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ウォーハンマー新規統率者の可能性を探る

1.ウォーハンマー統率者デッキ

 2022年10月7日に発売した「ウォーハンマー統率者デッキ」。
コラボ製品とあってウォーハンマーのキャラクター達が新規カードとして収録され、またその世界観に合わせたイラストでの再録カード達で構成された構築済みデッキである。カードの枠や偽造防止ホログラムもシークレットレイアー等で登場したものが用いられており、特別感を一層引き立てている。

使っている《秘儀の印鑑》は全部画像右端のイラストにしました

 デッキは4種類存在し、通常版とコレクターズエディション版の2種類が存在する。どちらとも収録カードの種類に違いは無いが、後者は英語版限定かつサージfoilと呼ばれる特殊なfoilが用いられている。過去のマジックのカードでも同様の加工を施されたものが存在し、その中ではマリット・レイジトークンが有名だろうか。

通常版と異なりパッケージ端部にCOLLECTORS EDITIONと書かれおり、
反対側の端部も黄色が目を惹くデザイン
サージfoilと同様の加工が為されたマリットレイジトークン

 統率者を熱心にプレイしている層だけでなく、ウォーハンマーファンにとってもウケが良く、収録カードもデッキ制作意欲を掻き立てるようなものが目白押し。執筆時点である2022年11月2日現在、新規カードが早速レガシーでも結果を残したという報告を目にしており、統率者にとどまらず他フォーマットでも研究され始めている。

レガシーで新たなコンボデッキが誕生

 しかし、通常セットと異なりコラボ製品であるため通常エキスパンションのように大多数のユーザーの目に留まるかと言えば決してそうではなく、更に公式もこのセットを大々的にプロモーションしたり、その中からピックアップして統率者のデッキを紹介するといった事はされていないように見受けられる。
 個人活動で紹介記事を手掛けた久遠灯璃さんという方がいる。ご存知ない方のためにご紹介するとコマンダーサミットやコマンドフェストといった統率者の大会で優勝経験がある実力者。その方が本セット新規収録となる伝説のクリーチャー全てに関して方向性やコンボをご紹介されているため、良ければこちらの記事も一読いただきたい。

 本記事では久遠さんのように全ての統率者について触れるようなことはしないが、その中でも自分が興味を持ち作成に至った統率者をピックアップしてデッキを紹介する。

2.新規デーモン:ベ=ラコール

 まずウォーハンマーの新規カードが紹介されてゆく中で真っ先に目に留まったのは《暗闇の君主、ベ=ラコール》

絶対組むしかないと感じさせるテキスト

 デーモンに関する能力を2つ有するグリクシスカラーの統率者。CIPで自身を含むデーモンの総数だけドローとライフルーズ、他のデーモンが着地した際にそのデーモンが任意対象へパワー分ダメージ。デーモンを一定数デッキへ入れる事で実力を発揮するが、願わくばまず1体は先出しして《ベ=ラコール》で2ドロー、後引きしたデーモンで火力という流れが望ましいだろう。幸いにも《ベ=ラコール》が収録された「禍つ神々の力」には黒だけでなく青や赤のデーモンに軽量~中量級のものも新規収録されており、《ベ=ラコール》の前後で扱うにもうってつけである。

 また久遠さんの記事でも触れているように《ベ=ラコール》は青黒を含む偶数マナコストの統率者であるため《ジャイルーダ》を相棒に指定でき、《ジャイルーダ》もデーモンであるためコピーを大量に生成する事でダメージ誘発で勝利も狙える組み合わせである。そういった方向性の構築も検討したが、新規の優秀なデーモン達に奇数が多く他にもデッキの根幹を支えるマナ加速・サーチ・カウンター等の防御札も奇数に集中している事を考慮すると、それらを諦めるには惜しいと判断し相棒無しの構築を検討することとした。

