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日曜朝のコインランドリー

 今年(2022年)6月のこと。急激に夏日になったせいか我が家ではダニが大量発生。早くもアレルギー症状が出てしまう。
 このとき私は今夏のハウスダストとの戦いを独り高らかに宣言したのだった。早速翌日曜の早朝、使っている掛布団やカーテンを肩に担ぎコインランドリーへと向かった。

 「こんな早い時間なんて誰もいないだろう」という予想に反し、ランドリーは結構な客の入りだった。多くの洗濯機、殆どの乾燥機には洗濯物が入っており、スマホをいじる20代~30代位のお兄さん達で椅子が埋まっている。この頃の自立した若い男性は自宅に洗濯機なんていう場所の取るものなんて所有せず、ここで1週間分の洗濯を済ませるのか。

 などと関心していたら、あわわわわわわわわわわわ。
 間もなく自分の洗濯が終わり、そろそろ乾燥機をかけたいタイミングになっても塞がっているではないか。この状況を回避するために朝早く来たというのに。
 と、思うとほぼ同時に1人の40代位の女性がやってきて、既に数十分間停止していたひとつの乾燥機から洗濯物を取り出したたみ始めたのである。
 「酷いじゃないの」と思いもしたが、洗濯物の量からして家庭を持つ方なのだろう。休みを利用し、ここで洗濯物が乾くまでの間家に戻り他の家事を済ませていたかもしれない。気持ちはね。本当に分かる。痛いほど。この位の意気込みがなければ家族分の家事なんて終わらないのだ。作業を終えると彼女は急いでその場を後にした。
  そして…である。先ほどの女性と入れ替わりに同世代であろう別の女性が現れ、放置された乾燥機から同様に洗濯物を取り出したたみはじめたのである。
 ここで使用中の乾燥機の数とランドリー内にいる男性の数を即座に換算するに、さらに他にもコインランドリーに乾燥を任せ、家で掃除機でもかけている女性がいるに違いないことが想定された。
 日曜の(しかもこんなに近くの)コインランドリーで性別や年代別の行動を見るなんて。まさに生きた社会学。たかが洗濯。されど洗濯なのである。

 あの男性達、あの女性達は今も日曜の朝、コインランドリーに通っているのだろう。
 もう8月。ハウスダストとの戦いも(緩やかではあるが)まだ続いていて、空はどこまでも高く青く、白い雲は私の心を天へと誘うのであった。

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