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観戦記: 2024 J2 第11節 清水 vs 仙台

ホーム仙台戦のレビューを書いていきます。今後、連戦になりますので、毎試合書くためにも、これからは要点に絞って短め(結局長くなってしまいました💦)にできるよう挑戦してみたいと思います。


はじめに

清水が試合前に5位でこれまで1敗、失点数の少なさはリーグ1位の堅守の仙台から3点を奪い、3-2で勝利しました。この試合のポイントをまとめると以下の通りです。

  • 乾不在時の最有力システム4-4-2の完成

  • 仙台の意表を突くブラジルコンビによる先制点

  • 前半仙台のシュート1本に押さえる完璧な内容

  • これぞ吉田豊・これぞ北川航也のプレーが生んだ追加点

  • 底知れぬ才能を感じる西原源樹のプロ初得点

  • タンキの強さとその可能性

  • 効果的ではなかった3バックへの移行

  • おまけ: 素晴らしかった主審の試合捌き

まずはハイライトを見てみましょう。

清水はどのゴールも素晴らしかったですが、でもなんといっても西原源樹選手のプロ初ゴール及び17歳4ヵ月4日での清水のクラブ至上最年少ゴールでしょう。でしも現地観戦でしたが、まさにホームゴール裏での目の前の西原のゴールに、うめき声にも似た、変な声が出てしまうくらい、才能の塊としかいえない、素晴らしいゴールでした。現地組は、これから始まる西原源樹のサクセスストーリーの始まりという歴史的瞬間を目撃できましたね。
このゴールが結果的には決勝点となり、粘る仙台を振り切って3-2で清水が勝利。3連勝およびホーム負けなしを継続、首位の座を守りました。

前半: 清水の新システムが仙台を圧倒

前半のスタッツは以下の通りです。清水が新システムを採用し、仙台をシュート1本(実質は打ちそこないなので0本)に押さえるなど圧倒しました。またボール奪取位置が42.2m vs 29.9m清水がビルドアップ及び前線プレスの観点で仙台を圧倒したことがわかります。

清水 vs 仙台 前半のスタッツ

両チームのスタメンとシステム

両チームのスターティングメンバーおよびシステムはこうなりました。両チームともに攻撃時と守備時でシステムは変わっていたので可変時のシステムも記載します。

清水 vs 仙台 両チームの基本システム

両チームの基本システムは同じ4-4-2で、守備時はこの陣形で3ラインを形成していました。
一方で攻撃時には、下記の通り、清水は4-3-3仙台は3-5-2のような可変システムを採用していました。仙台は守備時には4-2-4のようなブロックを作ることもありましたね。

清水 vs 仙台 攻撃時の可変システム

清水は、ブラガが中に入り、カルリ・北川と3トップを形成して、その分矢島と宮本がバランスをとるような形です。特に清水が早めに最終ラインからロングボールを送る際にはブラガが最前線や中央に出るケースが多く見られました。また清水は局面によっていろいろな形をやっていましたが、例えば矢島が最前線で相手の右SBとCBの間のハーフゲートに立つ形も多かったように思います。北川とカルリが交互に中盤に下りて組み立てに参加するなど非常にバランスが良かったです。
この中で秀逸な働きをしていたのが、矢島選手と宮本選手でした。サッカーIQの高いこの2人はあまり目立たないのですが、全体の局面をよく見て、絶妙なポジショニングをとっていました。これにより仙台側は後半15分頃まで清水の選手を掴むことができませんでした。
この4-4-2の可変システムが、これまでの乾不在の試合の中でも、最も効果的だと感じました。もちろん相手にもよりますが、乾不在時の最有力システムといえそうです。
一方の仙台は、攻撃のビルドアップ時には、右の高田がWBの位置にスライドして、最終ラインを3枚にしてビルドアップ郷家が中にポジションをとるような形が多く見られました。7番の中島も、トップではあるものの、自由自在にポジションを変えて、中盤に下りたり、サイドにはったりしていましたね。ただここも清水はうまくマークを受け渡してしっかり対応できていたと思います。

