Twitterロゴの変遷

ダサいXで話題になるTwitterのロゴ

Twitterを買収し自身のX社傘下に置いたイーロン・マスクですが、ヴィジュアル系バンドのXのごとく創造的破壊ともいうべき暴挙に出てTwitterのサービス名とロゴをXに変更してから数日。

Twitterがアプリとして提供されているApp  Storeでは「Xはダサい」や「中二病臭い」といった批判が渦巻いているようであり、かねてよりX JAPANの動向を追ってきた筆者としてはXというロゴに対する素直な世評を見せつけられたようで複雑な気持ちにもなるわけですが、その話は今回は横に置いておきましょう。

筆者自身はTwitterを全く利用せず、基本的にSNSの文章には一ミリも関心がないのですが、今回の件は考察するためのいい機会にはなったので、筆者なりにTwitterのロゴの歴史を簡潔にまとめてみました。

といっても現在世間で出回っている話とはおおむね無関係な代物ではあるので、軽く聞き流してもらってもかまいません。

実はTwitterのロゴは青い鳥ではなかった

今でこそTwitterのロゴといえば青い鳥ということで衆目が一致しているといって過言ではないわけですが、実はそのようなかたちになったのは2012年以降のことであり、それ以前においては鳥はかならずしもシンボル的な扱いをうけていたわけではありませんでした。

最初のロゴはBiz StoneというTwitterの共同創業者によって考案されたtwttrという緑色の文字であり、これは当初のサービス名候補であったtwttrを図案化したものでした。
これが2006年のことです。

しかし同年には早くも青色の文字でtwitterとしたものが公式のロゴとして用いられるようになり、これは2010年まで利用されることになります。

さて、実は2006年の時点で青い鳥もロゴとして考案されていたわけですが、これは当時においてはおそらくマスコットキャラクター的な位置付けにとどまるものであったと思われ、社を表すロゴとして用いられていたわけではありません。

オリジナルのものを考案したのは日本在住の過去もある英国人デザイナーのSimon Oxleyであり、もしかしたら後の日本におけるTwitter人気はこうしたことも関係していたのかもしれない、などと邪推する人もいるかもしれませんが、実際のところはおよそ無関係であると言い切れそうなほどには現在の青い鳥とは異なるデザインになっており、くちばしは閉じ、またはばたきもせずに枝にとどまるように2本の足も描かれています。

その後早い段階で青い鳥のデザインは変更され、Biz Stoneらが関わるかたちで漫画的なデザインに置き換えられていくことになりました。

これは内々でボストン・セルティックスの有名選手ラリー・バードにちなんでLarry the Birdなどと呼ばれていたようですが、今日のシンプルな青い鳥のイメージからするとやや後退したようなデザインに感じられるのはおそらくは事実であり、そうしたこともあってか今日話題となることは少ないようです。
また実際に社を象徴するロゴとして扱われていたわけでもないので、妥当なラインであるといえばそのとおりなのかもしれません。

青い鳥がTwitterを象徴するようになる2010年

2010年といえばドナルド・トランプが当時大統領であったバラク・オバマの国籍などに疑問を投げかけ始めた時期であり、きな臭い風潮が跋扈し始めるタイミングであったわけですが、皮肉にも青い鳥がTwitterを象徴するロゴとして用いられ始めたのもこのタイミングでした。

といってもシルエット版のLarry the Bird単独でロゴにされたわけではなく、2006年から社のロゴとして用いられてきたtwitterにLarry the Birdを合わせるというかたちの当時においてはある種変化球的ともいえた内容だったわけですが、この段階で青い鳥はほぼほぼ現在のデザインに落ち着いたといっても過言ではなく、ここから一般的に知られるTwitterの歴史は始まったといっても過言ではないでしょう。

ただし、このLarry the Birdと現在よく知られる青い鳥はデザイン的に完全に同一というわけではなく、この微妙な差というものが信者にとっては重大な意味をもつものとして扱われているようです。

2012年に完成した青い鳥

現在よく知られる青い鳥がTwitterのロゴとして単独で用いられるようになったのが2012年のことです。

そして現在青い鳥そのものの考案者であるかのごとくしばしば誤解されて紹介されるのがMartin Grasserというデザイナーでした。

彼はたしかに現在の青い鳥のデザイナーではあるのですが、Larry the Birdなどをみてもらえればわかるように基本的な構図はそれ以前の段階でほとんど完成しており、素人目には違いはわからないかもしれません。

しかし、あえて特筆すべき違いを挙げるとするならば、複数の円を重ねることでこの青い鳥が再構築されたということであり、話によるとデザイン関係の世界でよく出てくる黄金比も用いられたとか。

この手の話は飛び付く層が必ず一定数はいるので、この青い鳥の信者にとっては一定の真実味のある話として受容されることになるかもしれません。
もちろんその科学的根拠が現在において証明されたわけではありませんが。

その青い鳥も先日Twitterを買収したイーロン・マスクによってXに変更されたわけですが、その関係で青い鳥のデザイナーとしてMartin Grasserが紹介される際には、しばしば彼が青い鳥そのものを考案したかのごとく誤解を与えるような表現も散見されたようであり、このように事実というものはいともたやすく思い込みによって書き換えられるものであるということが容易に証明されたともいえるでしょう。

関連するこばなし

・青い鳥は青い鳥ではない?

App Storeは現在Xという名称を批判・揶揄するコメントであふれかえっているようですが、幸運の青い鳥にかけてか「わたしの青い鳥を返してほしい」といったコメントが散見されるようです。

ただ、その中に「実は青い鳥ではない」という斜に構えたような書き込みもみられたようであり、実際にネット上ではそうした指摘も記事にされているようです。

この点に関して筆者のほうで調査してみると、以下のようなことが判明しました。

まずTwitterのロゴが青い鳥であるということは結論としていえることのようです。

では青い鳥ではない鳥とは何かというと、Twitterのアプリストア版が青い鳥ではなく白い鳥のようであり、逆に背景が青になっているようです。

現状においてはTwitterをわざわざブラウザーで閲覧する人は少数派であると思われるので、実際にはアプリ版の白い鳥のほうが日常的に目にする機会は多かったのかもしれません。

これはよくあるブラウザー版とアプリ版の差別化のために用いられる色違いのようですが、多くの人はそんなことを気にしてアプリを使っていないのと、幸運の青い鳥の思い込みがあるためか白い鳥は目にはいらなかったようです。
あるいは特筆性に値しない差異であるために無意識のうちに合理的に無視されたか。

ちなみに、ユーザー数が多いゆえに更新も早いApp Store版のTwitterは既にXに名称もロゴも変更されているようですが、ユーザー数が少ないがゆえにどのアプリも更新が一足遅れているとされるAmazon版のTwitterは8月6日現在でもロゴも名称もTwitterのままのようであり、白い鳥も健在のようです。

もともとTwitterはサービス名の候補としてTwitchというものも挙げられていたようですが、これは現在同名の別サービスが存在しており、2014年にAmazonに買収されています。

白い鳥は少しでもTwitterの面影を残そうと似た名称のTwitchを所有するAmazonに飛び去ったのかもしれません。

・律儀にもバージョン10になる

App StoreのXのページを確認してみると、バージョン 10.0と書かれていました。

これはXがローマ数字で10を意味するからであると思われ、話題になっているこのタイミングでバージョン10に上げてきたようです。

ちなみに、その前のバージョンが9.68となっており、それ以前のバージョンが小数点以下の単位で刻まれていたことから、一足飛びでこのタイミングで10にされたということがわかります。

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