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2023年10月26日、日本株式市況


Nikkei Chart


Nikkei400

26日の東京株式市場で日経平均株価は3日ぶりに反落し、前日比668円14銭(2.14%)安の3万0601円78銭で終えた。前日の米ハイテク株安の流れを引き継ぎ、東京市場では半導体関連株が売られた。国内長期金利の先高観も重荷となり、株価指数先物に運用リスクを回避する売りが出て、下げ幅は一時700円を超えた。

25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比105ドル安の3万3035ドルで終えた。米長期金利の上昇や決算発表した大手ハイテク株の下げが響き、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数が2%強安、主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は4%強下げて終えた。

これを受けて東京市場でも東エレクやアドテスト、村田製などに売りが目立った。米株価指数先物が日本時間26日の取引で軟調に推移すると、株価指数先物に海外短期筋とみられる売りが出て、日経平均は下げ幅を広げた。

26日の国内債券市場で長期金利は上昇し、指標となる新発10年物国債の利回りは0.885%と、2013年7月以来、約10年3カ月ぶりの高水準をつけた。有利子負債の重さが意識される不動産株に売りが出た。

日銀による長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の再修正への思惑が支えとなった銀行や保険株の一部には下値で買いが入った。電力や食料品など業績が景気動向に左右されにくいディフェンシブ銘柄の一部が物色された。

東証プライムの売買代金は概算で3兆2880億円、売買高は13億3197万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1291。値上がりは325、横ばいは44銘柄だった。


26日の国内債券市場で長期金利は上昇(債券価格は下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前日比0.030%高い0.880%で取引されている。米連邦準備理事会(FRB)による米金融引き締めの長期化観測から、25日に上昇した米長期金利が日本時間26日の取引でも高止まりしており、国内債相場の重荷になった。

長期金利は一時0.885%と2013年7月以来10年3カ月ぶりの高水準をつけた。前日の米長期金利の上昇で、国内金利に上昇圧力がかかった。市場の一部では日銀による臨時の国債買い入れオペ(公開市場操作)などの通知が期待されていたが、現時点でオペの通知はない。市場からは「金利上昇を抑える姿勢が示されず、失望感が出た」(国内証券の債券ストラテジスト)との声があった。

中期債や超長期債にも売りが出た。新発2年債利回りは前日比0.015%高い0.085%と、14年6月以来9年4カ月ぶりの高水準で推移している。5年債利回りは同0.025%高い0.380%と、13年5月以来10年5カ月ぶりの高さとなった。新発20年債利回りは同0.040%高い1.665%、30年債利回りは同0.025%高い1.850%で推移している。

国内債の先物中心限月の12月物は続落した。前日比46銭安の144円26銭で取引を終えた。午後に144円23銭まで下げ、1月以来、9カ月ぶりの安値をつける場面もあった。


 全体相場は再び波乱の様相を呈している。23年の年初からスタートしている上昇相場は途中に停滞する場面は何度かあったが、そこは幸いにも上り階段の踊り場として、空売り玉を肥やしに程なく上値追いを再開するというパターンを繰り返してきた。特に新年度入りとなった4月以降は東証のPBR1倍割れ企業に対する改善策開示要請が低PBR株の刺激材料となり、これに加えて訪日した著名投資家ウォーレン・バフェット氏の商社株への買い増しが明らかとなると、東証大号令と共鳴する形でバリュー株物色の動きが加速した。半導体関連株も春以降はアドバンテスト<6857>やディスコ<6146>などを中軸に、生成AIが紡ぎ出す半導体特需のシナリオを拠りどころに市況低迷下の株高を演じ、全体相場の押し上げに貢献した。

 しかし、6月中旬を過ぎたあたりで相場の上値が明らかに重くなった。これは米長期金利の上昇が本格化し始めたタイミングと一致する。それでも強弱観が対立した際に何度も崩れそうなところで踏ん張り、結局はショート筋が折れる形で日経平均は立ち直ってきた、というのがこれまでの経緯だ。空売り筋が跋扈(ばっこ)する時間帯が訪れても最後は踏まされて終了というのがお決まりのパターンだった。全体相場はさまざまなノイズに晒されながらも、結果的にそれを“狼少年のたわごと”として処理してきたわけだ。

 だが、どこかで「本当に狼が来るかもしれない」という恐怖感が買い方に芽生えていたのも確かだと思われる。ジョン・テンプルトン語録を借りれば、そうした懐疑の中で相場は育ち続けてきたわけだが、今回は止まらない米長期金利の上昇が現在進行形で株式市場に強烈なストレスを与えている。今回の「Wolf is coming」が本当の叫びなのかどうかは、来週の相場がおおよその答えを示すことになる。 


<6920> レーザーテック 24635 -1070
大幅続落。東京エレク、ディスコ、アドバンテストなど主力の半導体製造装置関連が軒並み大幅安。前日の米国市場ではSOX指数が4.1%の大幅安となり、今年最大の下落となった。国内半導体関連にも売りが波及した形だ、TIが24日に決算を発表したが、10-12月期見通しは売上高、EPSともに市場予想を下振れており、先行き懸念が再燃する形になった。米長期金利の上昇もハイテク株安につながったようだ。