《ジャイルーダ》相棒も魅力的だが優秀なピッチスペルが軒並み奇数

 相棒による縛りが無い構築だとしても、《ベ=ラコール》を活かすには一定数のデーモンを採用する必要がある。そしてデーモンの多くは黒に集中しており、大半が5マナ以上だ。そんな魅力的なデーモン達を片っ端から採用したい気持ちは山々いや沼々だがあまり入れすぎると序盤の動きが安定しなかったり防御札が減ってしまう事に繋がるため選定する必要がある。
《意志の力》《否定の力》といったピッチカウンターを採るに際してそれら以外の青いカードも20枚程度は欲しいため、青絡みのデーモンを意識的に採用してゆく必要がある。先述の通り、幸いにも新規デーモンの中には青絡みのものが一定数含まれており、デッキの方向性や他の採用カードとのシナジーを考慮して優先度を上げて良いと判断した。

青単色と青赤の2色のみのデーモンは今回初登場

《ロード・オヴ・チェンジ》:CIP3ドロー付の6/6飛行・護法③持ち。青い《ルーン傷の悪魔》のようなスペック。

《ピンクのホラー》:インスタント・ソーサリーキャストで任意対象へ2点。死亡時に半分に分裂するため《ラザケシュ》で計3回サーチの種に出来る。

《赤きマグヌス》:攻撃が通ると《ラザケシュ》の種を確保してくれる。出てくるトークンは残念ながらデーモンではないが決して小さくない3/3と十分。スペルも一定数採用するためコスト軽減も地味に役立つ。

 また、青黒絡みという事で勝ち筋には伝家の宝刀デモコンタッサを搭載する事としたが、実はライブラリーを吹き飛ばす側のスペルと相性の良いカードも新登場している。それが《ティーンチの高貴なるフレイマー》だ。

改めて見ると凄い名前

 1つ目の能力がアップキープ開始時に墓地からインスタント・ソーサリーをランダムに回収するというもの。この能力は対象を取らないため誘発スタックで《Demonic Consultation》や《汚れた契約》を唱え、《タッサの神託者》を探す。解決後に唱えたスペルを拾うことでデモコンタッサが揃う。各種ピッチスペルなりサーチスペルなりを1回拾うだけでも十分仕事はしてくれるだろう。

デモコンタッサの黒い方2種どちらかと《フレイマー》でコンボパーツが揃う

 また、《ベ=ラコール》下で更に追加したいのは2枚目以降の《ベ=ラコール》だったりする。即ち伝説であってもコピーできるカードの採用だ。青いカードの枚数確保という面でもこれらのカードを採用するのは理に適っている。残念ながら素でデーモンではないため先出しが出来ない=実質的に6マナより遅いカードという扱いにはなってしまうがハマった時の強さは目を見張るものがある。

伝説コピー三銃士を連れて来たよ

 ちなみに上記コピー生物とほぼ同等の《イレニカスの不快な複製》というものが存在するが、そちらはソーサリースペルであるため非生物カウンターを吸ってしまう可能性と非生物キャスト制限に引っかかる事を考慮して見送った。だがこちらの強みとしては先述の《フレイマー》で回収できるため、《フレイマー》をコピーして次ターンにこれを拾い、以降は毎ターン2枚回収体制を作る事も出来るため今後スペースを検討して採用する可能性は大いにある。

何気に飛行のおまけつき

 また新規カードとのシナジーやコピーの派生として《炎の躍り手、リオーニャ》も採用。《騙り者、逆嶋》以外の2種類どちらかがいれば《ベ=ラコール》のコピーを作ってドロー&火力→攻撃という流れでアドバンテージを稼ぎつつライフを詰めにゆくことが出来る。最悪《ベ=ラコール》しかいなくとも任意対象へ6点+1ドローを毎ターン誘発させるだけでも十分。

スペルを唱えずとも最低1体コピートークンを生成できる

 そして《リオーニャ》とコンボを形成するのが《ブラッドサースター》。名前・イラスト共にカッコよく、シングル価格もウォーハンマー新規カードの中では上位クラス(執筆時点)。

ラクドスの別イラストと言われても驚かない風貌

 追加戦闘を行う際に自身しかアンタップされないが、《リオーニャ》で《ブラッドサースター》をコピー→追加戦闘フェイズで再びコピートークン生成を続ける事が出来、且つ6/6飛行トランプルと非常に攻撃を通しやすいため揃えばほぼ無限戦闘が成立する。万が一攻撃を止められるようなブロッカーがいる場合でも《ベ=ラコール》が盤面にいれば火力を飛ばして除去するなり6点当てておき、トランプルで無理やり攻撃を通すことも可能。

