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持ち家か賃貸か(持ち家側の言い分)

『家は買うべきか借りるべきか』ずっと昔からある論争を呼ぶテーマです。私が大学生の時にも、このテーマでディベートをしたことがあります。

いまだに結論は出ておらず、「持ち家か賃貸か」でグーグル検索すると、ニュースだけで5000件以上のヒットがあります。ただ、上位の数ページだけ見てみると、結論としては「その人の状況による」というものが多いようです。

確かに、賃貸も持ち家も幸福度は最終的には変わらないといった論調も多く、ケースバイケースと言われればその通りだと思います。

ただ、私としては、せっかく持ち家派になったのだから、極端に偏った持ち家はこんなに良いという視点で、今回noteにまとめてみようとおもいます。

1 老後の金銭的負担が軽減される

相変わらず「老後が心配」というニュース等が多いです。その中でも、老後の心配事として、一番頭を悩ませるのはお金の問題です。どのようにして年金で暮らしていくのか、この点で、政府は持ち家であることを前提にしているように思います。

最近の総務省の家計調査報告を見ても、月の消費支出における住居費の平均額は、わずか18,652円です。とても賃貸料を払っている額ではありません。
家計調査報告(二人以上の世帯)-2022年(令和4年)12月分、10~12月期平均及び2022年平均- (stat.go.jp)

また、現役世代に対して、住宅購入を促すような施策をどんどん出しています。
 ①住宅ローン減税 住宅:住宅ローン減税 - 国土交通省 (mlit.go.jp)
 ②すまい給付金 住宅:すまい給付金について - 国土交通省 (mlit.go.jp)
 ③住宅購入にかかる贈与税の非課税措置 住宅:住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置 - 国土交通省 (mlit.go.jp)

これに加えて、子育て世代への住宅ローンの金利優遇など、年々拍車がかかっているようにすら思えるくらいに、政府は住宅を持つことを推奨しています。
【フラット35】地域連携型:全期間固定金の利住宅ローン 【フラット35】 (flat35.com)

長年、住宅購入を促進する施策を行ってきたためか、日本の持ち家率は、1983年の62.4%から2018年の61.2%と大きく変わっていません。特に60歳以上の持ち家率は8割にも達しています。
図表1-8-6 持家世帯比率の推移(家計を主に支える者の年齢階級別)|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

別の資料でも、令和5年の高齢社会白書によれば、65歳以上の高齢者の賃貸の割合は戸建てアパート等を合わせて10.4%と1割強で、85%以上が持ち家で生活をしています。
令和5年版高齢社会白書(全体版) (cao.go.jp)

今まで住宅を購入を支えるような施策を行ってきた
 →持ち家率も高い
 →持ち家を前提にした高齢者施策が行われる 
こうした流れになるのも自然でしょう。賃貸を選択した場合は、政府がイメージしている想定世帯よりも老後に多くのお金を支払うことになると考えられます。

2 住宅ローン金利と賃貸料の対比

最近家賃の上昇が目立つようになってきています。特に都市部では、2015年と比べて家賃が1.2倍になったエリアもあり、住居費の高騰が続いています。

「マンションの平均家賃は、神奈川、札幌、仙台を除く7エリアで、すべての面積帯が前年同月を上回りました。上昇率が最も大きかったのは、シングル向けが東京都下で4.4%増、カップル向けが大阪で6.9%増、ファミリー向けも大阪で15.3%増、大型ファミリー向けが福岡で13.8%増でした。」
引用先:賃貸マンションの家賃高騰・過去最高値に。部屋探しで妥協してもいい条件とは?不動産のプロが解説 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

なぜかと調べてみると、コロナを経ても首都圏への人口流入が収まることはなく、人は都市に集まり続けています。そうすると、部屋を借りる人(需要)が多くなり、家賃が高くても借りてくれる人が増えることになり、値段は上がってきます。

