おとといの記事のプールじいちゃんの続きを書こうと思ったけど後回し。
昨日はヒャッホーな1日すぎたんでそっちを描く。

NHKの「日曜美術館」で知った日本画家の西田俊英氏に会って来た。

描くためだけに屋久島に移り住んで、来る日も来る日も巨樹のスケッチを重ねる。それはあくまで「メモ」であって、本番というか清書はアトリエで描き進めるのだ。

番組中でそのスケッチ風景が映った時に彼は涙していた。「描くという行為の中では全部ができるじゃないですか」、うろ覚えだけどそんなことをおっしゃっていた。
それを見てオレも秒で泣いた。泣きながら描く、こんな人が存在するのか。しかも武蔵野美大の教授なのに（なのにって偏見すごいな）。
あぁ、彼は本物だ。心のほうが勝手にそう判断してオレにも落涙させた。存命の画家でこれほど惹かれた人はかつてなかった。

オレは愛知人だが、ついこの3月まで別の個展で彼が名古屋に来られていたのを知っていた。が、愛知で五指に入るほどの出不精なオレは「ま、まぁ、今回はいいかな」なんて見送った。
そしてそのあとに、何度か見た西田氏のHPをもう一度見にいって、せっかく近くまで来てたのに行っとけば良かったなぁ、と歯噛みした。
で、一週間ぐらい前に絶対に見ないと決めていたインスタで彼のアカウントを見にいっちゃって、そこで「4/14　名古屋松坂屋美術館でギャラリートーク」の文字を見かける。

「こ、これは、お導きだーっ！」
単細胞のおかげで昨日がある。

ギャラリートークってなんだろうって思ってた。昨日のは院展の同人展っていうやつで（これも意味よくわからん）、何人もの人が出展してる。100弱ぐらい作品があったかな。だけどトークの場所は中でやるっていう。14時から。
そしたら展示スペースの絵たちに散らばってた人がわらわらと西田氏の前に集まりだした。やっぱりここでやるのね。
しばらくして西田氏が登場。50人ぐらいは絵の前にいるか。

…ちょっと待て、このペースで書くと5000字は行くな。だいぶ端折ろう。

とにかく、30分ぐらいのトークの中でもあまりにも運命を感じてしまった。オレが思ってた通りのこと、また（オレにとって）新たに見えた道筋のことなんかが盛り沢山だった。説明しきれないんで出て来た言葉だけ羅列する。
大谷翔平、中島みゆき（オレが敵わんと思う歌手で真っ先に挙げてる）、中村天風（以前から知ってた思想家。大谷くんが心酔してることをトーク中に初めて知った。ここで度肝抜かれる）、「最近の歌が響いて来ない、自分がおじいちゃんだからかもしれないけど」など。

あ、肝心なことを書き忘れた。何より彼が絵を始めた時に、先生に「絵のことだけやってたらダメだよ」と、ピアノを習わされたというのに驚いた。曲はベートーベンのピアノソナタ「月光」。
最初はなんのことかわからずに弾かされるが、そのうちに自分で出すピアノの音が、脳裏に月影を浮かばせるようになる…。最初にこの話が出て、そこでグインと持っていかれたのだ。音楽人のオレはこれとまったく同じ、つまり逆のことをやってるからだ。
コンサートを聴きに行くことは滅多にないけど、視覚に訴える芸事にはかなり反応する。だから名古屋にゴッホ展（本物やで）や北斎展（本物やねん）が来た時には観に行った。だいたいひそかに号泣してる。暗い場所で助かる。
で、絵を観たあとや、画家たちの苦労を知ったあとにはいつも思う。「このことは、音楽で言えばどういうことなんだろう」って。

トークの最後に、質問などがあれば…となったんで、（え、えーっと）なんて思ってたら最前列のおばちゃんが真っ先に手を挙げて、とても細かく自身の感想を述べていた。
絵に詳しいことと好きなことだけは十二分に伝わってくるおばちゃんだし、画家自身でさえ見てないものを絵の中に見てしまうようなタイプのおばちゃんだ。「ここのところの枝が両手を広げてるように見えて」うんたらかんたらを3回ぐらい言うてはった。
うーむ、こういうタイプに対する西田氏の返しが、トークする側になった時の勉強になるな。しっかし、まぁ、長いな。
オレは手を上げようとしてて、そのおばちゃんマイクも持たされてるから、ドキドキドキドキしてきた。あの瞬間、会場で一番動悸息切れしてたのはオレだっただろう。
ところがおばちゃんが長いせいか、主催の人が「お時間もそろそろなので」と終わってしまった。

むー。
迷ってた3000円の図録を買えばサインをもらえる。その時に質問してみるかー、そんな隙あるかなー。
そしたら他の画家さんのトークになって、後ろのほうで西田氏に話しかけてる人がいる。うーん、知り合いだから話せてるんだろうか。

ええい、ままよ（古い）ってなもんで、話しかけてみた。
テレビで観たあの人だー。

あー、お時間もそろそろのようですー。
続きはまた明日ー。
あ～、引っ張りたくねーのよー、オレだってー（マジで）。

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【今週の過去分オリジナルソング】