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MiXERで脳みそをかき回してきた 。「熱狂を生み出せ!爆発的ヒットの作り方 仕掛け人達に聞く、国民的アーティストたちのブレイクの裏柄」編

どうも、代表です。

今回でMiXERの講演まとめは最後となります。
前回は圧倒的データを駆使ししつつも、個々のお客様を大切に一人ひとりきちんと向き合ってサービスへ導く。というお話でした。

今回は、意図的に爆発的ヒットを生み出すための”仕掛け”について深ぼってくださいました。

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お話してくださったのは、あの宇多田ヒカルをプロデュースしているSonyMusicの梶さん。そしてこのnoteのプロデューサーである徳力さんのお二人です。梶さんが音楽業界の変化を例えに、終始熱量を持って(本来見せてはいけない)様々な資料を公開しながら熱弁してくださった上に、徳力さんの配慮が行き通ったまわしが心地よく、講演の質がとても高かったので終わったあとの余韻も一潮でした…笑。


時代はマスからパーソナルへ


まず、これは音楽業界に限った話ではありませんが、マーケット自体がサブスクリプション中心の構造に変わってきているとのこと。

これまで主流だったのは、

・会員制
・定期購入
・インフラ

だったのに対し、現在は

・〇〇仕放題
・パーソナライズ
・シェアリング

などに移行してきている。
ネットが普及する前は、ユーザーも能動的に情報を探し、足を使って買いに行かなければ享受できなかった媒体が、今では勝手に(中に入らない情報まで)手元には届く受動的な環境に変わったことにより、検索しなくなっている。時代の変化により、いままで持っていることがステータスだった「所有」から、「共有」に重きを置いているためだと考えられます。在庫コストは削減できるのは良いですね。日本ではまだ健在ですが、実は海外ではタワーレコードがまだ生き残っている事自体珍しいことだそうです。それだけもう「モノ」という形態に世界が頓着していないんですね。

また、その他大勢という大まかなカテゴリーに向けた「マス」戦略から、より個々に最適化、細分化して情報を届ける「パーソナル」戦略へと移ります。サブスクリプションマーケットの割合は、世界的に見ると市場の50%という段階まで来ているとおっしゃっていました。日本だけで見たらまだ16%ほど。こんな数字なのはインドと日本くらいらしいです。

これまでのマス戦略は、いわゆる「買わせる」マーケティング。
つまり、お膳立てに力を入れてユーザーの気持ちを高め、買わせればオッケーという世界観で成り立っていたプロダクトローンチ型。発表から発売までの短い時間の中火種を大きくし、発射した瞬間燃やし尽くしてしまう。それでも物が売れた時代の戦略でした。

変わってパーソナル戦略は「聴かせる」マーケティング。
こちらは発売してからプロモーションをしていき、5年から10年かけて、1億回、10億回と聴いてもらう事が重要になっていきます。
YouTubeなどコンテンツもそうですが、視聴者一回聴くごとに利益が発生するので、何回もユーザーにリピートしてもらう「愛される」必要があります。

前回の記事でも少し触れましたが、ユーザーのファーストインプレッション、出会った瞬間の感動(梶さんは成功体験と表現していました)が早い段階であると、長いファン化を引き起こす。つまり「信者化」する。

ユーザーが成功体験を感じられる機会を損失しないためにも、マス戦略で取っていた「出るまでに労力をかける」というより「出してから口コミで大きくしていく」アンバサダープログラムにほぼ変化していると言うお話でした。

知り合いからの触れ込みは、僕もほぼノーガードで信用してしまいますが、企業が売りたいものを「ほら、ほしいだろ?買え!」とばらまくような戦法は今の時代もう通用しなくって、ユーザーが「めっちゃ好き…。尊い…。もっと広めたい…。」という衝動を引き起こせるコンテンツ作りが、意図した領域を飛び越えて波及していくと、それが”爆発的ヒット”というビックウェーブを引き起こしていく。ということですね。


「消費させる」から「愛される」に。


今売れている新人アーティストのほとんどは、「ファンベースのマーケティング」をしている。例えば昔なら、一曲ポーンと出して「いい曲だねー。」となったとしてもCDを買わなければ聞けなかった(安くても1000円)ものが、今はデータとしてダウンロードすれば聴けてしまう。(1曲250円とか、1視聴1円の世界)。

逆に言えば、同じ人が何回もその曲を聞けば利益になるので、買ったあとすぐ聴かなくなってしまうような売り切りの曲ではなく、同じ人が何度も何度も聴いてくれる愛される工夫が必要になる。このような売り方をするためには、まず長期スパンになることを覚悟してコアファンを創ること(騒いでくれる人)が重要になってくる。

その火種が徐々に燃え広がり、次第に大きなお金を持っている人、動かせる人の目に止まり一気に波及させる。そしてまた若い世代に広がっていく。というサイクルがある。端的に見れば、チャートなどで一瞬1位を取るなど、すぐ見える利益に目を奪われがちではありますが、今の時代は少しずつ長く愛される方が”爆発的大ヒット”と呼べるのではないでしょうか。

飛び抜けたヒットより、安定的なファンが離れないようにする。
くすぶっている時間が長いと苦しいかもしれない。けどその火を消さないことが重要で、丁寧に温めていく持久力は、1公演目の中で話した「やりたい!」という熱意を軸にすることで維持させていくことが良いのだと思います。

また、サブスクリプションの魅力として、コアファンがいる事により過去作品や関連商品も芋づる式に売れていく。という側面もあります(表現がゲスいかもですが笑)


コア・ベース


結局の所、ユーザーがあってこそ初めてマーケットが動く。

市場を変えていくのはユーザーであって、企業が変えられるのはアプローチの仕方だと思います。だからこそ企業は、提供者とユーザーがハッピーになれる仕組みを考える必要があるのです。

そして、それは決して大きなマーケットである必要はなくて「好きになってくれる人に、ちゃんと好きって言いに行く」マーケティングで良いのです。
その好きを伝えるためにも、提供者自身がちゃんとコンテンツを愛すること。受け取り手も馬鹿じゃないのですぐに伝わってしまいます。

また、本物のファンがついているかどうかを確認する方法としては、結局の所リアル。ライブなりオフラインセミナーなりを開催したときに初めて分かる。ともおっしゃっていました。これも前回の記事同様、直接お客様の声を聴く。というスタンスが本物の情報を得られる手段だということかもしれません。

昔からwin-winという言葉も存在していますよね。私の勝手な思い込みで、この言葉には何故かB2B色が強いイメージを持っていたのですが、企業も勝って、ファンも勝つ。という意識を改めて肝に銘じて置きたいですね。

以上、MiXERから様々な学びを得ることができました。
ご覧にになっている皆さんにも、何かしら参考になるものがあれば幸いです!

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