む親玉》

よく半分こにされている

 本構築では《ラザケシュ》へ繋げてルートへ入るが、主に以下のどちらかとなる。基本的にはリアニ経由で着地する事になるが、タップインしてしまう《Dance of the Dead》を使う必要がある場合はそれぞれ黒1マナ分追加で必要になる。
・生物2体もしくは生物1体+黒1マナ浮きから《Sacrifice》をサーチ&自身を召集で寝かせつつコストにして8マナ
・2マナ浮き状態から《Saw in Half》を経由して最終的に生物2体+9マナ
※詳細は以下図説

※《ギックスの僧侶》を組み込んでいるが、《暗黒の儀式》《巣のシャンブラー》《LED》等でもルートに入る事は可能。

《酷叛明神》

NEO神河が生んだ革命児その2

 全体リアニ内蔵生物だが、似たような能力を持つ《バルソー》と違って相手の余計な生物をリアニする心配もなく、仮に《四肢切断》で除去した場合は相手の元に戻るのではなくこちらのコントロール下に来る。またリアニする生物もこのターンにどこかから墓地に落ちてさえいればいいため色の制限はない。本人が場に残るためそれを元手にマナへ還元できる点も本構築においては勝る点である。これ本人をリアニしても破壊不能カウンターは得られず5/2バニラが爆誕するため必ずマナを払ってキャストする必要がある。一度出してサクる必要はあるが、《潜伏工作員》をキャストしてこれのコピーになることでしっかり破壊不能カウンターが乗った状態で着地出来る。
 類似能力を持つ5~6マナのインスタント・ソーサリーは他にもあるが、勝敗に直結する能力であるため先述した非生物への妨害手段を無視出来る点でこちらに軍配が上がる。

呪文

《金属モックス》

SL版旧枠がお気に入り

 先述の通り、ハンドアドを稼ぐ方法に乏しいデッキではあるものの、デッキ全体がやや重めな点も相まって手札を消費するデメリットには目を瞑ってでも1ターン目2マナアクションを実現できるため利用価値はある。土地を並べたいため、《モックス・ダイアモンド》よりは扱いやすい。

《宝石の睡蓮》

統率者キャスト用のマナソースとしては最高効率

 ヴィンテージレベルのマナ加速が許される統率者戦においても最高クラスの瞬発力を誇るマナファクト。本構築においても非常に有用な加速手段の一つである。無色マナは比較的供給が容易であるが、無から黒マナ3点追加できるのは基本的にこれのみ。統率者のキャストがゴールの第一段階でもあるため、キャストするまでの間は基本的にいつ引いても嬉しい1枚。

《ライオンの瞳のダイアモンド》

通称LED

 セットランド済状態でルートを走る上で欠かせない1枚。セットランド未で沼2枚あるなら擬似《宝石の睡蓮》として全てを捨てて戦う男になる。

《水連の花びら》

エッチングfoil版も入手したいところ

 1ターンの加速・無から有色マナを生み出す手段として最適化を図るデッキであれば概ね採用傾向にある1枚。本構築でもまさにその1ターンを得るために採用している。仮にセットランド済状態で《LED》を砕いて《ラザケシュ》着地からルートに入る場合、生贄の数が3体いればこれ+《暗黒の儀式》なり《Sacrifice》+《生ける屍》なりを経由して強引にルートを走る事も可能。

《魔力の墓所》

ゲーミングマナクリプト(紫)はちょっと欲しい

 大半の構築で重宝されるマナファクト。《伝国の玉璽》等でサーチ先は概ねこれになる事が多い。卓内の統率者にもよるが、比較的コンバットの矛先が向きやすいためそこに更に3点ダメージも積み重なってルートを走るには少々ライフがキツくなってしまう事もある。

