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あきらめるの早すぎる大人たち

甲子園もインターハイも全く縁がなかったが、テレビで見る高校生たちの涙や、どうにかして言葉を探そうとする姿に、誰かが言った「本当に開催できないか、大人たちは手を尽くしたのか?」を考える。

今は、どんな言葉も(耳に)入らない

まずは高校野球の強豪校、智弁和歌山高校・前監督の高嶋仁さんが「教え子とどう向き合うか?」に答えた日経新聞掲載の記事から。

高嶋氏は「今は、どんな言葉も入らないと思うので、時間が必要」と前置きした上で「長い人生の中にはうまくいかないこともある、と伝えるしかない。教え子の気持ちが将来に向くよう、指導者の役割が大切になる」と語る。

さすが、甲子園・歴代最多勝利監督の言葉は重い。「今は、どんな言葉も入らない」。そう。それが言いたかった。

テレビで、アナウンサーやタレントなどコメンテーターが「前を向いてほしい」とか、ワアワア言ってるが、そんなのクソの役にも立たない。と、高校生たちも思ってるはず。何も言わないほうがいいぐらいだ。

さて、前向きに考えると、まず、この状況下においては、今の高校3年生たちが「高校生でいられる時間を延ばすこと」から始めないといけない。それは、9月入学の実現だ。

最低条件は、来年からの9月入学

私は、9月入学に賛成でも反対でもない。「それに関わる国民の負担が許容範囲ならば移行してもいい」ぐらいの意見でしかない。

「留学等、グローバル対応については、現時点ではさほど問題にはならない」というのが大学関係者の見解に多いようなので、他に強力な理由があったほうが、国民の合意は得やすいだろう。

私は、一番の理由を「今後も間違いなく発生する、強烈な感染症や災害に対応する教育体制構築の準備のため」にしたい。要は、オンライン学習が、全国すべての小・中・高校で可能になる「準備にかける時間を確保する」ため。

オンライン学習が完璧に整備できれば、次にまた同じようなことが起きても「じゃあ、こんどは4月入学に戻す!」みたいな議論は出なくなる。なので入学時期の移行はあと1回で完了できる。

オンライン学習整備は、いち早く、絶対に完璧にしないとマズい。なぜなら、次の冬以降は「インフルエンザによる学級閉鎖」どころの騒ぎでは済まなくなるからだ。「休校要請」がこんなに、簡単に連発されるなんて、誰が想像したことか。

「神奈川県は継続登校だが、東京都は休校要請」よりも細分化して「中央区は継続だが、渋谷区は休校」ということも、この冬以降はありうるだろう。年中休校や再開が繰り返されると、生徒やその親、先生方もたまらないだろう。なので、より細分化されたエリアにおける判断をしていくことになろう。

さて、完全オンライン学習体制実現に向けて、まず国がお金を出す(財政出動)。そして、民間の企業(通信事業者/家電メーカー/プラットフォーマー等)が、そのお金で全国整備の手伝いをする。企業にとっては、SDGsの一環として統合報告書に書ける「オイシイ活動」だ。

ちょっと脱線したが、IT/デジタルに関連する民間企業がコンソーシアムを形成して、日本の子供たちのサステナブルな教育体制づくりをサポートする。「子供たちの未来のために」という旗印のもと、日本有数の有能な頭脳と企業が集まれば、1年も経たずに、全国に整備できるだろう。

そして、その後も全国の各都道府県あるいは市区町村の教育委員会に、社員を常駐で出向させて、全国の先生や生徒がちがトラブルなく使えるよう、指導/対応/保守メンテナンスにあたる。こうすれば、先生たちも安心して授業に取り組める。余計なストレスもかからない。少なくとも巡航運転に入るまでは、手厚いサポートが必要だ。

