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部屋の片付け

 長い間の家庭のゴタゴタが片付いて、生活がようやく落ち着いたのは2019年夏のことだった。これで楽になるなと考えていたら翌年世界が“コロナ”の大波にのまれた。
 このときからしばらくは生命を繋げる最低限のこと(食う、寝るだけ)をして何とか家事をこなし一日中労働ということになった。

 国家的危機のとき、人は2つに分類される。
 即ち護る方と護られる方。
 今私は自分のことで手いっぱいだし、そもそもぐうたらなので他人どころの騒ぎじゃないのだが職種的に何となく世の中を助けなくてはならない雰囲気になり、気がつくとそれなりに高い志で前者の側にまわったという訳。マスクも消毒液も不足していた。そして世の中がスティホームへと傾く中、毎日外を駆けずり回らなければならない恐怖に耐えた。
 
 今は悲しすぎて具体的に書きたくはないけれども、忙しかった割には収入乏しく。とはいえ時間をお金で買うしか手段のない暮らしで、結局家計が火の車となり世の中の虚しさも感じた。「戦争中に働く人達の社会心理もこんな感じなのかなぁ」としんみりと思ったものだった。

 落ち着いたのは今年年が明けてからである。それからの数ヶ月間はたまりにたまった事務作業を延々とこなし、今度はたまりにたまった道具類の片付けをしようと思った矢先、家族の都合で家の中の模様替えをすることになった。

  これにより廊下、居間等には物がうず高く積まれたまま今、私は荷物の隙で床に就いている。
 不可抗力とはいえ、誰かのために生きるだなんて生意気な努力のつけを払っているのだと思えなくもない、本当に切ない今日この頃なのだ。
 おっと。片付けの話をしようとしたら、単なる愚痴になっとるやないの。

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