《モックス・ダイアモンド》

差異はあれど概ね2枚目の金属モックス

 基本的には《金属モックス》同様にディスアドと引き換えに1ターンを得るためのカード。《一つの指輪》下で複数ドローが出来ている状況であれば土地も余りがちなため《金属モックス》より相対的にコストが軽い事もある。

《弱者選別》

追加コストの生贄は時にメリットにもなる

 追加コストを伴う分捻出できるマナが多くなった《暗黒の儀式》。
《陰極器》《Su-Chi》をサクると《ラザケシュ》着地が見えてくるため状況によっては最も強力なマナ加速手段になる事もある。

《暗黒の儀式》

β版が最もお気に入り

 8マナを目指すためにマナ加速手段はいくらでも欲しいため、+2マナ分かつ黒トリプルシンボルをちょうどカバーできるこのカードはいつ引いても価値がある。生贄に余裕がある場合かつ《LED》を弾かれた際はルートの途中で使う事もある。

《納墓》

親玉を落とす手段

 釣り竿とセットで揃い、且つ2マナ浮きであれば先述の《親玉》から8~9マナ+生物2体を捻出して《ラザケシュ》着地でルートに入る事が可能。既に《トリスケリオン》と《壊死のウーズ》が盤面にいれば《Phyrexian Devourer》を落として《トリスケリオン》を自害させておにぎりウーズが成立する手段にもなり得る。

《伝国の玉璽》

玉璽感は薄くなったが拡張版のドクロが禍々しい

 引き増しする手段が《一つの指輪》しかないものの、軽いサーチであるため序盤のキープ基準に貢献する。他の手札や盤面等にもよるが、概ね《魔力の墓所》を積むことが多いのは他のデッキと変わらず。

《魔力の櫃》

無色マナを捻出する暗黒の儀式

 着地したターンであれば《暗黒の儀式》同様に差し引き2マナ加速となるが、そちらと違って先置きして後から3マナ分活用できる点は勝る。1ターン目に設置して2ターン目《エルドレインの玉座》《晶洞ゴーレム》と中間地点となる加速手段へ繋ぐ事もある。

《汚物の雨》

再録されていない1枚

 土地3枚あれば《暗黒の儀式》相当の出力となる。当然ながらこれを通した際は全てを捨てて戦う男になるためそのまま完走を目指す。《宝石の洞窟》経由していると土地の枚数が多い分より早いターンで仕掛けやすくなる。

《再活性》

レガシーでもお馴染み

 最軽量かつエンチャント破壊による妨害を受けないため《精神的つまづき》を受ける点とライフルーズする点以外は最も信頼がおける釣り竿。吊り先は基本的に《親玉》になりがちだが、《ギックスの僧侶》を《弱者選別》してから釣り直す事でマナ加速したり、カウンターされた《ラザケシュ》をあえて墓地に落としてこれで釣る事も視野に入る。

《Sacrifice》

親玉からラザケシュに繋ぐための要

 《親玉》を分解して8マナ捻出する他、《弱者選別》同様に《ギックスの僧侶》《陰極器》《Su-Chi》を割ってマナに変換して《ラザケシュ》へ繋ぐ事も可能。黒1浮きから《ラザケシュ》を着地、起動スタックで追放除去等が飛んできた際は上からこれを探し、《ラザケシュ》を生贄に8マナ生成、最初に起動した方で《生ける屍》から3マナ浮きでルートに入るといった事も可能。

《太陽の指輪》

コマンダーコレクションブラック版からは良い無色マナが出る

 最も入手難易度が低い高効率かつ恒久的なマナ加速。マナクリや《黒玉の大メダル》等の不特定2マナカードは一定数採用しているため着地ターンに後続を追加する事もしばしばある。あとよく《精神的つまづき》される。