仙台の意表を突いた清水の戦術

前半の清水は、上記の4-4-2や4-3-3のシステム採用を含めて、仙台側の対策の裏をかく、清水の戦術が功を奏しました。おそらく、仙台は、これまでの清水の戦いを踏まえて、4-2-3-1のシステム、及び最終ラインからの丁寧なビルドアップに対して、中央のボランチあるいはトップ下に入った際にボールを奪ってショートカウンターというゲームプランがあったと思います。
それに対して清水は、これまでの戦いとは異なる、仙台対策を準備していました。まずはルーカス・ブラガのポジショニングです。

--内側に入ってプレーすることが多かった?
この試合に向けたトレーニングの中で対戦相手の分析などもあり、中央でプレーすることを求められていました。指示どおりの動きからゴールを決められて良かったです。

試合後 ルーカスブラガ選手

上記の試合後のブラガのコメントの通り、対戦チーム(=仙台)の分析を踏まえて、ブラガは「戦術的に」中央のポジションをとっていたことがわかります。私の記憶では昨年まではこのように相手の研究をして、その対策として清水側の戦い方を変えることはなかったように思うので、いかに今季の清水が対戦相手をリスペクトして、分析をして、対策を立てているかがわかりますね。本当に分析班が素晴らしい仕事をしていると思います。
仙台は4-4-2のスリーラインでしっかりブロックを作る守備をしてきます。その守備を崩すための一つの定石が、1か所に固めて数的優位あるいは数的同数を作ること。3ラインのブロックは、自らそれを崩すことは難しいため、例えばサイドの選手が中央に入った際には、対応が難しいんです。それを踏まえて、ブラガのポジションを中央に寄せて、そこで数的優位を作ることを意図したのだと思います。

2つ目が、仙台のハイプレスに対する、清水の最終ラインからのロングボールです。清水はこれまで最終ラインから長いボールを蹴らずに、丁寧にビルドアップするサッカーをしてきました。乾の不在も影響すると思いますが、この試合の清水は、サポーターとしても拍子抜けするほど、ロングボールを使ってきたんです。権田および高橋からロングボールというシーンが前半だけでも5本以上はあったように思います。これは仙台のハイプレス及びハイラインを踏まえての意図的な対策だったと思います。その証拠に、高橋選手は試合後に以下のようなことを語っています。

相手を裏返すボールを仙台は嫌がっていたと思うし、特に前半は上手く対応できていないと感じていて、ブラガもカルも良い動き出しをしてくれていたので、どんどん蹴っていこうと思っていた特にカルとは前日から「パスを出すから、俺のことを見ていてね」と話していたので、それが結果に繋がって嬉しい

試合後 高橋選手

3つ目は、主に矢島選手のポジショニング。彼は相手からすると非常にいやらしいポジションをとっていました。相手の右SBの高田選手は攻撃時にはかなり高い位置をとります。また右サイドハーフの郷家選手は、守備時に前にいって山原選手にプレスにいきます。矢島は、高田が上がっている時にはその空いたスペースを、郷家が上がっている時にはその背中を、相手がセットした時には、SBとCBの間のハーフゲートに立って裏を狙うなど、特に前半の矢島は素晴らしい出来だったと思います。矢島選手は以下のようにコメントしています。

左サイドハーフでの出場だったが、中に入っていく時には高い位置で受けられればと思っていた。仙台の守備の仕方として、右サイドハーフの選手が僕とジェラのところに縦でズレて来るのが、出足が早いというか前しか見ていなかったので、僕がその背中に入っていけば上手くボールを受けられると思い、少し低めの位置にいた時もあった。

試合後 矢島選手

試合中にここまで戦況を判断して、個人戦術で動きを変えられる矢島選手は他の清水の選手にはない特徴を持った選手で、今後も清水を助けてくれそうですね。

前半での清水の戦術的な攻撃

さて、上記の狙いを体現した、前半戦の清水のチャンスをいくつかピックアップして解説をしていきます。

前半1分、早くも狙いが出た形。相手の浮き球のパスを高橋がヘディングで前線のカルリに向けてクリアパス。カルリが右サイドにはるブラガに落とす。ブラガ→北川→カルリ→ブラガ→矢島。このインサイドに入り込むブラガには誰もついていけていません。この後大外を回った山原に矢島からスルーパス。このときPA内にはカルリ、北川、ブラガに加えて、いつの間にか上がっている宮本と4枚いる状態。山原のクロスは惜しくも合いませんが、合っていたら1点のシーンでした。