<2212> 山崎パン 2887.5 +153
大幅反発。前日に第3四半期決算を発表、7-9月期営業利益は72.6億円で前年同期比4.4倍と急拡大、55億円程度の市場コンセンサスも大幅に上回る。第3四半期累計では279億円、同73.9%増となり、据え置きの通期予想340億円には上振れ余地が広がる形に。原材料費上昇の影響が想定以上に抑制できたもよう。山パン本体に加え、子会社群も不二家を除いて順調な推移となっているようだ。

<6368> オルガノ 4585 +570
急騰。前日に収益予想・配当予想の上方修正を発表した。上半期営業利益は従来予想の66億円から78億円に、通期では160億円から200億円にそれぞれ引き上げた。国内外の大型プラント案件で利益率が改善していること、ソリューション事業・機能商品事業が好調に推移していることが収益上振れの背景に。年間配当金も従来計画の66円から82円にまで引き上げ、前期比20円の増配となる。

<4722> フューチャー 1616 +119
大幅続伸。前日に第3四半期の決算を発表、累計営業利益は104億円で前年同期比10.9%増となり、上半期実績の同1.8%増から増益率は拡大。7-9月期は40.6億円で同29.0%増と大幅増益になっている。据え置きの通期予想138億円、前期比12.9%増には上振れ余地が広がる形となっている。ITコンサルティング&サービス事業の収益改善が足元では強まってきているようだ。

<7739> キヤノン電子 1866 +64
大幅反発。前日に第3四半期決算を発表、累計営業利益は46.1億円で前年同期比34.9%増となっている。上半期は同4.5%の減益であったため、一転しての大幅増益となる形に。コンポーネントにおけるプリンター部品の増加のほか、第3四半期からはスペースワンが連結子会社から持分法適用関連会社に移行していることで、損失が大きく縮小する形になっている。営業益急回復が低迷していた株価の反発材料となる形に。

<4047> 関電化 749 -77
大幅反落。前日に業績予想の下方修正を発表している。上半期営業損益は従来予想のゼロから4.3億円の赤字に、通期では45億円の黒字から一転20億円の赤字に下方修正。第1四半期決算時に続いての下方修正となる形に。半導体の在庫調整継続に伴う半導体用特殊ガス販売数量下振れ、EVの一時的な成長鈍化による電池材料の数量・単価下振れなどが背景。中期計画の見直しも検討としている。

<5852> アーレスティ 729 +36
大幅続伸。前日に業績・配当予想の上方修正を発表している。上半期経常利益は従来予想の1億円から9億円に、通期では16億円から22億円にそれぞれ引き上げ。ダイカスト事業での受注回復や価格転嫁効果に加えて、為替差益の発生で営業外収支も大幅に改善する形のようだ。業績の上振れに伴って、年間配当金も従来計画の15円から20円に引き上げ、前期比では10円の増配となる。

<3553> 共和レザー 647 +51
大幅続伸。前日に業績予想の上方修正を発表。上半期営業利益は従来予想の4億円から8.5億円に、通期では10億円から18億円、前期比7.6倍にそれぞれ引き上げ。上半期に関しては、第1四半期決算時に1.5億円から4億円に引き上げており、それに続く大幅上方修正となる形。国内自動車メーカーからの受注増加、円安進行による採算良化や原材料・燃料費値上がりの影響抑制、中国市場での受注回復などを要因としている。

<6653> 正興電 1041 -101
大幅反落。前日に第3四半期決算を発表、累計営業益は10.6億円で前年同期比30.4%増となり、上半期実績の同20.2%増から増益率は拡大した。ただ、通期予想は従来の20億円から17億円に下方修正しており、ネガティブな反応が優勢となった。中国の景気減速の影響長期化で中国事業の立ち上りが遅れていること、国内公共分野において現地工事の進捗遅れが依然として発生していることが主な要因に。

<7610> テイツー 136 +8
大幅高。発行済み株式数の6.04%に当たる400万株、5億円を上限とする自己株式の取得実施を発表している。取得期間は26日から24年2月29日まで。株主還元の充実及び資本効率の向上を図るとともに、将来の機動的な資本政策を可能とすることを取得目的としている。同社の自社株買いは22年4月から5月にかけて300万株を取得して以来となる。目先の需給改善による株価リバウンドを期待する動きが優勢に。


・THK<6481>25年めど自社開発EVの公道実証、機械要素技術を結集
・マツダ<7261>中国市場の巻き返し図る、25年にEV投入
・IHI<7013>15年ぶり最終赤字900億円、航空機エンジンの不具合響く
・三菱電機<6503>防衛装備品で8生産棟新設、220億円投資
・トヨタ自<7203>来月からEV専用車「bZ4X」一般販売、一部改良も実施
・出光興産<5019>ビスフェノールA事業から撤退
・伊藤忠<8001>エジプト社とスエズ運河で船舶向けアンモニア供給拠点開発
・NTT<9432>日台間でIOWN接続、中華電信と合意
・日立建機<6305>九電と建設現場の電力供で協業
・ENEOS<5020>東芝とCO2電解技術活用で合成燃料製造の事業性評価で合意
・三浦工業<6005>水素専焼小型ボイラ開発、燃料消費量1割低減
・アズビル<6845>フォレストエナジーと資本提携、再生エネ供給強化
・三菱重<7011>水素発電向けポンプ開発へ、大容量供給型
・IHI<7013>東南アで低炭素発電の検討開始
・東京ガス<9531>CO2資源化サービス、炭酸塩を顧客先で製造
・旭化成<3407>米NFWに出資、低環境負荷レザーで連携



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