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野の道辺

 (写真40枚)


 野の道辺に降り注ぐ光が眩しい。
今は秋分と冬至のちょうど中間あたり。太陽の軌道は低くなり、明るい斜光がススキの穂を輝くシルエットで包みこむ。

野の草花たちは内に残る最後の色彩を解き放ち、今年の命の営みを終えようとしている。枯れ果てることに、戸惑いも躊躇いも怖れもなく、大地に帰るその時をただ静かに待っているようにすら見える。夏の日の、あれほど激しかった嵐を耐え抜いた強靭さも、散り際は呆気なく手放してしまう。

夏の日々を十二分に堪能し尽くした安堵。
種や実、枝先に約束された新しい命の芽吹き。
繰り返される誕生と死の流転。
決して朽ち果てることのない未知なる世界への憧憬。

自然界のドラマは、何気ない道辺の片隅においてさえ祝福の光を浴びながら終焉へと、そして再び春が来るまでの安息へと向かう。

「ちり際はもろき桜の紅葉哉〈遅望〉」
俳諧・枯尾花(1694)上より




北九州市小倉南区 平尾台




























北九州市小倉北区 県営中央公園




















清塚信也
For Tomorrow


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