いきなり「やれ」って言われたって、40人近くの生徒に、適切にオンライン授業なんて、できるほうが奇跡だ。と思う。国をあげ、民間企業を総動員してサポートすべきだ。

こういう対策には、ぜひガンガンお金をかけてほしい。特に公立学校の先生たちにこれ以上、酷なことを、いち国民としてさせたくない。

モンスターペアレント対応/小学校の英語・プログラミング/SNSを含むIT対応/軽い体罰やキツイ言葉の指導も一切禁止・・・あげればきりがないが、30年前の教師と今の教師は、その大変さの質がぜんぜん違う。

まずい。本題と大分かけはなれてきた。でも、もうちょっとだけ。

私は教育者でもないし、親戚にも教師はいない。ただ、昨今、先生たちの話を聞くたびに、気の毒でならない。いまの僕があるのも、公立学校の先生方のおかげだし、感謝もしてるので、ぜひ、教師の負担を減らしたい。

さて、9月入学。本当は、企業の「期」で考えると、下期開始にあたる「10月入学」がいいような気もするが、ややこしくなるから、その議論はやめておく。

大会の開催は、来年の5月〜7月のどこか

さて、さて、だいぶ脱線したが、本題に戻る。来年9月入学が確定すれば、今年の3年生たちは「来年の8月31日まで3年生」でいられる。と、いうことで、甲子園やインターハイを来春以降に開催できる可能性がみえる。

もちろん、来年はオリパラがあるので、遅くとも6月中には全てを終えておく必要があるだろう。6月が全国大会。それまでに予選。十分に可能なスケジュール感だろう。

オリパラは「完全な形」で7月にやることが想定事項なので(いまやあの人の言葉はまるで信じられないが)この全国大会は、応援団も観客もバッチリ入った「いままで通りの全国大会の舞台」になる、想定だ。

会場の確保など、大変なことは言うまでもないが、大人たち(プロスポーツ選手含む)は、将来の日本を担う子供たちのためなら、協力は惜しまないだろう。阪神タイガースの選手だって、かつては間違いなく高校球児だったわけで、甲子園球場がいつもと違う時期に使えなかったりしても、誰も文句は言わないはずだ。

だから、まず「来年から9月入学」を確定させてほしい。全てはそこからだ。

ブロック予選の代表校で争うのが現実的

夏の全国高校野球選手権(夏の甲子園)は、全国47都道府県の代表校で争われる(東京と北海道がエリアで2校づつなので、全49の代表校)。

ただし、正直「49校のトーナメント戦を甲子園でできるか」という点には、私も現時点で自信がない。「収束度合い」という、不確定要素に左右されるからだ。

なので、今の「都道府県をまたがない」を「エリアをまたがない」まで許容して、全国を8つのブロック(エリア)に分ける。北海道・東北/関東/北陸・信越/中部/北関西/南関西/中国・四国/九州の8エリア。

そのエリア代表が、甲子園やインターハイの「全国大会」で日本一を争う。大会は「ベスト8」からスタートして、トーナメントなら7試合で済む。これならグッと現実味を帯びてくるはず。移動も最小限かつ、一箇所への集合も最小限にできる。

野球を意識して、関西エリアを2つに分けた。これはあくまで高校野球の場合。大阪の強豪校数が多いゆえ、それを軸にして、中国地方と中部地方、北信越地方の一部までカバーして、対象学校数の不平等がないように、二つに分ける。

当然、関東も神奈川なんか大変な学校数だから、関東も、どこまで関東とするか考えどころ。そうなるともはや「関東」だ「関西」だじゃなく、番号か記号で北から「Aエリア代表」とか「Gエリア代表」とかにしたほうがいいかも知れない。

「今年のB代表は横浜で、F代表は大阪桐蔭かあ。順当だな。お、D代表は、久しぶりに享栄だ。そういえば藤王ってスラッガーがいたなあ。えっ、藤王って、矢場とんに転職して監督やってたんだ。ウィキペディアって、スゲーなあ・・w」

また脱線したが、これから先、毎年、残念ながらコロナ的な第2波、第3波・・そして第25波まで、ひっきりなしに訪れて、全国大会を大々的にできなくなったとしても「日本一を賭けた」大会は、インターハイも甲子園も、予選からこれまで同様できる。

