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冬の花


 全国的に寒風吹きすさむ中、北九州では梅の花が咲き始めた。体感的にはまだまだ真冬。しかし梅の樹に住まう主は、微細な温度変化をしっかり感じ取っているようだ。

先日、雪が降りしきる朝にこの梅園を見て廻っていると、殆んど花を咲かせている樹の中にあって、蕾が少しだけだったり、既に枯れてしまった樹が数本あった。こうした樹の幹にはいずれも雪が付着して残っていた。ところが咲いている樹には雪が付着していない。つまり花を咲かせている樹の幹は温度が高い、ということになる。

幹が暖められる原因は、外からと体内からとの両方があるのかもしれません。暖かな陽光が樹の根元を照らすようになると、幹は直接降り注ぐ大陽熱で暖められるばかりでなく、周囲の白雪で反射された光も受けて暖められると考えられます。
また、この時期になると、 地下深くに張った根から水が吸い上げられはじめ、地上部の枝の越冬芽が芽吹きはじめるのを助け始めます。
この水の移動自体が体内温度の上昇に多少は貢献しているかもしれません。いずれにしても、樹の幹、特に根元近くは、中はみずみずしくなっているはずです。このことが大陽光の照射による幹内部の温度の上昇を助けているのでしょう。

日本植物生理学会


外気温が低くても、地中深くに張った根が地熱で温められた水分を吸い上げるために幹は暖かくなる。水分が上昇するのは、水分が蒸発し、必要とする水分を補給するためだが、根から吸収した水を上昇させるためには、根圧蒸散(浸透圧)凝集力の3つの力が働いている。

開花や新芽を促すその力学の背後には、何らかの意図があるとしか思えない。生き続けようという情熱とか意志、もしくは生きる喜びというような、植物独自の「想い」が潜んでいるのではないだろうか。

植物たちには、周囲の環境に対する繊細な感情や意識のようなものがあるということは、これまで様々な科学者たちの研究によって明らかになっている。

SOSを伝え合う植物
1980年代、アメリカの2人の科学者、ボールドウィンとシュルツがある実験を行いました。実験は若いポプラの木に繁る葉のうちの二枚を破るという簡単なものでした。その結果、不思議なことが起きました。同じ木に付いている他の葉のタンニンの含有量がぐんと増えたのです。タンニンはお茶や渋柿などに含まれる苦い物質で、葉っぱを食べる昆虫が嫌うもの。葉を食われたと勘違いしたポプラが、他の葉を害虫から守るためにタンニンを作り出したのです。さて、不思議なのはここからで、実はそのとき近くにあったポプラの木でも同様の現象が確認されました。被害にあっていないのに、葉に含まれるタンニンの量が増えたのです。なぜか? 考えられるのは、葉を破られたポプラの木が周囲にSOSを発して、仲間の木に「タンニンを増やして虫から身を守れ!」と伝えたのだろうということです。

無印良品 くらしの食品研究所


どれほど過酷な環境で理不尽な生涯であろうとも、一年のうちの僅か数日間でも開花の喜びを味わうことができたなら、その個体にとってはそれが此の世で克ち得た宝物となるに違いない。
その開花を嬉しそうに眺めている人間が近づいてきたなら、梅の樹はもっと幸せな気持ちになるだろう。


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ところで、先日noteクリエイターであるKou TSUCHIYAさんの存在を知る機会があり、動画配信サイトで演奏を聴かせて頂いたが、美しいギターの響きにすっかり聴き入ってしまった。

土谷さんはプロの音楽家・ギタリストとして長年に渡り、映画やCMなどで活躍されている方。
今回は、土谷さんのオリジナル曲、
Flores de invierno~Winter Flowers(冬の花)〟
を誠に勝手ながらご紹介させて頂きたい。
〝Winter Flowers〟というタイトル通り、梅の花のように何とも言えぬ気品と甘い香り漂うような音の響きが美しく、喜びに満ち溢れている。

この楽曲を、できることなら梅の花が咲いた知らせと一緒に、風の便りに乗せて被災地へ届けられたらと思う。


土谷さん、素敵な曲を聴かせて頂きありがとうございます。









北九州市 夜宮公園





























































ありがとうございます



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