 他にも既に名前を挙げた《ラザケシュ》、《納墓》《再活性》と共に採用される事が多い《ヴィリス》といった重量だがゲームを決める力を持つデーモン達も採用。《ラザケシュ》と相性が良い《悪夢の番人》やウォーハンマー新規登場のデーモンサポートとなる《ヘラルド・オヴ・スラーネッシュ》も文句なしに採用。

《ラザケシュ》《ヴィリス》は他のデッキでも愛用しているフィニッシャー
《ヘラルド・オヴ・スラーネッシュ》は《ジャイルーダ》相棒を見送った理由の1枚でもある

 最後に、折角なら《ベ=ラコール》のダメージ誘発を無数に繰り返せるコンボも採用したいと思い《狙い澄ましの航海士》を採用。6マナと重いもののブリンク持ちのため《ベ=ラコール》と相性が良く、一応青いため最悪ピッチコストにはなる。コンボは至って単純で《波止場の恐喝者》が最低3つ以上宝物を生成できる状態の時にこれと結魂し、ブリンクする事で1回に付き差し引き宝物1つ以上増えるため無限宝物。そこから《ベ=ラコール》を任意回数ブリンクしてライフが続く限りドロー。後続でデーモンを何かしら引ければそのデーモンをブリンクし続けて無限ダメージが成立する。

ここでも活躍する《波止場の恐喝者》

 その他、マナファクトやサーチ・カウンターといった汎用パーツを採用してデッキを仕上げた。デッキリストはこちら。

 上記解説の中で触れなかった点についての補足。

・《血空の主君、ヴェラゴス》

軽量・サーチ内蔵・そして接死持ちデーモン

 《ベ=ラコール》のダメージを与える能力は着地したデーモン自身がダメージを飛ばすため接死持ちの《ヴェラゴス》は確定除去のように機能する。それだけでなく軽いため先出ししてドロー枚数を稼いだり、サーチ持ちのためコンボパーツ等を探してくることも可能。

・《幻影の像》《ファイレクシアの変形者》

追加のコピー生物

 両方とも自分だけでなく他者の生物になれる点を加味して採用。
後者は自分や他者のマナファクトのコピーになれる点も有用。
《ベ=ラコール》下でドローと火力目的に使い捨てる事もある。

・《ジャイルーダ》不採用

相棒指定無し且つデッキの中からも抜けてしまった

 最初採用していたが、出せる生物が15枚と少なく試運転しても全然ヒットしなかったため抜けてしまった。《ヴェラゴス》《伝国の玉璽》《吸血の教示者》といった下準備があれば確定で《ラザケシュ》着地が狙える上に青いデーモンであるため今後再検討する可能性はある。

・《マナ吸収》

強力だが3色だと青青がきつい事も

 《ベ=ラコール》早期キャストに貢献する妨害スペル。3色且つ印鑑も採っているため当然ながら打ちやすい訳ではないが、それでもマナ加速が出来るという点において優先度を上げて採用。

・《再造形》

EDHだとそれなりに有用

 元々この枠は《削剥》だったが、より除去範囲が広い事と青い事を加味してこちらへ差し替え。渡すトークンも4/4と無視できるサイズではないが、一度盤面を形成してしまえばこちらの方がサイズは上回る。

・《連合の秘宝》

一昔前はEDH基本パーツ的な扱いだった

 《ベ=ラコール》の着地に貢献しつつ、デッキ内にも6マナ以上のカードが一定数入っているためここまで採用すべきと判断。
 3マナのアーティファクトには他にも単体で2マナ分を確保できるものとして《摩滅したパワーストーン》《ウルザの保育器》といったものがあるが、それらは非デーモンスペルの色マナに貢献しないためこちらを優先した。