「移動制限」が全世界の感染症対策の重要手段であることは、今後もそう変わらないだろう。

なので、全国大会の試合数を最小限にすべく、ベスト8から始められるよう「8つのブロック」に区分すること、が大事なのである。

これは、有事の今回限定の考え方でスタートして「コロナ的なことになったら採用する」という「予選オルタナティブ案」の一つとして、未来永劫ストックし、いつでも繰り出せるようにしておくのがよいだろう。

最後の手段は「eスポーツ」で

とかなんとか言いながら、結局大人の事情や都合も含めて「やっぱ全国大会はどうしても無理だ」となったら、サイアク「2020年度はeスポーツで日本一を決める」にするのはどうだろう?

そうしたら、運動音痴で甲子園から100億光年ぐらい距離が離れた、帰宅部のゲーマー男子と、坊主頭の野球部キャプテンが「同じチームメイトとして甲子園予選を戦う」なんてことも可能だ。もっといえば、甲子園には女子は出場できないようだが、性別も関係なくなる。運動神経やジェンダー「いろんなものフリー」の大会が開催できる。

「それじゃあ、運動で努力してきた子たちにとって意味がない」みたいなことを言う輩が出たら「別にいいじゃねえか」って返すつもりだが、それも何なので案を考えた。

「体力ポイント」と「技能ポイント」だ。ZOOMなどのオンライン会議システムをつないで、運動部の選手が「腕立て伏せの回数」や、サッカー選手でいえば「リフティングの回数」など、体力や技能を競って、その点数をゲームのポイントに反映させる。

お情け程度じゃなく、結構点差がつく重要な要素にする。で、ハアハア言いながら「あとは頼んだぜ!」と坊主頭のキャプテンが、運動音痴のゲーマー男子にバトンを渡す。今までありえなかった二人の関係で、勝利を目指す。もちろん二人だけじゃない。チーム全員が参加して競い合う。

「これならどうだ!」と、自慢できるほどの案ではないが、日本中みんなで考えれば、もっと素晴らしい案がいくらでも出てくるだろう。

エネルギーを爆発させるためにある。

高校スポーツは、チームが弱くても強くても、選手の能力が高くても低くても、「勝利に向かって一丸」になったり「仲間を力一杯応援」したりすることで、一人ひとりが、高校時代という青春期に「エネルギーを爆発させるためのツール」のようなものである。

よって、一生懸命スポーツをやってきた高校生たちに「エネルギーをぶちかませる場」を、大人がどうやって作ってあげるか、だと思う。

放出させる場もつくってあげられず「辛いだろうけど、前を向いて歩いていこう」は、あまりにも無責任な発言だと、私は思う。

成果を披露する場づくりのために「代替の大会をそれぞれの地域で」は、現実路線として考えているみたいだが「日本一を目指す」ことに意味があるのだ。どんな学校でも、初戦は「全国大会への第一歩」。だから「アツくなれる」のだ。

今年の高校三年生たちのために、そして、将来の多くの子供たちのために、まずは、来年の9月入学(10月でも)の実現を、確実にしてほしい。

「目指せ日本一」を、志ある大人たちの手で。今年の高校三年生たちに。あきらめるのは、まだ早すぎる。

もちろん、全国大会を目指していた中学三年生たちにも、同じことをしてあげられるだろう。それも、忘れちゃいけない。

あきらめることを教えるのは、辛いけど、わりと簡単だが、「あきらめないこと」を教えるほうが、辛くないけど数倍大変で数百倍大事なことだと思う。教えられる大人に、私はなりたい。今のところ、自信はないが。

地球の果てまで探したのか?

昔、うちの会社に有名なエライ人がいて(本当に偉いうえに態度も偉そう)、その人が「材料を地球の果てまで探したのか?」と、プロジェクトの度に、部下たちを叱咤し続けるという伝説があり、今でも語り継がれている。その人のことを決して肯定する気はおきないが、そういうことが今の日本で問われている場面が多い気が、ちょっとはする。

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