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AWAで、500万再生超えてた曲だけでplaylist作ってみて、ふと感じたロングヒットの理由

長く聴かれるヒット曲と、そうでないヒット曲の違いは?


2022年の年末に、普段あまり選曲しないトップヒットの曲ばかりを集め、以下のようなplaylistを作ってみました。作り上げた後にふと思ったのは、ロングヒットしてる曲と、そうでないヒット曲はいったい何が違うのだろうか?という疑問でした。


AWAを問わず多数ある音楽サブスクでは、利用者の時間という限られたパイを、広く浅く、それぞれのartistが再生時間という形で奪い合っています。今回、AWAで500万再生を超える曲を持つartistを探してみて、思っていた以上に再生数が飛び抜けている曲が少ない事に気がつきました。

AWAは、音楽サブスクで7番目のポジション

さらに言えば、日本人ばかり、かつ契約者もSpotifyやApple Music に比べると見劣るAWAの再生数だと、数ヶ月程度のスマッシュヒットでは、かなり耳に馴染んだ人気曲でも、100万再生を超えない事も珍しくありません。

ICT総研 : 2022年 定額制音楽配信サービス利用動向に関する調査



優里のドライフラワーの特異性

そんな中、ここ3年くらいですごく気になるというか面白い存在が、AWAで500万の倍の1000万再生を大きく超えている優里のドライフラワーです。勿論、他の音楽サブスクでも同様にAWAの比ではないくらい再生数を伸ばしており、ここ数年のロングヒット曲の中でも飛び抜けています。



AWAで見ると、優里(ドライフラワー)の他に1000万再生してる曲を持つartistは、髭男(Pretender、他)、あいみょん(マリーゴールド)、YOASOBI(夜に駆ける、他)、あとは韓流系のビックアイドルの人気曲くらいで、驚くほど少ないです。

下は個人の方が更新している音楽ストリーミングのデータまとめブログです。2022年12月28日にストリーミングの累計再生数を表にしており、それを記事としてまとめています。

自分が上のplaylistを作ったのも同時期で、AWAの再生規模は累計に比べるとかなり小さく、ランキングも微妙に上下してますが、大体同じような曲が候補に並んでいました。

興味深く感じたのは、下の表で4億を切るくらいから、AWAでは、500万を超える曲と越えない曲にばらつきが出ていて、曲の違いを見ると、サービスの個性が少し見えてきます。


ちなみに、最近1年間を通してロングヒットしていた曲の中で、すごく人気だったTani yuukiのW/X/Y をplaylistの選曲候補に考えていたら、2022年の年末時点ではまだ再生数が500万に足りていない事を知り、驚きました。つまり、どんなにランキング上位で再生され続けていても、1年を大きく超える期間ヒットを続けないと、500万再生はAWAの規模では行かないようです。


ドライフラワーがロングヒットしている理由とは?

以下の動画は、優里が2022年の悔しかった事として、Tani yuukiにビルボードのランキングで負けた事について語っています。

こういう前のめりに、良い曲を作りたい、皆に聴かれたい、とか考えるアグレッシブな思考や行動が、ヒット曲を連発する理由の根底に有るのでしょうか。


Billboard Japan Hot100 Year End



さらには、下のようなnoteの記事をいくつか読んでいて感じたのですが…
2020〜2021年の音楽業界の大きな変化に、優里の行動が上手くハマり、あと運や実力も合わさって、それがロングヒットの下地になったのではないでしょうか。


シンガーソングライーター優里の『ドライフラワー』が今週は3位を記録。この1ヶ月で圏外→18位→8位→3位と着実に記録を伸ばしている。そしてLiSA、BTSに次ぐ順位を、デビューから間もない若手が出せる時代だということだ。

『ドライフラワー』は、オフィシャルMV公開前日の10月30日にTHE FIRST TAKEに登場した。THE FIRST TAKEは、アーティストがスタジオで一発録りを披露する人気のYouTubeチャンネルで、DISH//『猫』の大ヒットのきっかけを作ったことでも知られている。ここに早々に登場したというのは非常に大きい。

数あるストリーミングサービスの中でも、LINE MUSICには力を入れて施策を組んでおり、実際LINE MUSIC内のチャートでは3つのチャートで首位を獲得している。これは彼の音楽を聴くリスナーの傾向をしっかりと把握できているからこその施策であり、その効果を発揮したからこそ結果につながっているのだ。
ストリーミングチャート分析(優里)


その気持を形にするツール(SNS・TikTok・YouTube・note)が手にあり
(中略)
それが実数として「結果」にまで大きく繋がったのが2020年です。  
これまでの流れと明らかに違うのは数字として「結果」で表れたのです。アーティストの音楽を広げる、動画・音楽ストリーミングの回数を増やす方法がみんなの手に委ねられて、完全に民主化したのです。
2020年の音楽ストリーミングで一番大きな出来事とは?
アーティストを応援したり、拡散したり、その行為はより自発的な能動的な行動を伴ったものに移ってきています。
今年の流行語である「TikTok売れ」も根幹はココですよね。
アーティストを応援する側もその意識のアップデートが必要ですし、アーティスト側も「自発的に能動的に行動してもらいやすい状況を作れているか」という意識のアップデートが必要です。また当然ですがそのアーティストを支えるマネージメント、レコードレーベルの意識改革も同じくです。
2021年の音楽ストリーミングで起きていたこととは?




ただ、そうは思いつつも、
他にもドライフラワーのロングヒットを説明できる、なにか根本的な理由があるのではないか?とか、この数年モヤモヤとしていました。


ロングヒットとは、誰に愛される曲なのか…


音楽サブスクで数年続けて同じ曲がランキングの上位の方で再生され続けるというのは、曲の良し悪しやSNSの影響を超えた部分で、きっと何かあると感じていました。

優里の楽曲だけ見ても、なぜドライフラワーはあんなにも長い年数、山のような大量の新曲や既存曲の中で埋もれずに再生数が落ちないのか。そのポテンシャルは一体どこから来ているのだろうか、とても不思議でした。

それが最近、下のnoteの記事を読んだ事で、ようやく分かった気がしました。


つまり、長く聴かれる曲とは『聴きたくなる』以上に『歌いたくなる』ということではないでしょうか。

人気がある曲だから歌いたくなるのか、歌いたくなるような曲だから人気が出たのか、たぶんその両方がグルグルと回っているのではないでしょうか。さらに、そのグルグルは今もドライフラワーでは続いていて、このグルグルこそが、私の中でモヤモヤとしていたロングヒットの根本的な理由なのかもしれないと思いました。🤩


音楽は『聴くため』だけのものではなく、
歌として『歌うため』のものでもある…

なかなかに興味深い真理だと思います。
単純だけど奥深い、音楽がロングヒットする理由として、すごくフに落ちました。



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