【読書記録】世界7大教育法に学ぶ才能あふれる子の育て方 最高の教科書 おおたとしまさ

[書籍紹介]
おおたとしまさ(2019).世界7大教育法に学ぶ才能あふれる子の育て方 最高の教科書 大和書房

[著者紹介]
教育ジャーナリスト。中高の教員免許をもち、リクルートから独立後、独自の取材による教育関連の記事を幅広いメディアに寄稿、講演活動も行う。
(上記書籍より)

[読んだきっかけ]
モンテッソーリ教育についての勉強がひと段落し、モンテッソーリ教育の位置付けとその他の教育法との差異を知りたいと思っていたところ、この本に出会いました。

[こんな人におすすめ]
こどもを迎えようとする人
こどもと関わる仕事をする人
7大教育法のハウツーだけでなく、根底にある考え方から理解したい人
7大教育法による教育現場の雰囲気を知りたい人

[ざっくりまとめ]
モンテッソーリ教育、シュタイナー教育、レッジョ・エミリア教育、ドルトンプラン教育、サドベリー教育、フレネ教育、イエナプラン教育の7大教育法について、取材を元に教育現場の雰囲気と、教育法の成り立ちを紹介しています。著者の主なメッセージは「おわりに」に書かれている「既存の枠組みにそぐう『材料』としての人間を育てることを『人材育成』と言います。でもそれは『教育』とは似て非なるものです」というところでしょうか。

印象的だった部分を紹介します。
モンテッソーリ教育では、こどもの発達にはおおまかな段階があり、来るべき時(敏感期)が来れば、こどもは自身の発達のために必要な課題に集中して取り組む、と考えており、タイミングを逃さない環境整備を大切にしています。たとえば言語の敏感期は胎児期から3歳までが「話し言葉の敏感期」、3歳以降は「文字の敏感期」というように定義されていて、課題に適した教具まで確立されています。また、線上歩行という活動の時間が設けられ、先生のお手本の後にこどもたちが続きます。真に自由であるための、自己コントロールという意味合いだそうです。
一方で、サドベリー教育は、カリキュラムなし、時間割なし。いつでも休み時間のようなスクールで、一日中釣りをしている子も、一日中ドラムを叩く子もいるのだそうです。評価を行わないので成績表もありません。では、どのように基礎学力を身につけるのか?サドベリーのスクールでは、学びたいと思った時にはこども自ら本やインターネットで調べて、それでは不十分だと思った時に、こどもから大人へ教えを請うそうです。「何歳頃に〇〇」が全くなく、モンテッソーリと対照的だと思いました(モンテッソーリ教育でも、こどもの自由は保障されています。敏感期という考え方は、あくまでも大人がこどものために最適な環境を準備するための羅針盤のようなものであり、こどもたちが自ら選んだ課題に取り組んでいるのは共通していると理解しました)。ちなみに、サドベリーのスクールの卒業のためには、「卒業後、責任ある市民として社会に貢献できることを証明する」ためのプレゼン・質疑応答を行い、仲間や職員の投票による承認を得なければならないそうです。格好良いですね。

また、この本の特に良いところは、取材時に著者が感じた違和感もきちんと書かれていることです。

読書記録の投稿は初でした。読書は育休中にやりたいことのひとつなので細々と続けていきます。