歯医者の風景

ファンクショナルトゥースとバランシングトゥース

どうも勤務歯科医師のかずぴんです。

今日も歯科医師受けの記事を一つ

表題の通り、

私が独自に考案した

【ファンクショナルトゥース/バランシングトゥース】という概念について書いてみます

定義は、

と考える。

何のために用語を考案し、定義したかというと、

患者固有の咀嚼動態について分析することで患者の口腔状態の評価指標になり得ると考えたからである。人間は、噛みやすいところで咀嚼する、これが代位原則であるから、噛みやすいところは、口腔内において比較的健全、これは良い面である。重要なのは、非咀嚼側つまり咀嚼運動に参加していない歯牙である。

患者にとって噛みたくない歯には、咬合トラブルが影響していることが非常に多い。歯ぎしりを夜間行っており、咀嚼関連筋の慢性疲労や歯根膜の感覚以上などが考えられる。

ある患者のファンクショナルトゥース/バランシングトゥースがわかれば、習慣性咀嚼側を知ることができ、と同時に、平衡歯牙も知ることができる。

バランシングトゥースには潜在的な咬合トラブル因子が存在するためリスク分析に役立つ。

実際の症例を示す。

初診時の年代を入れ間違えている、ご容赦いただきたい。

2016年である。


ある患者に治療介入を行う、右下が患部である、

右下7は当時姑息的に保存する目的に長期予後は不良だが介入した、なお再根管治療を施術したものの、遠心根の破折リーマは除去できなかった。

ブリッジ装着時のレントゲンである。やや不満を抱える状態ではあるが、いったん完了として、経過観察していく、以下経過を簡単に述べる

このように、結局のところ歯槽骨の治癒は得られず、慢性炎症が持続したため患者と協議し完全抜歯ではなく分割抜歯を選択した。

以下に術前後のレントゲンおよび治療完了後の初回SPTの口腔内写真を示す


分割抜歯後は上記の通り歯槽骨の治癒も得られ残存歯根は脆弱な状態であるが大きなトラブルなく経過している

この場合、先述のファンクショナルトゥース/バランシングトゥースの概念を当てはめる

残存歯牙の状態から、咀嚼に遊離なのは実は右側である。下顎の咬合支持要素はほぼ同じであり、上顎の咬合支持要素は右上4が残存している分、総合的には右側が咀嚼に有利である。

実際に患者への聴取においても、

「右でごはんを食べています」

とのことであった。

結果

この場合、
習慣性咀嚼は右側であるから、
右側をファンクショナルトゥース
左側をバランシングトゥースと考える

以上。

次回、義歯についてのファンクショナルトゥース/バランシングトゥースについて述べていきたい。

ご一読いただきありがとうございました

ではまた(^^♪

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