《吸血の教示者》

ドミリマの旧枠ドクロ版を愛用

 《玉璽》同様、概ね《魔力の墓所》を探してくる事が多いが状況に応じて《Lake of the Dead》《悲嘆》《再活性》等を探して来れる。《玉璽》と違ってインスタントのため積んだカードを《ラガバン》に盗まれる心配もなく、1周で状況が変化しやすいEDHにおいては自ターンで探す予定だったものより優先度を上げて別なものをサーチするという場面も少なくない。

《動く死体》

癖がなく扱いやすい釣り竿

 ルートに入った際《ギックスの僧侶》を吊り上げて4マナ目へ到達する手段として使ったり、《親玉》をアンタップインで吊り上げられるため《再活性》の次に有用。着地して誘発した際に割られると墓地の生物は戦場に出ることなく墓地にとどまったままとなる。
もし仮に《ラザケシュ》をカウンターされた際にこれで釣ると《屍技術師》で生成できる宝物が7個にしかならないため、+1マナ分を別で確保する必要がある。

《陰謀団の儀式》

コモンの割にちょっとお高い

 差し引き1マナ分の加速ではあるが、黒トリプルシンボルを賄う事が可能。また《黒玉の大メダル》があれば《暗黒の儀式》同様のスペックにもなる。基本的にスレッショルドする事は無いが、ルートに入った際に余剰の生贄要員がいればスレッショルドでマナを工面して完走する事もある。

《Dance of the Dead》

気付けばいいお値段になっていた

 基本的には《動く死体》と同様の釣り竿。誘発スタックで割られると墓地にとどまったままな点も同様。違いとしては以下。
・《動く死体》
生物:アンタップ状態
修正値:-1/-0
・《Dance of the Dead》
生物:タップ状態
修正値:+1/+1

 タップ状態である事がネックになる状況は《親玉》を経由する際に発生する。ルートに入った際《ギックスの僧侶》を釣る時はどちらでも変わらない。また《ラザケシュ》をカウンターされた際に釣った場合、《屍技術師》で生成できる宝物が9個になるため余計な手間は発生しない。

《防御の光網》

黒単で積める対話拒否

 いわゆる対話拒否カード。とはいえ3マナ払える場合は完全な対話拒否ではなく、更に《母聖樹》で割って別のピッチスペルで対応される可能性もある。それでもほぼ全員に対してスペルによる干渉をシャットアウト出来る手段は黒単においては貴重。

《悪魔の教示者》

サマー版のみ額の六芒星が消えている

 先述した《玉璽》等と同様、基本的に《魔力の墓所》等のマナ加速をサーチするが、《親玉》経由用のパーツや《生き埋め》《一つの指輪》等状況に応じて変わる。直接手札に加わるため、次のドローで更に追加の加速手段などを引く可能性にも期待できる。

《厳かなモノリス》

無色マナを捻出する陰謀団の儀式

 《魔力の櫃》より1マナ重いため、こちらは基本的に先置きして次のターン以降で《エルドレインの玉座》《晶洞ゴーレム》《ラザケシュ》等のより重めの呪文へ充てる事が多い。

《黒玉の大メダル》

都合2マナ分以上の加速になる事もある

 《ラザケシュ》だけでなくあらゆる黒い呪文が軽くなるため《陰謀団の儀式》《ギックスの僧侶》《屍技術師》はより効率のいいマナ加速となる。また《四肢切断》があれば《敵対工作員》が飛び出してきたとしてもマナを使わずに処理可能。

《生き埋め》

昭和のコンボパーツ

 落とすパーツはおにぎりウーズパッケージの《壊死のウーズ》《トリスケリオン》《Phyrexian Devourer》。釣り竿で《壊死のウーズ》を戻せばコンボパーツが揃う状態になる。本構築ではコンボに必要なパーツを除くと160マナ程度あるため、初期ライフからゲインされていなければ削りきれる。スロットは圧迫するものの、黒単で扱える4-5マナかつ2枚コンボであるため採用している。

