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ジーンズの裾上げはなんでユニオンスペシャルが良いのだろう!?

今日はジーンズの裾のアタリについて少しだけ。
ジーンズの裾といえばチェーンステッチ。
それって履きこむほどによいアタリが出るから
ですよね。
そしてこのアタリに一役買っているのが
ユニオンスペシャルの43200Gと呼ばれるミシン。

僕のお店でも
「裾上げはユニオンですか?」なんて聞かれることが
よくあります。
ではなぜユニオンの43200Gで上げるとあの
ヴィンテージジーンズと同じアタリになるので
しょうか?

それにはこの43200Gの特性を理解すると
理屈がよくわかります。

このミシンの特徴は針が奥から手前に向かって
斜めに付いているということ。

この斜めの針が絶妙なアタリを生み出します。
理屈は下記の通り。

裾を上げる場合、生地は手前から奥に向かって
縫いながら送られていきます。

一方で針は奥から手前に向かって生地に対して
斜めに入ります。
生地は三つ折りにして縫ってますので
3段重ねになっている生地に対して上から
少しずつずれて針が刺さることになります。

言い換えればジーンズの表側と裏側は
生地が微妙にズレているということです。

さらに
ジーンズの裾は端っこよりも1cmほど
内側を縫っていて、その縫われているところは
針で生地が抑えられていますが、
1番端っこ(裾のキワ)は手前から奥に向かって
送られているわけですから、
ここでも裾のキワとキワより1cm内側の
いわゆるステッチ部分にもズレが生まれます。

これによってジーンズの裾は斜めにアタリが
出るわけです。

ちなみにこのナナメのアタリは
裾を上げるときに反時計回りで縫い上げますので
必ず半時計回り(右から左)に向かって出ます。
右綾の場合ジーンズのねじれと反対方向に
アタリが出ると覚えたら間違いがありません。

これはやはり針が斜めに付いていて、尚且つ
筒状に縫うことができる
ユニオンスペシャル43200Gならではなんです。

このユニオンスペシャル43200Gが活躍していた
初期の頃は針が今ほど丈夫ではなく、折れやす
かった。
特にデニム生地を3枚にかさねて縫う裾の部分は
かなり厚みがあり、針が折れにくいよう
斜めに針を付けた。と言われています。

このユニオンスペシャル43200Gは
裾上げ専用ミシンで、1930年代後半から
1980年代までジーンズ工場で現役で
活躍していました。
1番初期のミシンは黒
中期は茶色
最後の後期はベージュ色をした個体です。

今では貴重な裾上げ専用ミシンです。
ダルマと呼ばれる相性の如く縦長で通常の
ミシンより省スペース。コンパクトさから
長く活躍していました。
それでも最後のユニオンスペシャル43200Gから
すでに40年近く。
今ではミシン自体が貴重です。

ユニオンスペシャル43200Gで上げて
もらえるところは限られてきてしまいましたね。

当時の知恵と工夫が味わいのある裾のアタリを
生み出していたなんて^_^
面白いですよね!

当店ではユニオンスペシャル43200Gでの
裾上げをいたしますので、気軽にお申し付け
くださいm(_ _)m

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