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コロナ禍以降の不況を乗り切る「タクシー共同配車勉強会」を中越交通と共催しました。

■高齢化・人口減少時代の交通インフラを支える「共同配車」

国内のタクシー事業者の多くは、ドライバーを始めとする従業員の高齢化や事業継承する後継者不足など、人材不足に悩んでいます。
また新型コロナウイルスによって、観光や移動が制限されタクシー業界も苦境にあります。廃業や経営統合が加速すると共に、生き残りを掛けて経営効率化や新しい取り組みも活発になりました。

一方、コロナ禍は地域社会におけるタクシーの重要性を証明しました。
最も落ち込んだ時期にはタクシー業界の売上は前年比40〜50%減少しましたが、これは鉄道や航空など前年売上比10〜20%まで減少した他の交通よりダメージが少なかったと言えます。

なぜ、タクシーの利用は他の交通インフラよりも減らなかったのか?
既存交通インフラの貧弱な地域において、タクシーは通院や買い物、子供の送り迎えなど「生活の足」として高齢者を中心に日常利用されていたと考えられます。

コロナ禍以降、わたしたち電脳交通がタクシー事業者の方から最も良く聞いた話題は「近隣事業者との共同配車の検討」でした。売上が減少する中でも地元住民の生活に必要な移動を支えるため、配車業務を一元化しコストを軽減しようとするものです。

■電脳交通の「共同配車支援」と中越交通の想い

電脳交通は、2020年10月に各地域に適した共同配車の仕組みを実現するサービスをリリースしました。自社が提供するタクシー配車システムと創業時から培った配車委託サービスのノウハウをまとめ、共同配車の実現をシステム・オペレーション両面で提供するものです。

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電脳交通の共同配車支援サービス

この取組みは多くのタクシー事業者様から反響を頂きました。
そのうちの1社が、今回共同配車の勉強会を開催された中越交通さんです。新潟県三条市に本社を置き、1959年の創業以来60年以上新潟の地域交通を支え続けています。

物流・観光、更には自動車学校や車検などの各種サービスを提供する中越グループの一社として古くから新潟県の交通インフラを支えており、2019年に従来の配車システムを電脳交通へと乗り換え、効率的な配車業務を実現しています。

今回、中越交通さんのご協力により「共同配車について検討したいが、具体的なことがわからない」という近隣のタクシー事業者を招待し、「共同配車の勉強会&中越交通の配車室見学会」を3月29日に開催いたしました。

当日は新潟県内を中心に、遠く秋田・福島など近隣県からも約20社30名の事業者さまにご参加いただきました。内容は大きく2部構成で、前半は電脳交通のシステムが導入された配車室の見学会、後半は電脳交通代表近藤や、中越交通代表の中山様などの講話を中心とした「共同配車勉強会」でした。
以下、当日の見学会・共同配車勉強会のレポートです。

■配車室見学会「入社初日で、配車に必要な業務がほぼできるようになりました」

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まずは参加者様を中越交通の配車室へ招き、実際に電脳交通の配車システムを使い配車業務を行う様子を見学いただきました。

大半の参加者さまが10年近く前の古いシステムをなお使い続けているケースが多く、参加者の方からは矢継ぎ早に様々な質問や感想が飛び交いました。

■見学会の中で挙がった主な質問
・配車システムの利用に必要なパソコンの種類
・独自の配車ルールに対応ができるのか
・電話が鳴った時点で過去に配車した人の名前などが自動で出る仕組みについて
・待機場所や配車エリアの設定はどうなっているのか
・車載タブレットが壊れた時の対処方法、サポートについて
・システム導入後の配車拠点について
(電脳交通の配車システムを導入すると、徳島から配車するという思い込み)
・一台のパソコンでデータの入力を行うと、他のパソコン画面上でも自動反映される仕組みについて

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こうした質問には、立ち会った電脳交通の林から実際の画面を用いて詳細説明を行うと共に、その場にいた配車スタッフの皆様からも現場ならではの回答をいただきました。

参加された方々共通で関心が高かったのは実際の使い心地や、前のシステムから乗り換えたときの苦労などについてでした。

なかでも、30代女性の配車スタッフの方が話された「わたしは1年半前に配車スタッフとして働き始め、それまでタクシーの仕事をしたことがありませんでした。入社時の研修なども無かったのですが、パソコン自体は使ったことがあったので、入社初日には通常の配車業務ができるようになりました。パソコン作業に抵抗が無ければ問題ないと思います」という発言に、多くの参加者が感銘を受ける様子も見て取れました。

約1時間の配車室見学会を終え、大会議室に移動し共同配車勉強会がスタートしました。

■共同配車勉強会「迅速な配車と配車コストの低減を両立するには」

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■電脳交通 代表取締役社長 近藤
「電脳交通が提供しようとしているのは“不況に強い”サービス」

始めてお会いする事業者さまも多かったため、まずは近藤より吉野川タクシー再建と電脳交通の提供サービス誕生秘話などをお話いたしました。

「タクシー業界の売上47都道府県中最下位の徳島県、その中でも保有台数最小規模の吉野川タクシーを祖父から事業承継したこと、元々インターネットが大好きだったので活用してみたところ売上を1.5倍にアップできた」