《四肢切断》

悪魔の長アザックス=アザグはいつカード化されるのだろうか

 ライフこそ必要だが1マナで打てる者の中では範囲が広く、《ダウスィーの虚空歩き》《敵対工作員》を処理する手段としても重宝する。《ヤシャーン》は3マナ払って除去するしかない。

《Saw in Half》

何故か使えるジョークセットのカード

 基本的に《親玉》を分割するためのカードだが、《ギックスの僧侶》を割ると6マナ生成しつつ生物2体分となるためそこを起点にルートへ入る事も可能。半分のコピートークンを生成するのは破壊した生物が死亡した場合のため、《ダウスィーの虚空歩き》がいれば3マナの除去としても一応扱える。

《致命的なはしゃぎ回り》

新規イラストでも再録された統率者ピッチ

 《ラザケシュ》から探して即座にキャスト出来るためルートを走る際は余剰なマナが不要である。範囲が広いため《偏向はたき》で曲げられる点は要注意。

《殺し》

主に非黒統率者を狙う

 ルートを走る上で障壁となる《ダウスィーの虚空歩き》《敵対工作員》を処理する事は出来ないが、《溜め込み屋のアウフ》《ドラニスの判事》《エイヴンの思考検閲者》等はピッチで処理できるため重宝する1枚。今後仮に《ダウスィーの虚空歩き》《敵対工作員》が増えるようなら他の除去へ差し替える事も検討する。

《一つの指輪》

使用可能なフォーマット全てで使われている

 引き増しが苦手な本構築において唯一採用している手軽なドローソース。更なるマナ加速をかき集めつつ《悲嘆》のピッチコストを確保できる。またこれによって中盤以降の《玉璽》《吸血の教示者》の価値も向上する。これと《シェオルドレッド》を揃えてロングゲームに付き合う事も不可能ではない。

《スランの発電機》

拡張版はFTにてヨーグモスの台詞

 4マナ設置で3マナを恒久的に捻出。設置ターンにマナクリを追加しつつ次ターンでも《ラザケシュ》用の無色マナを担保してくれる。但しこの枠も今後の調整次第では入れ替え候補となる。

《生ける屍》

リメイク版はモダンで活躍中

 《LED》経由しないとルートに入れないにもかかわらず《酷叛明神》が手札に来てしまった際はそちらを諦めてこれを起点にする。唯一の全体除去枠でもある。これを打つ事を想定した場合、障壁となる生物達を除去する際は《ダウスィーの虚空歩き》下で処理する事で追放しておきたい。

《エルドレインの玉座》

英語名はThrone of Eldraineでエルドレインの王権と同名

 《金粉の水蓮》と差し替えた枠。そちらと違って無色アーティファクトのキャストや能力の起動には使えないものの、それ以上に4マナ分の加速が非常に有用であるため実質的に上位互換と言って差し支えない。起動する機会はあまりないかもしれないが、一応2ドローのモードも存在するためスタックス系の置物やサーチ封じ等で走れない時は起動する機会があるかもしれない。
マナを捻出しながら《Priest of Yawgmoth》で砕くと黒9マナが得られるため、これら2枚を起点に《ラザケシュ》着地から黒1浮きでルートに入る事が可能。

《この世界にあらず》

激情の後見

 生贄に余裕はあるがマナが無い時に《ラザケシュ》へ除去を打たれた際に1回までならこれで弾くことが可能。能力へも干渉できるため《大田原》にも対応可。また対象が限定的であるがゆえにその上から《偏向はたき》されても曲がらない。

土地

《古えの墳墓》

名前打つ時"いにしええ"と入れて変換している

 ルートを完走する際のライフは初期値の半分あればいいため、この土地から4~6点受けてもそれが響いて走れないという事態にはなりにくい。但しロングゲームになった際やコンバットの矛先がこちらに向き続けるような展開になると流石にこの土地の2ダメージも無視できなくなる点は留意する必要がある。それを差し置いてもセットランドだけで1マナ分上のアクションへ繋げられるのはライフ以上の価値がある。

