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ウェッブ望遠鏡、太陽系外惑星に二酸化炭素を初めて発見。

Nature Briefingは2022年08月29日にウェッブ望遠鏡(Webb telescope)が、太陽系外惑星で二酸化炭素を初めて発見した。
これは宇宙生命体の発見に向けて何を意味するのか?

この報告は、初年度に76の世界を探査する予定の画期的な天文台が、今後どのような展開を見せるかを予告していると報告した。

https://time-az.com/main/detail/77612

この発見はデータプロットで示され、ウェッブ望遠鏡が以前に撮影した画像で、宇宙的なダンスでロックされた銀河や恒星の苗床で放射する雲を示したときのような輝きはない。

しかし、パサデナにあるカリフォルニア工科大学のNASA太陽系外惑星科学研究所の天文学者ジェシー・クリスチャンセン(Jessie Christiansen, an astronomer at the NASA Exoplanet Science Institute at the California Institute of Technology in Pasadena)は、このデータを「ゴージャス(gorgeous)」だと表現している。

このスペクトルのプロットは、外惑星WASP-39bの大気に関する詳細な情報を明らかにする。

そこで登場したのが、ウェブ望遠鏡だ。2022年07月10日の8時間あまりの間、赤外線望遠鏡はこの惑星が恒星の表面を横切って移動するのを観測した。このとき、星の光が惑星の大気を透過し、さまざまな分子が特定の波長の赤外線を吸収していることがわかった。二酸化炭素は、そのスペクトルの中にちらりと見えるのではないかと、天文学者たちは考えた。UCSC(niversity of California, Santa Cruz/カリフォルニア大学サンタクルーズ校)の天文学者であり、ウェッブの太陽系外惑星早期発見科学チーム(leads Webb’s Transiting Exoplanet Early Release Science team)を率いる研究の共著者ナタリー・バタラ(Natalie Batalha)は、「そしてそれはコンピュータの画面から飛び出してきたのです」と、言った。

ナタリー・バタラだけではない。チームの一員ではないクリスチャンセン(Christiansen)は、「このデータを見たとき、息をのみました。私は『ああ、これだ』と思いました。」「これまでにもヒントはあったのですが、本当に『顔面パンチ』のような検出をしたのは初めてです。」と彼女は言う。

この惑星は木星に似た直径を持ちながら、水星が太陽の周りを回るよりもはるかに近く星を回っており、非常に高温になっていることから、科学者はホットジュピター(hot Jupiter/熱い水星)と呼んでいる。地球から200パーセク(parsecs)以上の距離にあるこの惑星は、当初地上からの観測で発見され2、その後 NASA のスピッツァー宇宙望遠鏡(NASA’s Spitzer Space Telescope)が2003 年から2020年にかけて運用し、検出された。後者のデータは、WASP-39bの大気に二酸化炭素が含まれている可能性を示唆していたが3、結論は出なかった。

このたび、宇宙を魅了する画像ですでに有名なジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope)が、またもやその偉業を成し遂げた。この望遠鏡は、太陽系外の惑星の大気中に二酸化炭素が存在するという明確な証拠を初めて捉えた。

この発見は、太陽系外惑星がどのように形成されたかについて興味深いヒントを与えるだけでなく、ウェッブ望遠鏡がより多くの異星を研究する上で、今後起こるであろうことの前触れである。

この結果は、プレプリントサーバー「arXiv1」に投稿された原稿で報告され、査読を経て、近日中に「ネイチャー」に掲載される予定である。
ネイチャー誌のニュースチームは、ジャーナルチームから独立している。

この結果は、ウェッブが太陽系外惑星の研究にとって革命的なものになるという確信を強めている。最初の1年間だけでも76個の太陽系外惑星の観測を委託され、最終的には生涯で数百個になる可能性がある。
ガス惑星や地球に似た岩石質の小天体など、さまざまな惑星の大気を見つめることになる。
あの信号を見たとき、私は真っ先に『すごい、これは使える』と思いました」とバタラは言う。

しかし、二酸化炭素を発見したことは、それ自体も印象的である。
UCSCのOther Worlds Laboratoryのディレクターで、この論文の共著者であるジョナサン・フォートニー(Jonathan Fortney)は、「科学の観点からは、これは非常にエキサイティングなことです。」と言う。木星に似た惑星は、その星と同じ円盤状の物質から形成され、その星とほぼ同じ化学組成を持つと考えるのが妥当であろう。しかし、我々の太陽系ではそうではなく、WASP-39bもそうである。この太陽系外惑星の強い二酸化炭素のシグナルは、一般的に星を構成する水素やヘリウムよりも重い元素で濃縮されていることを示唆している。問題は、それがなぜなのか、ということである。

バタラは、「ここからが面白いところです」「WASP-39bが若い頃、彗星や小惑星の衝突を受け、炭素や酸素などの重い元素が運ばれてきた可能性があるのです。」と言う。興味深いことに、この太陽系外惑星は、土星と同じ量の重元素を持っているようだ。土星もまた、激しい青春時代を過ごしたと天文学者は考えている。

あるいは、WASP-39b は惑星系の冷たい外縁部の物質から形成され、その後内側に移動したという答えもあるかもしれない。この星が、太陽系外惑星の大気中の水素を吹き飛ばし、重い元素をより濃縮させ、二酸化炭素をより多く含むようにした可能性がある。フォートニー、バタラ、そして彼らの同僚たちは、惑星のスペクトルをかなり詳細に分析し、これらの可能性を探る4つの論文を執筆中である。

「考古学のようなものです。」「そして、分子そのものをその物語のトレーサーとして使っているのです。」とバタラは言う。

惑星の大気中に二酸化炭素を発見することは、地球外の生命を発見するための足がかりになる。天文学者は、WASP-39b が生命を宿すことができるとは思っていない。また、ウェッブ望遠鏡が他の惑星に生命の存在を示す決定的な証拠を見つけることも期待していない。しかし、ウェッブ望遠鏡で二酸化炭素を検出することで、将来の発見への基礎固めをすることができる。

天文学者は、惑星の大気中にある二酸化炭素とメタンの混合物が、生命の指標となりうると考えている。WASP-39bの信号は、「良いバイオシグネチャの半分くらい(halfway to a good biosignature)」だとクリスチャンセンは言う。バタラのチームは、この惑星の大気には水、一酸化炭素、硫化水素が含まれているが、メタンはほとんど含まれていないことを予測するモデルを構築した。

最終的に生命を発見するには、おそらくウェッブよりもさらに高度な観測装置が必要になるだろう。しかし、バタラは、「これは、将来その技術に対応するために通過しなければならない、本当に重要な段階なのです」と言う。

私は、ウェッブ望遠鏡の案が出されてから、現在まで注目してきたが、何年かかったかと思うと、その将来は何年後?

宇宙は、何光年と言う単位を使うのを知っているが、私はその1光年さえ生きられない。

doi: https://doi.org/10.1038/d41586-022-02350-2

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