続いて前半9分のシーン。矢島と中村で、相手ボランチ工藤にプレス。苦し紛れに出した中島への縦パスを宮本がカット。中央にポジションをとり、フリーになったブラガに縦パス。そのまま前を走るカルリ、北川を囮につかってドリブルシュート。これも中央にいるブラガに仙台が誰もつけていませんでした。

そして前半15分、最終ライン深めでパスを回している中、高橋から、北川が相手5番菅田を引き連れて中盤に下がる動きを囮に、カルリとブラガが中央最前線に走り込み、カルリがヘディングに勝って後ろにそらし、ブラガが抜け出して、左足で決めました。これは北川とブラガの入れ替わる動きで、仙台の守備陣形を間延びさせて、最前線で2対2の局面を作れたことで勝負あり、仙台の意表を突くブラジルコンビによる先制点でした。

また清水のプレスがハマったシーンが前半24分矢島のブラガへのパスがカットされた瞬間に宮本と吉田が相手中島にゲーゲンプレスをかけてボールを高い位置で奪い返し、宮本→北川→ブラガ→中村とつないで、センターゲートに入り込んだ矢島にパス。矢島はカルリに横パスをしますが、少し足元に入ってしまい、カルリは右足のヒールで中村へのパスを選択。中村→山原→中村と繋ぎ、中村のクロスをブラガがヘディングシュート。シュートは枠を外れましたがいい攻撃でした。

前半29分。この日よく見られた形。矢島が権田に落として、権田が、いつものような繋ぎの選択をせず、一気に前線のカルリにロングボール。これにカルリが競り勝ち、セカンドボールを拾える位置にいる北川→ブラガと繋ぎ、また中央でフリーのブラガから、左サイドをよく駆け上がっていた矢島に展開。矢島の裏をさらに追い越した山原を囮に、矢島が左斜め45度からの絶妙なシュート。ファーには宮本も走っており、ゴールになってもおかしくないシーンでした。

前半最後のチャンスは前半37分。山原のカバーから奪ったボールを、山原→中村→(気の利いたポジショニングを常にしてくれる)矢島→カルリと繋ぎ、カルリが乾ばりのターンで前を向きまる。そこから、中央で(常に絶妙なランニングをする)宮本に縦パス。宮本から、右サイドでフリーになったブラガにスルーパス。ブラガはドリブルでPA内に進入。切り替えしてシュートでも良かったですが、さらに切り替えしたことでシュートを打てず。吉田にバックパスをして、吉田からクロス。惜しくも矢島には合いませんでしたが、いい攻撃でした。

このように前半は清水が、狙い通りの良い形をたくさん作り、逆に仙台にはチャンスを作らせず終了前半仙台のシュート1本に押さえる完璧ともいっていい内容でした。

唯一課題をあげるとすれば、追加点をとれなかったこと。またこれだけ良いリズムでゲームを展開できたにも関わらず、ゴール期待値は0.37と、最後の崩しの部分のアイデアが足りずに、決定的なシュートを打つことはできませんでした。この辺りはやはり乾の不在を感じざるを得ない部分でしたが、その中でもチャンスの直前までは持っていくことができたという点では、評価してもいい内容だったと思います。

後半: 両チーム4得点が入り乱れる激しい展開

後半開始15分は前半と同じ展開に

さて後半開始です。仙台は、メンバーチェンジをして修正を図ってくると思っていましたが、メンバー変更なし、特に戦い方も変えていないように見えました。一方で、キックオフ直後からカルリ―ニョスに工藤選手が猛烈なプレスをかけるなどメンタルの部分は森山監督に喝を入れられたことは感じました。

--ハーフタイムの修正について。
ボールを持つことを怖がらないで受ける、隠れないで受けることを恐れない、前を向く、前にプレーして保持者がフリーだったら追い越す、縦に入ったら3人目で絡む、そういう相手のゴールに向かうシーンが前半はまったくなかった。細かいところはちょくちょくありますけれども、まずはメンタリティーの部分も大きかったところです。

試合後 仙台森山監督

後半2分。カルリ―ニョス選手がPA内でボールを受けて、巧みなドリブルから反転して、右足でのシュート。林の正面でキャッチされますが、後半のファーストシュートも清水になりました。

