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LEVI'S 506XX(1st Gジャン)プリーツのボックスステッチは実はしつけ糸だった!?

昨日お客様からGジャンの歴史を話してと言われました。
そういえばGジャンの歴史って意外と知られてないかなと思って少しだけ。

今から10年ほど前アメリカでは歴史的発見がありました。

記憶している方も多くいらっしゃると思いますが
Gジャンの原型とも言える「リベッテッドブラウス」が
見つかったんです。
その存在自体は資料として残っていたものの
実物はこの発見が初めてだったようです。
1880年代のプライスリストにはブラウスとして
明記の記録が残っています。

資料:501XXは誰が作ったのか

この裏付けもあり、Gジャンの原型が生まれたのは
リーバイスが特許を取ったリベッテッドパンツとほぼ同時期と推測できます。

ブラウスとはフランス語のブルゾン由来の単語なので
この時代も今もアウターとしての扱いで間違いないと思います。

ただ20世紀に入るまではデニム生地といえば9ozが
1番地厚な生地だった時代。当時のアウターも今見ると
たしかにまるでシャツのようですよね。

復刻のリベッテッドブラウス

でこの「リベッテッドブラウス」生地を縦ではなく、
横にして仕立ててあるんです。これは推測ですが当時のアモスケアグ社製デニムはかなり縮んだんだと思います。
普通に縦に生地を取ってしまうと着丈がかなり短くなってしまう。
そこで生地を横にして着丈の縮みを抑えた。
ところが身幅が縮んでしまうので前見頃にプリーツを配してしつけ糸で止め、
身幅が窮屈な人はそれを解けば良いようにしたんですね。
だから前見頃にプリーツがあるんです。

そしてプリーツを止めるように縫ってある四角の縫い目は実は「しつけ糸」だったということになるんです。
これは僕もAUBERGEの小林氏に教えていただいたんです。

そしてその形はおそらく1920年代くらいまで続いたのではないでしょうか。
そうしてその後、私たちのよく知る1stタイプが誕生します。

このきっかけはリーバイス社の生地メーカー切り替えによるものではないかと
思っています。

リーバイス社はデニム生地が不足するのを予測して
1915年頃からアモスケアグ社以外のデニム生地メーカーを探している記録が残っています。
そして1920年代頃までに全てホワイトオークのコーンミルズ社に
変更しています。

ここからはまた推測ですが
このコーンミルズ社の生地はアモスケアグ社の生地に比べ縮み幅が小さかったのではないでしょうか。 
元々縦の生地を横に取ることは取り都合があまり良くなく
生地の無駄が多くなるんです。
できれば生地は縦に使いたい。縮みが小さくなったコーンミルズ社の生地なら
縦に生地を取っても良いだろう。
そこで
ジャケットを作る際に生地を横にして仕立てる必要がなくなり、デザインを
少々変更した。

肩のヨーク部分のみ生地を横にして使用し、その下の
部分は生地を縦に使うことにした。
だから1stタイプのGジャンには着丈の短いものが多く存在するんだと思います。

そこでひとつ謎
なんでプリーツは残った???

考えられることは
プリーツは好評でサイズ調整の上であった方が好まれた。
デザインとして完成されていたので敢えてその部分の
デザイン変更はしなかった。
生地の変更によるデザイン変更だったので基本的な
型紙は使いまわした。
この辺りではないでしょうか。

いずれにしても1stタイプのディテールは謎もありますが
これが今まで愛されているデザインのスタートなのですから面白いですよね!

この1stタイプは1953年まで30年ほど続くわけですからある意味完成された
デザインであったことは間違い無いですね。

この後の歴史についてはまた書きたいと思います。

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