「さらにITを活用した経営合理化を推進し、従業員の平均年齢を40.3歳に若返りすることができ、それ以降従業員が一人も辞めていない。いまは大半の車両をハイブリッドカーにもできた」

「その一環で試作された電脳交通の配車システムの原型を知り合いのタクシー事業者に見せた時、『このシステム使って配車業務もしてくれたら使いたいな』という発言に着想を得て、電脳交通がスタートした」

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さらに、電脳交通のサービスの特色や近年コロナ禍で正念場を迎えているタクシービジネスの今後についても言及

「電脳交通の配車システムは年500回以上更新されている、その全てが“タクシー事業者から『こうしてほしい』と寄せられたリクエスト”によるもの」

「苦境において重要なのは、資産をいかに軽くできるか?ということ。電脳交通のシステムには、既存の配車システムに搭載されている標準機能は全て入った上で初期導入費も月額費用も安く、ネット環境とパソコンさえあれば配車ができる」

「新型コロナ流行後、タクシー業界の売上は50%減となったが、そこで残った50%は生活者が本当に必要とする生活インフラ。だから無くなってはいけない。電脳交通が提供しているサービスに共通するのは“不況に強い”という点」

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■電脳交通 共同配車支援担当 林
「電話をネット回線経由にすることで、電話番号そのままにどこでも受話ができる」

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次に、電脳交通で共同配車支援をメインで担当し、多くのプロジェクトを手掛ける林より、共同配車の基盤となる配車システムの説明と活用方法についてお話しました。

「まず基本的な点で、電話をインターネット回線経由としているのでパソコンと電話磯を繋いでいない。電話番号は変えずにどの場所でも配車ができる。固定電話が置かれている場所、などを気にする必要がない」

「車載機が無線だと、遠く離れると通信できなくなるが、電脳のタブレットはネット回線のため、スマホがネットに繋がる場所ならどこでも通信できる」

基本的な配車システムの説明が終わり、具体的な画面解説を見ながらの操作説明や、複数の事業者が集まってどのように共同配車を行っていくかの説明へ。

ここで印象だったのは、参加された方々が配布された資料内にある画面解説の欄に熱心にメモや補足説明を書き加える様子。中には隣の席に座った顔見知りの事業者の方と「これ使えばさ・・・」と早速具体的な業務について話し合う様子も見て取れました。

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■中越交通 代表取締役社長 中山さん
「迅速な配車でタクシー離れを防ぎ、各社のコストも下げていきたい」

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最後に、今回の配車室見学会にご協力頂き、中越エリアにおける共同配車を推進する中越交通 中山さんより想いを語って頂きました。

「電脳交通を導入する前は、高額な配車システムを使っていたが、システムの入れ替えで1億円を超える見積もりを出されたりしていた」

「中越には山間部が多く、電波状況が良くなかった。近隣のホテルの屋上にアンテナを設置したり工夫していたがあまり改善されずにいた」

「約2年前に電脳交通の配車システムを知り、乗り換えようと思った。最初は一部の営業所で導入し、そこから徐々に広げて、いまは4つの営業所全てに導入し、束ねている状態にある」

「タクシー会社の経営効率化において、配車室のコストはとても重い。今後中越交通は配車室自体も統合していこうと考えている。電脳交通のシステムならそれが現実的に可能だと思った」

「中越交通が近隣の事業者と共同配車を取り組みたいと考えているのもその延長線上にある。近隣エリアにおけるタクシー離れをどう防ぐか?それにはいつどんな時も迅速に車を回せることが重要。その実現のために共同配車を実現すれば同時に各社のコストも下げていくことができると思う


全てのプログラム終了後も、参加者の方が林のそばに集まり実際の車載タブレットを見ながら30分以上も詳しい説明を求めており、共同配車の検討に向けた参加者の本気度が伝わる光景が見られました。


■参加者アンケートより「イベントに満足、システムの導入・具体的な共同配車の取り組みを検討したい」

今回参加された方に行ったアンケートの結果からも、イベントへの満足度や今後の共同配車検討の本気度が伝わってきました。

○現在の考え
参加者の約8割が電脳交通の配車システムの導入/検討中
参加者の約4割が、具体的に共同配車の取り組み方を考えている

○現在の環境
既存システムは5〜10年利用が大半、最長で20年
システムの不満は地図やシステム自体が古くなり、更新に膨大な費用と手間がかかる

○今後について
半数以上がシステムの詳しい話を聞きたい、共同配車の取り組みについて別途時間がほしい、と回答

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タクシー共同配車の検討・ご相談は電脳交通へ

電脳交通は2015年の創業当初から「複数のタクシー事業者の配車ルールを1つの拠点で同時に受ける仕組み」に取り組み、そのノウハウを全国で共同配車サービスを構築したい事業者向けに提供・支援しています。

共同配車についてご興味がある事業者様はぜひ以下のページからお問い合わせくださいませ。​
https://cybertransporters.com/pcc/

また、電脳交通では共同配車以外にも様々な観点からタクシー事業者向けのサポート・セミナーを実施しております。
4月23日(金)にはIT導入補助金に関するオンラインセミナーを開催予定です、他にも随時イベントを開催予定ですので詳細はこちらのページをご覧ください
https://cybertransporters.com/event-seminar/


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