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肉と動物 Beef or chicken?

日本語には個別の肉に対する固有名詞がありません。例えば、牛の肉は牛肉だし、豚の肉は豚肉です。肉という一般名詞はありますが、牛肉は固有名詞じゃないかと言われるかもしれませんが、牛+肉の合成語です。日本人も古くから肉は食べていたので、肉という名詞はあります。ただし、昔は肉のことはししと呼んでいました。

イノシシは今では動物の固有名詞ですが、もともとはという短い名称がこの動物の名前でした。しかし、時間の経過とともに”しし=イノシシ”が動物名に代わりました。実はシカも同様に、”鹿しし=カノシシ”が変化したものです。

英語では、動物や鳥の種類によって肉に個別の固有名詞があります。肉には二種類あって、meat(ミート)は動物の肉の総称で、 poultry (ポートリー)は、鳥の肉の総称です。

よく知られた動物や鳥の肉の固有名詞の例は以下の通りです。
牛肉:beef
豚肉:pork
鶏肉:chicken

これらの肉が生きていた状態が、beef→cow、pork→pig、chicken→henです。どうして肉に関する固有名詞があるかというと、それはイギリスの歴史が関係しています。イギリスはその昔、フランス系の王様によって支配されていました。この頃、支配階級はフランス語を話し、一般市民は英語を話していました。この時代に多くのフランス語系の単語が英語に輸入されました。

肉に関する固有名詞も、その時の外来語になります。当時の支配階級であるフランス系貴族は、”調理された肉”は見ることがあっても、その前段階である”生きた動物”は見ることがありません。つまり、beef、pork、chickenはフランス語由来、cow、pig、henは元々の英語由来です。

国際線の飛行機に乗ると機内食が出てきます。このときほとんどが「Beef or chicken?」です。これまで”Pork or chicken?”や”Beef or pork?”というフレーズを聞いたことがありません。どうしてでしょうか?。

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