ブルーインパルスを見て感じたこと
北九州市に隣接する「航空自衛隊芦屋基地」では先日、恒例の航空祭が開催された。日頃は訓練飛行機が離発着し、我が家の上空にも飛来する姿をよく見かけていたので、是非一度間近で見学したいと思っていた。自衛隊基地に入るのは、小学生の時に見た埼玉県内入間基地航空祭以来、56年ぶりのこと。
航空祭でのデモンストレーションは、実際のスクランブルや演習とは比較にならないのは当然だが、しかし基地内の雰囲気を知る上では、またとない機会。現場へ足を運び、自分の目で見、耳で聞き、肌で感じたことは、ネットや、自衛隊に批判的なマスメディアから伝わる印象とは明らかに異なり、とても有意義な体験となった。
今日、世界情勢は混迷の度合いを一段と深めている。ロシアによるウクライナ侵攻が未解決のまま、イスラエルに対するハマスのテロ攻撃が勃発。隣国レバノンやシリア、さらにイランをまで巻き込み、新たな中東紛争へと拡大する気配も見せ始めている。
これが対岸の火事では済まないのは言うまでもない。今や世界は二分され、物理的な距離は意味をなさない。日本の近隣は、西側諸国と相対する勢力によって囲まれている。中国による海洋進出の脅威は南西諸島や沖縄にとどまらず、九州にまで及ぶ。中国の核ミサイルの照準は、すでに日本の主要都市すべてに向けて配備されている。北朝鮮による弾道ミサイルの威嚇は繰り返され、ロシアと中国が連携した北海道周辺での不穏な動きも活発化。中国の尖閣諸島侵攻が現実化すれば、混乱に乗じてロシアが北海道に侵攻する可能性も浮上している。
ネットではその延長線上にあると考えられる「第三次世界大戦」という言葉が、至る所に見られるようになった。
こうした危機的状況を前に、依然として日本国内のマスメディアから発せられる情報は十分な情報収集分析力を持っているとは思えない。また政府や中央省庁の危機管理の対応を見ても、不信感も拭い去ることができないままだ。
私たち国民が、世界がどのような状況にあるのかを知るためには、公開されている僅かな情報や書物の中から、いくつもの小さな断片を拾い集め、ジグゾーパズルをはめ込むようにして浮かび上がってくる地平線の風景を、自分の眼で見極めるしかない。
ならず者国家がひしめき合う世界。領土、資源、食料、マネーの争奪戦。生き延びるためには何をしても構わない世の中。まるでソドムとゴモラのような体を成す混迷の世相である。
「平和」とはいったい何だろう?
いつになったら訪れるのだろうか?
「花」や「ハイサイおじさん」で有名な沖縄のミュージシャン喜納昌吉氏は、「すべての武器を楽器に」と言った。
それは間違いなく正しい。大賛成だ。
武器も、兵器も、全部一度に廃棄すべき大いなる無駄だ。
しかしながら、すべての国家とすべての人々が、一斉にあらゆる武器兵器を放棄する用意がない限り、平和を希求する気運は高まらない。
軍事力の根底にあるのは自分が優位に立ち、生き残ろうとする意識。そしてその意識の更に奥にあるのは、無意識の暗闇に潜む「死の恐怖」。
人は内なる恐怖を覆い隠そうとするために戦争を憎むか、その反対に敵を作り戦うことを選択するかのどちらかに極端に偏る。自分が生き残ること、それが人生最大の勝利であり幸福であるという狂気の幻想が社会構造の根底にある限り、平和は実現しない。
この心の闇を利用して莫大な利益を生もうとするビジネスが軍需産業だ。平和を望む大多数の人々がいる一方で、この世に対立や紛争、戦争がないと武器が売れずに生きていけない人々が数百万、いや数千万人もいるという大いなる矛盾。
人類全体としてはまだまだこの状況を克服できるレベルには至っていない。いまだに人類は進化の途上にある。人類全体が「ワンネス」という意識レベルに到達するには、一人一人が内なる「ワンネス」を自覚し、それが波のように拡大していくしかないと思う。それまでは自分の家の玄関と窓の戸締りを決して怠ってはならない。
自衛隊と武器兵器の存在には様々な意見と解釈がある。がしかし、こうした状況下で、私たち日本人の命を守るために重要性を増しているのは間違いない。
世界では今、こうした「ニュートン力学兵器」の軍事力だけでなく、「サイバー兵器」「生物兵器」「化学兵器」「音響兵器」「電磁パルス兵器」、或いは特定地域に甚大な被害を与える「気象兵器」といった目には見えない兵器による攻撃も実際に使用されている。昨今の自然災害が異常気象によるものなのか、気象兵器によるものなのか、その違いを見極めることはもはや不可能だ。
自衛隊の軍事力だけで戦争抑止力を一概に計れるものでもない。それでも基地内に足を踏み入れた時に伝わってくる自衛官たちの意識には、並外れたものを感じることも確かである。基地内で出会うどの隊員も皆誠実で、朗らかな対応をする。しかしながら彼らの身体が放つオーラは、女性隊員も含め、皆、鋼のような強靭さを醸し出していた。
自衛隊の存在には、国民の命を守るという使命を遂行するにはあまりにも不自由な制限が法によって科せられている。それでも当の自衛官たちは日々激しい鍛錬に励み、決死の覚悟で日本を守ろうとしている。
何かの本で読んだことだが、ある一人の戦闘機パイロット曰く、
「もしも諸外国の攻撃機が国内に侵入した時には、法に背いてでも、人々を守るために自分の意思で攻撃する」と断言していたことが印象深い。
この航空祭を見て、心から世界平和を確信するまでには至らなかったが、何より、自衛官たちの国民を守ろうとする熱い想いを直に感じることができたことが、とても印象深かった。8Gを超える超絶アクロバット飛行は決して見た目のパフォーマンスだけではなく、隊員たちのそうした想いを結集した意思表示となっているのではないか。
遥か彼方の上空へ舞い上がる機影を眺めながら、そして戦闘機から降りてくるパイロットたちの笑顔を見て、彼らの視線の先には「恒久平和」という未来の世界が見え隠れしているのではないかと思った。
地球人類に愛と平和を
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