・《闇市の人脈》

多相トークンがデーモンカウント出来る

 3/2多相がデーモンカウント出来るため《ベ=ラコール》着地前に置きたい。しかし只でさえ《ベ=ラコール》のドローでライフが削れがちなため後半はモード選択を慎重に。

・土地総数34枚
 土地3枚で止まって良いデッキではないため少し多めに採用。
ちなみにこの枚数でもマナスクリューが起こる事は少なくない。

・《沈んだ廃墟》

シャドウムーア初出フィルターランド

 《マナ吸収》、素打ち《否定の力》、《ラザケシュ》、《ヴィリス》と青マナや黒マナがシビアに要求されがちのためこのフィルターランドを採用。

・《反逆のるつぼ、霜剣山》

《ウィノータ》等では重宝される

 《ラザケシュ》の火種を2体確保できる土地。但し赤マナしか出ない土地とあって優先度は低く、ターンとマナはかかるが土地からトークン生成やマナのジャンプアップという面では《ウルザの物語》への差し替えも検討中。

・《ザンダーの居室》

拡張版のイラストがお気に入り

 タップインのため優先度は高くないが、フェッチランドから3色揃う点は魅力的。

 こちらのリストを店舗大会へ持ち込み、4戦中2勝。判断ミスで1ゲーム落としてしまったのが1回あったが、ポテンシャルを十分感じるデッキだと感じた。反省点を活かして今後も引き続き調整や練習を重ねてゆきたい。

 余談だが、Twitterでも記載した通りこのデッキを店舗大会へ持ち込むか一週間くらいずっと悩んでいた。というのも、自分は今まで黒単のみを大会やイベントへ持ち込み、デッキリストも約8年間黒単しか載せてこなかった拘りがある。黒単以外のデッキを大会で使ってデッキリストが載ってしまい、今までの拘りが崩れるという夢を何度か見たこともあるくらいだ。しかし執筆時点ではまだ晴れる屋のデッキリストに《ベ=ラコール》が掲載されておらず、Twitter上をはじめ周りからも期待の声が寄せられていたため持ち込むことを決心した。

 使いたかった《ベ=ラコール》を組み上げ、店舗大会へ持ち込んで勝つというところまで達成した。これでウォーハンマー統率者に対する悔いはない。



 なんてことはない。新規カードの中にもう1枚、自分の目に魅力的に映るデーモンが存在する。

3.新規デーモン:モータリオン

 もう1体組みたいと思っていたのはこちら《総魔長、モータリオン》だ。

英語名《Mortarion, Daemon Primarch》に用いられるDaemonという単語は現状このカードのみ

 シングルシンボル6マナ5/6飛行という珍しくタフネスの方が高いスタッツに加え、自ターンエンドステップ開始時に自分が失っていたライフ分までマナを支払う事で2/2威迫アスタルテス戦士トークンが出せるというもの。トークンが回避能力を所持しており、サイズも決して無視できるサイズではないため全体強化手段を用いて更に打点を増強し殴りプランがメインとなるだろう。
 久遠さんの記事でも触れていたように、生成するアスタルテストークンが戦士であるため《略奪者の戦利品》をはじめとする戦士シナジーが期待できる。
 ドローとライフルーズという観点では《精神刃の断裂者》、トークン生成のために失ったライフを回復する手段として《打破する粗暴者》が存在する。後者と同様にライフドレイン内蔵且つリソース変換が可能な生物として《ロークスワインの元首、アヤーラ》も存在するため当然ながら採用。

戦士トークンを生成し、リソースを稼ぎ、失ったライフをドレインで取り戻す

 また、ライフを継続的に失う手段は他にもある程度確保する必要がある。
久遠さんの記事でも触れているように、黒単色でも採用出来る「マナ捻出の際にライフを支払うことが出来る土地」は一定枚数存在する。

どこまでこういう土地を採用するか?

 しかし自分の中で《モータリオン》と併せて採用したいと考えていたものとして2つのカード群があり、その際にこういった土地でなく沼を多めに採用する必要があるため今回は見送った。

①《魔力の篭手》《かごの中の太陽》採用

黒い生物強化!黒マナ2倍!

