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「面倒なことはChatGPTにやらせよう」はAIとの共存時代に必要な創造力を身につける教科書だった

プロ驚き屋ではない私ですが、素人ながらに「これはすごい! ブックマーク必須です」と投稿したくなる本に出会いました。それが「面倒なことはChatGPTにやらせよう」(カレーちゃん, からあげ 著)です。

なぜ、私がそこまで驚いたのか。それは本書がこの先に待っている人間とAIが共存する時代に向けた教科書的な存在だと感じたからです。

私自身、ジャーナリストとしてAIに関連する情報を追いかけて発信もしていますし、日常の様々なタスクをこなすのにもChatGPTをはじめとする様々なAIを使っています。そのため、ある程度の知識はあるつもりでしたし、ある程度は使いこなせていると自負していました。もちろん、AIがもたらす変化の可能性についても肌感覚で理解しているつもりでした。

しかし、この本を読んで、もっともっと自分がAIを活用できること(まだ全然AIを活用できていないこと)に気づかされましたし、AIがもたらす変化の真の規模を実感させられました

発売当初から私はこの本の存在を知っていました。ですが、私はこの本をプロンプトのレシピ集のようなものだと思っていました。AIの活用法に関する情報を集め、自分なりに発信してきた私にとって、「自分でもそれなりにChatGPTとか使ってるし、基本的なプロンプトも、役に立つプロンプトもネットに落ちてるし、目新しいものではないんじゃないかな」と考えていたのです。しかし、読み進めていくうちに、本書の真価はそこではないと気づかされました。

本書の最大の魅力は、著者が提示するプロンプトや活用例を、読者自身が発展させられるよう導いてくれる点にあると思いました。「このプロンプトをそのまま入力すれば、こういうことができます」という記載はもちろんあります。ですが、それだけでなく、プロンプトのポイントになるところを書いてくれているのです、つまり、アレンジがしやすいのです。

本書は、まさに「守破離」の「守」に相当する内容だと感じます。

「守破離」とは、日本の伝統芸能や武道などの習得過程を表す言葉です。「守」は師匠の教えを忠実に守る段階、「破」は師匠の教えを自分なりにアレンジする段階、「離」は師匠の教えから離れ、自分独自のスタイルを確立する段階を指します。

本書は、AIを活用するための基本的な知識とスキルを丁寧に解説し、読者が自ら「破」や「離」の段階へと進んでいけるよう、しっかりとした土台を提供してくれます。著者の豊富な実践例は、読者に「これができるんじゃないか」「これができそう」という気づきを与え、ChatGPTを使うための創造力を大いに刺激してくれます。

考えるのがちょっと面倒な正規表現の処理はもちろんですし、長いテキストの要約、各種データの可視化などインプットにもアウトプットにもChatGPTを活用できる方法が掲載されています。時短はもちろんですが、プレゼン資料などに使う新しい表現もできるかもしれません。

※ ちなみに、本書に使われているプロンプトがすべて公開されているサポートサイトも一般公開されています。購入する前の参考になると思います。

やはり、印象的だったのは、プロンプトの丸コピペだけでなく、効果的な活用のコツも併せて解説されている点です。これにより、読者は自分なりにプロンプトを改良し、ChatGPTをより柔軟に活用できるようになります。

例えば、「Advanced Data Analysis」を有効に使うために「Pythonで処理してください」や「○○というライブラリを使って処理してください」と明示的に指示することは大きな発見でした。

これらの知識を組み合わせることで、読者はChatGPTや、その他の生成AIを使った新たなアイデアを生み出すことができるでしょう。本書を読み進めるうちに、私自身のメモにも興奮が滲み出ているのが見て取れました。

この先、時代が進むにつれてAIが普及していくのは間違いないと思います。そうして、AIと人類が共存する時代に求められるのは、「創造力」だと思います。つまり、自分が実現したいことを、どのように表現し、どのようにAIにやらせるか。それこそが今後求められる能力でしょう。

ですが、その創造力は無から生まれません。それは、豊富な知識と経験から生まれるのです。本書は、まさにその知識を提供してくれる一冊です。そして、その知識を活かして使って行くと経験も蓄積されていくでしょう。本書はChatGPTの活用法を幅広く収集し、それを読者が発展させられるよう、インスピレーションを与えてくれる本でした。

業務の効率化はもちろん、ChatGPTを使ったアイデアの種を集めたい人、そして来たるべくAIとの共存時代を生き抜くための最初の一冊などなど、生成AIが急速に普及し、私たちの生活や仕事に大きな影響を与えつつある今、この先の未来を生きる全ての人類に必読と言える本だと私は思いました。

ライター:咲文でんこ


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