モーツァルト：交響曲 第31番ニ長調「パリ」
07:01 II. Andante
12:01 III. Allegro
1955年3月にラインスドルフ指揮のロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団によって録音されました。
モーツァルトの交響曲第31番ニ長調「パリ」K. 297(300a)は、1778年にパリで作曲された作品で、モーツァルトの交響曲の中でも特に有名な一つです。この作品は、モーツァルトがパリで成功を収めようと試みた時期に書かれ、彼の創造力と技術が見事に結晶化したものです。
### 楽曲の構造
交響曲第31番は典型的な3楽章形式で構成されていますが、当時のパリの聴衆の好みに合わせて、特に華やかで劇的な要素が取り入れられています。
1. **第1楽章: アレグロ・アッサイ**
- 曲は力強い第1主題で始まります。この主題は明るく、親しみやすいメロディが特徴です。
- 第2主題はより歌謡的で、柔らかな表情を見せます。この対照が楽章全体のダイナミズムを生み出しています。
- 展開部では、これらの主題が巧みに変形され、再構成されます。
- 再現部は第1主題が華やかに戻り、強い印象を残して楽章を締めくくります。
2. **第2楽章: アンダンテ・モデラート**
- この楽章はより穏やかで、詩的な雰囲気を持っています。モーツァルトの抒情的な面が良く表れている部分です。
- 繊細なオーケストレーションが特徴で、弦楽器と木管楽器の間で美しい対話が繰り広げられます。
3. **第3楽章: アレグロ**
- 最終楽章は再び活気に満ちたアレグロで、パリの聴衆が好む華やかさと勢いが前面に出されています。
- リズミカルでダンスのような要素が取り入れられ、終始明るい雰囲気で楽章を推進します。
### 背景と影響
この交響曲は、パリ滞在中のモーツァルトにとって非常に重要な作品であり、パリの音楽愛好家たちを魅了することに成功しました。しかし、この成功にも関わらず、モーツァルト自身はパリでの生活に満足しておらず、後にウィーンに戻ることを決意します。
「パリ」交響曲は、その後のモーツァルトの交響曲にも影響を与え、彼の作曲技法の成熟を示す重要な節目となります。特に、オーケストレーションの扱いや主題の展開方法において、後の作品への布石が見られます。
この交響曲は、モーツァルトがどのようにして異なる聴衆の好みに対応しつつ、自身の芸術的理念を保持し続けたかを示す貴重な例と言えるでしょう。
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