NHKでやってる「no art, no life」って番組を毎週録りはじめた。
王道の芸術教育を受けてない人の活動を届ける5分だけの番組なんだけど、オレにとってこれほど制作意欲をブチかき立てられる媒体はない。

一般人が週替わりでピックアップされていくんだけど、たいていの人は精神障害を背負っている。
以前、その5分をまとめて3時間ほどぶっ通しで夜中に再放送してたんだけど、少なくともその時は全員そうだったように思う。そうじゃなかったらスマン。そうでなければ何らかの障害のある、それでもなければとてもユニークで生きづらい人、とでも言っておこう。

その時は朝方の4時まで放送があって、もう夜更かしなんてまっっったくしたくないお年頃なんだけど、無理して、いや、無理せずに結局全部見た。
いつものナレーションの内田也哉子と、そのスペシャル再放送回は森山直太朗も一緒にぶっ通しで番組内で観てるわけだけど、最後のほうはちょっと泣いてはったわ。
そんぐらいなもんだから、オレは最初から最後までほとんど泣いてた。

そりゃもう、懺悔の念が湧くんだよね。
いやさ、すべての人が最も才能あるジャンルに傾倒しなきゃいけないわけでもないし、誰しもが命を燃え上がらせるように生きなければいけないわけでもないわさ。
だけどねー、あれを見ちゃうとねー、「ワシはなにをやっとるんだろか」とむせび泣いちゃうわけよ。むせびはちょっと盛ってますけれどもね。

で、ウチの嫁なんかはね、まったく燃えてない。あんなにのほほんと生きている生物はあまりいない。でもあいつは尊いんだよ。なんなんだこの差は。
オレがオレを罰しすぎるのか？　いや、そんなわけはない。有り得ない。こんな甘ちゃんもま～ぁいないからね。

じゃー、オレと嫁の何が違うのかってーと、「やる÷いう」の数値のデカさだと思うんだよね。
オレみたいに、いつもなにかしらしゃべってたり、作詞とか作詩とかするようなヤツはやっぱり「言ってる」時間が長いのよ。述べてたり、のたまってたり、講釈垂れてたり、持論を揚々とブってる時間が長い。
こういう生き物はある意味「いう」が「やる」でもあるんで、もうどうしようもないんだけど、オレが詩人を好きであり嫌いでもあるのはそういうことなんだろう。

いまでは嫌いしかない○○○○（ひらがな）や○○○○○（カタカナ）なんかはこれのひどい版だわな。
自分が人生でやることがないもんだから、人のやることなすことを批評してる時間が全部。だけど当人は、バカな人たちに教えてあげてるって思ってる。
いまオレがやったことも典型的な「いう」であり、その分だけまた彼らに近づくんで、もういい加減にしたいんだけど（します）、嫁は人のこと滅多に言わないんで「やる÷いう」が1以下にはならないんだよ。

オレはこんだけあーだこーだ批評するんで（当人は分析だと思ってるんだが。それに「あーはなりたくねー」ってよく思っちゃうザコちゃんなので、「あー」の対象を結構よく見に行っちゃう。結果、そいつらを嫌いじゃない人よりもそいつらの言動に詳しくなっちゃう。あぁ、なんと悲しく、バカげたことをやっているのか。およよ）、「やる」を増やさねばならないのだ。1以下の人間になってしまう。

起きてる間じゅうずっと、「サッポロ一番しょうゆ味」の袋を触り続けてる酒井美穂子さんは、オレを精神…というか魂の底から救済してくれた。
自分のやってる音楽活動に意味があるのか、自分は何者にもなれないのかと、10代の頃以上に懊悩してた時期（最近）に、ちょうど彼女のことを知った。
一見なんの意味もなさそうなことをライフワークにしてる彼女の暮らしを見て号泣するオレが、まさに「ほら、意味あるじゃん」と教えたのだ。

この教えのやって来る方向はあまりにメタ的すぎて、あの時の「アハーーーッ！！！」体験の感覚ったら筆舌に尽くせない。
メタ的すぎて、それを教えてくれたのが彼女の生き様なのかオレの心なのか、雁字搦めすぎて見分けがつかない感覚とでもいうかね。それはもうどっちでもいいんだよな。
個と全がつながってるということを自分自身を持って知れたできごとだった。うっすらとだけど。

施設にいる彼女に、スタッフがその行動の理由を聞いても答えはないらしい。問わず語りのかたまりのオレからしたら、あまりに神々しく見える。

「理由を知りたい」「言語化したい」っていう、精神にこびりついた性癖は、意味合い的には結構浅めだよなぁ。「やる÷いう」の答えの値が大きい人を見るといつもそう思う。
赤ちゃんとかすっごいよね。

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【今日の過去詩リーズ】