《魂の洞窟》

アヴァシンの帰還以来久しぶりにスタンダードセットで再録

 《ラザケシュ》を絶対に通したいため指定は主に「デーモン」
それ以外を指定する事はあまり無いが、《潜伏工作員》《ケリク》《シェオルドレッド》用のファイレクシアン、《壊死のウーズ》用のウーズ、《ミケウス》《アスフォデルの灰色商人》用のゾンビ、《酷叛明神》用のスピリットを指定する可能性がある事は念頭に入れておいても良いかもしれない。

《裏切り者の都》

レガシーで墳墓とよく併用される

 《墳墓》と違って1ターン目に置く事はまず無く、2ターン目に置くかも怪しいが普通の土地より1マナ分の加速が出来るのは有用。こちらはライフが減らないため、自壊するデメリットも加味して少し削られた中盤頃がメリットを享受しやすい。

《統率の灯台》

様々な小テクを内包した土地

 《ドラニスの判事》を置かれても《ラザケシュ》を回収してキャスト可能になるが、釣り竿+《沼の妖術使い》《熱心すぎる弟子》があれば拾った後で捨てて墓地から釣る事で早期着地させる事も可能。

《宝石の洞窟》

1番手に限って初手にある時が多い伝説の荒地

 初手限定だが1マナ・1ターンを得る《金属モックス》《モックス・ダイアモンド》とも言える土地。手札の消費が激しいが《吸血の教示者》を0ターン目にキャストして更にマナ加速やパーツを探してくることも可能。先述の通り《汚物の雨》がより強く扱えるようになる。初手以外で引いた時は概ね《モックス・ダイアモンド》のコストに充てられがち。

《Lake of the Dead》

アライアンスのトップレア(ウィルはアンコモンのため)

 《ラザケシュ》の着地に大いに貢献し、またセットランド未の状態から非生物を介さないルートに入るにも重宝する土地。これのために《沼》換算できる土地の枚数バランスは気を配っており、自分が一番扱いやすい枚数は《アーボーグ》込みで25枚に至った。

《ファイレクシアの塔》

実はクレイドルやアカデミーのサイクル

 生物と引き換えに通常の土地より1マナ分の加速を行う。主に《陰極器》《Su-Chi》を分解して《ラザケシュ》着地の糧とするための土地。

《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

使えるフォーマット全てでお世話になっている土地

 《Lake of the Dead》の候でも触れた通り沼カウントが重要になるが、特殊地形を重ね引いた場合はこれのお陰で2つ以上沼を確保する事が可能。0ターン目《宝石の洞窟》経由した場合は1ターン目にセットして2ターン目《Lake of the Dead》を絡めて6マナまでジャンプが可能となる。(即ちルートを走る際は1ターン目に2マナ以上の加速+生物1-2体が必要となる)

《ウルザの物語》

概ね2枚目のLake of the Dead

 3章解決時にマナを捻出しながら《宝石の睡蓮》《魔力の櫃》をサーチすると土地1枚で4マナ分工面できる。3章解決ターン中に仕掛けるのが難しい場合は《魔力の墓所》《太陽の指輪》をサーチして翌ターンに向けて展開に充てる。非生物マナ加速ばかり引いて生贄が確保できない場合においても2章のトークン生成は役立つ。

《沼》24枚

この川に流れているのはラザケシュの血なんですよ(早口)

 先述の通り《Lake of the Dead》用の沼カウントは《アーボーグ》含めて25枚程度が自分の中での基準となった。《エメリアのアルコン》に引っかからず、《月の大魔術師》で山にされる事も無いため最も信頼のおけるマナ基盤である。

 以上が執筆時点での100枚解説です。文字数が多く、項目でまとめてご紹介ではなく各カードについて触れた上に画像も添付したため非常に長くなってしまいましたが、最後までご覧いただき有難うございます。


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