 まず1つの理由がこれらのマナサポート兼盤面強化カード。
《モータリオン》自身とトークンのサイズアップに加え、前者は基本土地の沼からのマナを2倍に底上げしてくれる(後者は黒マナが出る状態の土地なら何でも追加で1マナ)。特にトークンのサイズアップと相性が良く、またトークン生成のためのマナを一気に確保してくれるためこの2つの観点から是非採用したいカード達だと判断した。

②《悪夢の鞭》《鞭打ち悶え》採用

沼の数だけ修正を与え、装備コストはライフ支払い

 もう一つの大きな理由としてこれらの装備品採用である。
《スキジリクス》等でよく見られる装備品であるが、《モータリオン》で一人を2-3撃で仕留めつつ装備コストでライフ支払い、トークンを展開して他のプレイヤーをトークンで攻めるといった点と面両方の攻めに対応していると言える。

 以上の2種類のカード群の優先度を高く見積もり、極力沼を多めに採用する方針とした。それ以外の土地としては沼カウントでありながらライフを支払うことが出来るフェッチランド各種5枚(《虹色の眺望》含む)、沼を多めに採用する事とマナの支払いが多くなるため《陰謀団の貴重品室》およびこの土地を採用するなら併せて入れたい《アーボーグ》、ライフの支払いとリソース回復が可能な《ロークスワイン城》《作戦室》、基本パーツであり2点ダメージを受ける事もトークンへ変換可能な《古えの墳墓》といったところで土地の大枠が決まった。

他のデッキでもよく見られる土地群

 マナサポートも充実し、ライフを支払うカードが多くなるという事で是非採用したい《ヴィリス》、トークンをリソースへ変換しつつ一応ペイライフによってまたトークンを生み出す事も出来なくない《ラザケシュ》も採用。《ベ=ラコール》の方でも登場したこの2種類は本当に優秀なデーモン達である。
 《ヴィリス》採用に当たり、《黙示録、シェオルドレッド》を噛ませることでライフを支払う手段・・・例えば先述の《鞭打ち悶え》等のような装備品があれば4点支払って4ドロー、1枚毎に2ゲインするため8ゲインするため差し引き4点ゲインしながら4ドローが可能なためデッキを引ききる事が可能。引き切った手札を何かしらで活用する事で勝利出来るコンボも用意したいと考えた。他のデッキを作成した時のアイディアから着想を得て、まずは《スカージの使い魔》を採用する事とした。《シェオルドレッド》《ヴィリス》下で《スカージの使い魔》が着地すれば《ヴィリス》起動を相手の生物対象で起動して2ペイ&2ドロー、4ゲインするため差し引き2ゲインと手札が1枚増える。-1/-1解決前に同じ生物を対象にこの手順を繰り返す事でも同様に引ききる事が可能。途中でライフだけ支払える手段が引ければそちらへ切り替えてもOK。

この3枚が揃っても引き切れる

 そうして引き切った手札からコンボを狙うが、まず考え付いたのは《ヴィト》+《極上の血》コンボ。《シェオルドレッド》がいる状態であればライフゲイン誘発から始動して対戦相手3人のライフを吸いつくす事が可能。

MTGAにも存在する2枚コンボ

 しかしここまでのルートで統率者が絡んでいないのもなぁ・・・と気になっていたところでふとある事に気が付く。

無限ドロー成立状態だとライフを40点以上支払っているな、と。

そして既に検討したパーツに《アヤーラ》がいる、と。

 つまり《スカージの使い魔》の後に《アヤーラ》《モータリオン》を着地させ、終了ステップ開始時に40マナ支払ってトークンを40体生成、各対戦相手から40点ドレインして勝利する事が出来る、という事に気が付いた。
※《打破する粗暴者》は対象一人から1点ドレインのためこれだけでは勝ちにならない

全てが噛み合った

 勝ち筋が決まり、後はデッキの骨組みを仕上げてゆく事に。
汎用パーツは幸いにも(?)ライフを支払ったり失うカードが多いため、実はそこまで無理をした構築にせずともペイライフ手段は確保できた。

ライフを失える汎用パーツ

そうして完成したデッキリストはこちら。
(当初作成したものから若干リストを変更している)

 こちらも同様に上記解説で触れなかった点について補足。

・《しつこい負け犬》

スタンダードでは有力だが・・・?