後半3分にも、中島への縦パスを吉田と宮本が挟んで奪い、カルリ―ニョスから左でランニングをする矢島にスルーパス。カウンターのチャンスから、矢島のアウトサイドでのグラウンダーのクロス。合わずにこれも林がキャッチしますがいい形。

そして後半8分吉田・北川の見事なプレーで追加点を奪います。仙台の相良が、ボランチ長澤とスイッチしたところを吉田が見逃さずに素晴らしいアタック。ボールを奪います。仙台は当然前がかりになっていたので、清水のカウンターチャンス。おそらく吉田がボールを奪うことを予測していただろう北川が、まさに「ラインブレーカー」としての本来の本領を発揮。仙台の最終ラインの裏をとります。そこに右足で巻いた絶妙のスルーパスを出す吉田。宮本選手との対談でも試合後に語っていましたが、秋葉監督のコンセプトの一つである、奪ったらまずは「パスフォワード」という部分を体現したプレーになります。スルーパスに反応した北川が、仙台のCB2枚をあざ笑うかのような見事な右足での切り返し。カルが左サイドを走っていたこともあり、林もチャレンジにいけずに後は左足で流し込むだけでした。ブラガに続き2戦連発、まさに北川航也というゴールになりました。

ここから仙台にスイッチが入り、相良・中島を中心に、前線に比重をかけはすめます。

仙台の2枚替えと右サイドのプレスの修正

これ以上離されたくない仙台は、後半15分工藤→松井高田→真瀬と2枚替えをしてシステムも攻撃的な3-4-3のような形に修正します。

清水 vs 仙台 後半15分~

真瀬選手は怪我からの復帰で今季初出場ということですが、高田選手よりも前への推進力がある右SB。左は相良がサイドにはる位置をとりますが、右は郷家と真瀬がサイドレーンとハーフレンを互い違いになるような配置。郷家がサイドに出た時には、真瀬がハーフレーンからセンターレーンのインサイドのポジションを取り、これに松井が絡むことで清水の守備は対応に苦戦します。
交代早々、この2人でチャンスを作ります。

後半15分、高く浮いたボールを松井が奪い、郷家と入れ替わって高い位置をとっていた真瀬に。真瀬はすぐにPA内の中島にグラウンダーのクロス。中島のトラップが大きくなり高橋がCKに逃げましたが、これまでの中でも仙台が最もゴールに迫ります。

そのCKの流れから、今度は清水がカウンターを仕掛けるなど、試合は、仙台が前がかりになったことで、目まぐるしい展開になります。

そして後半19分からの一連のシーン。まず良い形を見せたのは清水でした。住吉が左サイドでボールをうまく残し山原に繋げると、山原→宮本→カルリ→北川とダイレクトで繋がります。宮本の楔のパスを、ダイレクトヒールで浮き球のパスを北川に出したカルのテクニックは素晴らしかったですね。北川もキープして山原に戻します。ところがその山原の中村への横パスを狙っていたのが仙台の松井。ショートカウンターから中島に繋がり、中島がこの日初めての枠内シュートとなる、強烈なミドルシュート。一度は権田がファインセーブで防ぎますが、そのこぼれ球を拾ったのがドリブラーの相良。相良選手は巧みな横移動のPA内側へのドリブルで、宮本、住吉、高橋と3人のディフェンダーを交わし、最後はファーでドフリーの位置にいた中島にパス。中島は流し込むだけでした。権田選手としてはノーチャンスでした。
もちろん山原の横パスが非常にイージーではありましたが、仙台の松井選手のボール奪取、中島選手のシュート、そして何より相良選手のドリブルと、仙台の攻撃が見事だったともいえます。

前半は鳴りを潜めていた相良選手ですが、でしnoteの展望でも最注目選手として取り上げていたのですが、やはり素晴らしい選手ですね。常にボールタッチの際はフェイントで軸をずらすような持ち方をしてきますし、縦にも横にもいける。吉田選手が1 vs 1の部分でここまで苦戦する選手はなかなかいないと思います。

また途中交代の松井選手。仙台に足りていなかった、デュエルの強さが際立っており、彼が前向きにボールを奪うことで、この得点もそうですが、仙台はチャンスを作れるようになりました。

