オタクとは

 2024年現在から20~30年前、僕はオタクの事をこう思っていた。オタク…それは個室でニヤニヤしながら、ラムちゃんのフィギュアをいじいじしている眼鏡をかけたオッサン…あるいは家に鉄道模型を作って走らせて満足するオッサン。あるいはロボットアニメのプラモデルばかりやってるオッサン。大体そういうイメージだった。
 オタクとは自分の趣味に没頭する人の事だと昔から思っていた。家族や学校や職場に何を言われようとも関係ない。クラスで流行りのドラマや歌に流されず、誰も知らないマニアックなアニメを自分だけが愛好しているような人間だと思っていた。

 ところが、最近ツイッターでフォロワーの人がこんな事を言っていた。
「流行りのアニメを追えてない自分はオタク失格だ。もっとオタクのアニメを見ないといけない」
この発言を目にして、問題を投げかけられた気持ちになった。彼の発言は、まるでオタクのグループに取り残されないようにオタクコンテンツを必死に追う者の発言のようだった。
 その姿から感じるのは、かつて疎ましいと思っていたはずのクラスの陽キャ達と同じような精神ではないか。流行りのコンテンツを知っていなければ、コミュニティでの優位を保てない。そういう意識でアニメ・漫画・ゲーム・ネットを消費している人なのではないか。
 僕の知っているオタクの姿は自分の好きなものを追求するものだった。オタク失格だと言ったフォロワーの彼の姿から感じる精神はむしろ逆だ。時とともにオタクという言葉の意味が変容したのかもしれない。

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