また、物価の上昇も管理費等の増額につながって、これも家賃上昇の一助にもなっていると考えられます。

今後も若い人が都市へと集まる傾向は止まらないでしょうし、物価も下り坂になる気配は見えませんので、賃貸料の上昇は避けられないでしょう。

一方で、住宅購入側にも物価高騰の影響はあります。資材や人件費の増加によって戸建ても中古マンションも成約価格は緩やかに上昇しているものが多く、特に首都圏内の中古マンションは「タワマン暴落」の噂も何のそので、高価格を維持しています。
参考:東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ」

しかし、住宅購入する際の強い味方である住宅ローンの金利は史上空前の低金利を維持しています。個人的に有利であると考える変動金利の金利は、paypay銀行でわずか0.29%です。

5000万円借りたとしても、35年間で毎月12.5万円返済、総返済額は5259万円で、わずか259万円増えるだけ、恐ろしいほど借り手側に有利な状況です。(手数料等は考慮しない)
参考:【住宅ローン】おすすめランキングで一括比較【2024年01月最新】 | モゲチェック (mogecheck.jp)

今の日本は恒常的なインフレになるかもしれないという状況です。少なくとも家賃は上昇傾向であり、このトレンドは首都圏を中心にしばらく続きそうです。

一方で、住宅購入の場合は、購入価格は上がっているものの、お金の調達がしやすくなっている状況であり、購入の際のデメリットはそんなに大きくはないのではと思います。

3 もしものときの「もしも」とは

賃貸の魅力は何といっても身軽でいられることでしょう。引っ越しにかかる費用さえ払えば、色々な土地に住所を移すことができます。持ち家の場合は、「もしものことがあったらどうする?」とよく言われます。

もしものこと、パッと思いつくのは、転勤、離婚、災害でしょう。要は、住宅を手放さなくてはいけない状況になるのではないかということです。ただ、これももしもが起こる可能性は年を経るにつれて低くなっているように思います。

転勤についても、多くの人が転勤は退職のきっかけとなると考えるようになってきました。フルリモートの会社も出てきている中で、退職の理由となったり、新卒者が就職を避ける理由と転勤を大々的に実施する企業も少なると考えられます。
6割以上が「転勤は退職のキッカケになる」。承諾する人の条件、拒否する人の理由とは?|人事のプロを支援するHRプロ (hrpro.co.jp)
24卒が行きたくない会社、2位は「転勤の多い会社」、1位は? | マイナビニュース (mynavi.jp)

離婚については、もともとの母数が多くありません。リクルートが実施している調査によると、住まいを売却する理由として離婚や別居のためとしているのは、わずか5%で、年々減っている状況です。
2022年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)​ (recruit.co.jp)

最後の災害については、保険でカバーができるでしょう。最新の家、特にマンションは耐震がしっかりしているため、そもそも倒壊の危険性は昔に比べれば少なくなってきたように思います。

万が一のことがあったとしても、火災保険は水災や落雷などもカバーされるものが多いですし、地震保険に至っては、支払った保険料は税金から控除されます。もしものことが起きたとしても保険を使ってやり直すことも可能です。

そうはいっても、やむを得ない事情で手放さなくてはいけない時もあるでしょう。その時は誰かに貸すか、シンプルに売却をすればよいのだと思います。

住宅価格は首都圏のマンションを中心に高値を維持しています。売ったお金で新たな自分の家を求めるもよし、自分はしばらくは賃貸に戻り、家は誰かに貸して賃料を得るもよし、買ったからと言って、そこで終わりではなく、もしもが起きてもやりようは色々あります。

4 まとめ

ここまでつらつらと、持ち家が良い理由を並べてみましたが、友人に相談されたと仮定しても、一概に「必ず持ち家が良い」とは言い切れません。その人の家族構成や資産状況にもよるだろうし、年収に比べて無理な住宅ローンを組んでしまえば不幸になってしまいます。

住宅は幸せになるためのワンパーツです。ただ、あなたはどっちがいいと思うのと問われれば、持ち家となったので、持ち家が良いときっぱり言えます。

一生に何度もない大きな買い物、そういう意味では、あまりない経験をしてみるという意味でも、家を持ってみるというのはありなのではないかと思います。

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