さらに真瀬選手。前向きでボールをもって運べるし、楔のパスもどんどん供給するため、右サイドで起点を作っていました。

両チームの選手交代と西原選手の初ゴール

勢いづく仙台に対して、清水は後半24分に、矢島→西原、ブラガ→松崎と、両WGを交代します。続けて後半26分に、吉田→北爪、カル→蓮川と守備的な選手を2枚投入して、3バックにシステムを変更します。
個人的には、この3バックへの変更は「早すぎる」と感じました。2-1と勝っている局面でしたので、西原と松崎という両WGをフレッシュな状態にした形での4-4-2をもっと長い時間試して、その中で仙台側の選手交代を見た上で、その対策を含めて次のカードを切る形でも良かったのではないでしょうか。実際3バックにすることにより、最終ラインが下がってしまい、前線の北川・松崎・西原との距離が離れてしまいました。北川は一人で前線からのプレスをすることになり負担が増して、ぽっかり空いた中盤のスペースを、逆に仙台のフレッシュな、松井・真瀬といった選手に使われてしまいました。
交代後の清水の配置を見て、仙台は後半30分に、中山→エロン、中島→鎌田と前線の選手を入れ替えて、さらに前線での圧力を増します。この時間帯の中でも、仙台の方がボールを支配してチャンスを作っていたように思います。
清水は疲れの見えた北川に代えて、ドウグラス・タンキ選手後半40分に投入します。これによりシステムはこうなります。

清水 vs 仙台 後半41分からのメンバー

タンキという屈強なポストプレイヤーと、そのタンキからボールを受けようと、松崎・西原・北爪といったスピードスターがどんどん追い越していく、という攻撃のイメージが湧きやすい布陣ですね。
タンキ投入直後の自陣からのフリーキック。権田が直接タンキにロングボール。それをなんなく競り勝ったタンキの落としに松崎、西原、タンキが突っ込み、チャンスになりかけます。
そして後半38分、歓喜の時が訪れます。山原が自陣深くから相手を交わして、正確なロングボールを中央にいた松崎に。松崎はうまくボールをキープして、上がってきた山原に。山原の絶妙な右足でのアーリークロスは身長194cmのGK林を超えてファーに走り込んだタンキに。タンキは持ち前の高さでヘディングシュート。数cm下ならゴールに吸い込まれたと思いますが、バーに当たって跳ね返ります。

そのこぼれに、再び松崎が頑張ってマイボールにして、再び山原の足元に。ここでPAのボックスのすぐ外側、SBとCBの間で待ち受ける西原が「ボールをよこせ」と指示。この時西原は左、右と首を振って、敵の位置を確認しています。山原のボールを受けた西原が、右足でトラップし、右足のアウトサイドで迫るCB小出の股を抜き、さらにワンステップ右足でゴール右上に突き刺すシュート。17歳の高校生のプレーとは思えない、完璧なプレーで、清水に貴重な追加点をもたらします。何がすごいかというと、ボールを受けるタイミングで周りをみて、自分にプレスにくるCBを確認し、そのプレスに対して股を抜き、そこからの右上隅へのシュートのイメージが一瞬の間に描けていたことです。シュートのイメージはおそらく、前節のいわき戦で同様のシーンから、GKは抜いたのに、カバーに入った相手CBにクリアされたシーンの反省からきたものではないでしょうか。だからこそ、誰にもとれない右上隅に蹴ったのだと思います。このゴールは、17歳4ヵ月4日と、清水のクラブ至上最年少ゴールになりました。

パルちゃんの申し子こと西原選手のヒーローインタビュー

タンキの強さ

タンキはAT含めて残り10分強の出場となりましたが、十分にその強さを発揮してくれたように思います。権田からのロングボールは常にタンキをめがけていたもので、空中戦には8割勝っていたと思います。
特に圧巻だったのは後半44分のシーン。自陣のFKにおいて権田からタンキへの柔らかいロングボール。それをタンキがフェアな形で仙台CBの菅田を身体でブロックしながら、競り合いに勝ち、それを西原→松崎で松崎のシュート。これは林がセーブしますが、単純な攻撃でフィニッシュまで結びつきました。
通常のビルドアップで繋いでの展開に加えて、タンキをターゲットに時折ロングボールを混ぜるような形が複数作れるようになれば攻撃の幅は広がりますし、相手にとっては非常に嫌な攻撃になると思います。
松崎のドリブルをかっさらって、シュートをしたシーンはご愛敬でした。松崎がめちゃくちゃ怒ってましたね。