 いやEDHで採用するとか正気か?と思われたかもしれない。自分でも最終的に採用する時点でそう思っていた。採用した理由としては、まず奇襲で2ライフを支払いながらドローを毎ターンする事が出来るためトークン生成+リソース回復が見込める事。そしてもう一つ、クリーチャータイプはなんと戦士。先述の戦士シナジーも見込めるのだ。その2点から採用に至ったのである。

・《血顎の狂信者》

戦士を火種にドレイン

 当初このカードは採用していなかったが、ペイライフが重なるとそのままライフが不足して勝ちきれない事があったため採用。ライフルーズの矛先は実は自分も対象に取れるため、ライフの増減無しにライフを失った状態に出来るため実はトークンの頭数を増やす手段としても有用。奇襲《負け犬》を火種にするのも美味しい。《鞭打ち悶え》等の装備品によってサイズアップしたトークンを飛ばすとドレイン量も増える。
 また、《アヤーラ》が追放されている等でコンボルートの終着点に絡ませられない場合は《打破する粗暴者》とこれを用いてライフを吸いきる事も可能。

・《タリーマン・オヴ・ナーグル》

《ベ=ラコール》《モータリオン》と同じデッキ収録の新規戦士

 絆魂にドロー&ライフルーズ持ちの軽量戦士。7体死亡する事はあまりない(その場合はコンボで走っているため基本的に不要)ため《負け犬》奇襲や自ターン中の除去でドローを稼ぐ事になる。

・《紋章旗》

ヒスブロでもお世話になっている1枚

 指定した色のクリーチャーのパワーを底上げするマナファクト。
《モータリオン》とトークンの打点底上げ+マナ加速という点では軽い《魔力の篭手》等に近い。

・土地36枚
 フラッドは受けられるデッキなので絶対スクリューしないという固い意志より多めに採用。沼が多く並ぶ事で真価を発揮するカードが多いのも理由。

・《見捨てられたぬかるみ、竹沼》

拡張アート版がお気に入り

 《貴重品室》《アーボーグ》パッケージ採用の際に《探検の地図》も採り、その際に《アヤーラ》《シェオルドレッド》等の重要なパーツを拾える土地として採用。

 実はこの《モータリオン》、《ベ=ラコール》と同じタイミングでデッキを考案・作成していた。そして一足先に店舗イベントに持ち込んでおり、デッキリスト掲載まで至っているのである。《ベ=ラコール》と違ってcEDH的な場所に持ち込むにはキルターンが少々遅いため、カジュアルイベントの方(と言ってもレベル的には6-7くらい)に持ち込んだ次第だ。

 このリストには上述の《血顎の狂信者》が入っておらず、《ヨーグモス》《クラヴ》といったトークンをリソースへ変換するカードを採用しているがいずれもあまり使う機会が無かった事とマナカーブが4マナ付近に集中しがちだったため、後に構成を弄っている。

 その構成で、いつもDiscordのEDHサーバーや企画等でお世話になっている遊我さんの配信にお邪魔した。(この企画の時は全員黒かったため《殺し》を《巨獣狩り》というカードに差し替えている)

対戦中は結局出なかった

 対戦の結果としては見事狙っていたコンボを決めて勝利。
(尤も、勝因の決め手になったのは《思考の器》+《ネクロポーテンス》なのだが)
 ちなみにこちらの配信では対戦終了後に各々のデッキについてプレゼンを行い、視聴者の投票にて決めるというシステムを採用していた。EDHの対戦では中々見せ場を作れずゲームが終わってしまう事も多々あるが、もっとデッキをアピールしたいというプレイヤーにとっても自分のデッキの見どころを知ってもらうチャンスがあるという点では非常に良い試みであったと思う。そういう意味では自分を含め、4人がそれぞれ思い思いのデッキを持ち込んできているので他の方々のプレゼンもご視聴いただければ嬉しい限りだ。

 2つのデッキ紹介で長文となってしまったが、今回はウォーハンマー統率者から《ベ=ラコール》および《モータリオン》について自分なりに考え、作成し店舗イベントで勝利を挙げデッキリスト掲載まで至ったので記事にした次第である。今後も新カード登場でデッキをアップデートできそうな見込みが立っているため、引き続きこれらのデッキを調整・練習を重ね、イベント等で更に活躍させたいと思う。

《モータリオン》に是非採用したいので兄弟戦争発売が待ち遠しい


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