見出し画像

福津の秋


宮地嶽神社から玄界灘へ

 福岡市と北九州市のちょうど中間に位置する福津市。東に小高い山と西の玄界灘に挟まれた自然豊かな所である。住みやすさ街ランキングで九州第1位となったり、また全国人口増加ランキングでも上位に入るなど、九州でも屈指の人気移住エリアだ。大阪や東京からの移住者も多いらしい。

この街には、男性アイドルグループがテレビCMロケを行ったことで、全国的にも有名になった「宮地嶽神社」がある。海に向かって真っすぐ伸びる参道の先に青い海が広がり、年に二回その向こうに陽が沈むことによって参道が「光の道」となる。数年前にCMが放送されるとたちまちこの光景が人気となった。その日は神社の石段が有料席となり、また長い参道を埋め尽くすほどの人混みとなるらしい。
(となると光の道ではなくなるかも…)

この神社は祭神の神功(じんぐう)皇后が、三韓征伐の前に開運祈願したと伝えられている。「何事にも打ち勝つ開運の神」として、約1700年も前から信仰されているとのこと。

本殿の背後に広がる森には「奥之宮八社」と呼ばれる社が祀られている。このエリアは本殿よりもずっと参拝客が少なく静かで心地良いヒーリングスペース。この奥之宮にある「一社一社をお参りすれば大願がかなう」という信仰は、日本最大級の石室古墳発掘を機に不動神社(史跡)が奉祀されたことから盛んになった。この不動神社は面白いことに参拝する時に線香を立てるという珍しい風習もある。

また本殿にある日本一大きな注連縄はこの神社で作られる稲の穂から毎年新たに作られるといったことや、福岡では最も早く開花する「開運桜」、正直者がフクロウの鳴声に誘われ金の玉を授かったという「黄金伝説」、その他にも日本一巨大な太鼓や鈴など見所も多い。

若い女性やカップルの参拝客の姿が多く見られるのも、こうしたパワースポットとしての魅力アピールが功を奏しているように思う。

ここから参道を下れば玄界灘に面した「宮地浜」があり、きれいな青い海と白い砂浜が広がっている。この海岸に沿って「福岡の湘南」とも呼ばれるおしゃれなレストランやカフェが建ち並び、若い人たちで賑わっている。確かに鎌倉の鶴岡八幡宮の参道も海に向かって一直線に伸びて由比ヶ浜に出るという地形も共通している。

ここからさらに北へ移動すれば、誰もいない静かな勝浦浜もある。この海辺にもいくつかレストランがあるが、その中の一つ「ENZO」というイタリアンレストランで昼食をとった。平日でも12時には予約でいっぱいになるほどの人気店だけあって、料理もロケーションも素晴らしい。

福津のこのエリアは、人気のあるパワースポットとしての宮地嶽神社と、お洒落で綺麗な海辺という隣接する二つの個性が融合し、世代を超えて人々が集まる魅力的な所となっている。
若い子育て世代の人口が増えている背景には、大都市圏にはないこうした健康的で明るく穏やかな雰囲気づくりが少なからず影響しているのは間違いないと思う。

数時間の滞在だったが、一日中旅行していたような旅気分を味わえた。
福津の秋もこれからが本番だ。































Wong Wing Tsan+Aska Strings
海より遠く


🐭🐮🐯🐰🐲🐍🐴🐑🐵🐔🐶🐗😽🐷🦝🦊🦁🐺🐸🐨🦧🐬