これからも期待しかないブラジル三兄弟

仙台の粘りと蓮川の怪我

この最高潮の雰囲気の中でそのまま試合をクローズできば最高だったのですが、仙台はそこまで甘くありませんでした。
後半45分に、オセールのオナイウ阿道の弟、オナイウ情磁を投入。後半AT3分に、小出のロングボールから、蓮川の裏に抜け出したオナイウがポケットを取って、切り替えしてからニアへのシュートで得点。1点差に詰められてしまいます。オナイウが上手かったとはいえますが、蓮川が本来のコンディションであれば間違いなく処理できたとは思います。
またその後蓮川は、相手の裏へのロングボールの処理でスプリントをした際に、左足のおそらく肉離れで負傷退場となってしまいます。手薄なCBの中で、蓮川の離脱は本当に痛い。長引かないことを願います。
その後もCKを取られるなど、仙台が同点に追いつく勢いがありましたが、何とか逃げ切り、3-2で勝利しました。

冷や冷やしましたが3-2で勝利

後半に残った課題

これはでしの手元集計になりますが、後半のスタッツになります。

後半のスタッツ

シュート数こそ清水が上回っていますが、ボール支配率、パス、CKの数、ゴール期待値などほとんどのスタッツで清水が負けています。前半は仙台の攻撃をシュート1本に押さえたことを考えれば、後半はひやひやする展開でした。
最終的に勝って勝ち点3を奪っているので、問題はないのですが、確率論としては、仙台に追いつかれる、あるいは逆転されてもおかしくない後半の出来だったように思います。

おまけ: 長峰主審のジャッジのすばらしさ

おまけですが、J2ではストレスを感じやすい、レフェリーのジャッジですが、この試合の長峰主審は本当に素晴らしかったです。32歳とまだ若い審判でJ1の経験もないみたいですが、見事なジャッジでしたね。
J2の場合、倒れたら即笛を吹く審判が多いのですが、長峰さんは倒れたとしてもそれが正当なチャージなのか否かをしっかり見極めていました。また一度、ファールではないけれども、激しいチャージがあった際に、笛を吹いてしっかりとボールを止めて、傷んだ選手の状況を確認、無事を確認して試合を再開させるという好判断もありました。この手のジャッジをできる主審はJ2では見たことがなかったので、本当に今後長峰主審には期待ですね。

最後に

これで11戦、8勝1分2敗の勝ち点25で首位キープ。1試合平均勝ち点2の優勝ラインからすると、貯金が3となりました。但し、ライバルの長崎は4連勝で勝ち点1差および得失点差は上回る形でついてきており、まだまだ気が抜けない状況は続きます。

第11節終了時 J2順位表

秋葉監督が言うように、勝ち続けること、そして勝っていく中で修正をしていくことが大事だと思います。

ただ、2失点はもったいなかったです。そこはしっかりと反省しなければなりません。幸い勝点3は取れたので、勝ちながら修正していきます。またすぐ水曜日にアウェイで富山、次にアウェイで岡山と、厳しいゲームが待っています。総力戦で連戦の残り4試合を乗り切りたいなと思います。
僕が監督に就任してから大型連勝がないので、勝ち続ける、勝つことを当たり前にする、勝ち慣れる。そんな勝負強さにこだわりながら、トライを続けていきます。必ず大型連勝ができるように、全員でやっていきたいと思います。

清水 vs 仙台 試合後 秋葉監督

明日(4/24)はひそかに楽しみにしていた富山戦。展望で予想スタメンは書きますが、GKの沖選手、CBの高木選手、SBの小竹選手、ボランチの矢田選手・成岡選手、FWの郡司選手・千葉選手など、楽しみな選手がたくさんいます。彼ら自身にとって、勝つことで試合の機会を得ることが大事ですし、またこの選手たちの活躍によって、選手層が厚くなり、J2のリーグ戦にも好影響をもたらします。さすがに現地には行けませんが、Amazon PrimeのサッカーLive Lightは加入(無料体験)しましたので、リアタイで応援したいと思います。

次も全力で応援しましょう

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