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燃え尽き症候群!?ツアーができないなら曲を作りたくない・・・ アルバムリリースまでの経緯を明かす! Post Malone - Twelve Carat Toothache (2022)

2013年にキャリアをスタートさせたPost Malone(ポストマローン)は、シングル「White Iverson」(2015)で注目を集め、翌年にはデビューアルバム「Stoney」(2016)をリリース。
収録曲「Congratulations」は、RIAAからダイヤモンド(11×プラチナ)認定され、彼にとって最もヒットしたナンバーとなりました。

2018年にはセカンドアルバム「Beerbongs & Bentleys」をリリースし、9曲がシングルチャートTOP20に入り、シングル「Rockstar」「Psycho」が全米チャートで1位を獲得。
このアルバムも全米チャートで1位を獲得し、グラミー賞の「最優秀アルバム賞」にノミネートされました。

続けて翌年に発表したアルバム「Hollywood's Bleeding」(2019)は、2作連続で全米チャート1位を獲得し、再びグラミー賞「最優秀アルバム賞」にノミネート。
映画「スパイダーマン:イントゥ・ザ・スパイダーバース」のサントラにも収録されたシングル「Sunflower」は、世界12カ国のチャートでトップ10入り、全米チャートでは33週に渡ってトップ10入りを果たし、この年を代表する1曲になりました。

そんな彼が、「Hollywood's Bleeding」の続編となる4thアルバム「Twelve Carat Toothache」(2022)をドロップ。

約3年振りのアルバムリリースとなる新作には、The WeekndDoja CatGunnaRoddy RicchThe Kid LAROIなどがゲスト参加した全14曲を収録。

ここでは、このアルバムについて解説します。

レーベル  : Mercury Records, Republic Records
リリース日 : 2022年6月3日
名前    : Post Malone
本名    :    Post Malone / Austin Richard Post
年齢    : 26歳


出身地   :   カリフォルニア州ロサンゼルス

やる気がないからといって、あきらめたわけではないんだ・・・リリースまでの経緯を明かす

アーティストとして誰もが知る存在となった2020年、ポストマローンは、WHOのCOVID-19連帯対応基金への寄付を募るためのライブストリームパフォーマンスに参加。
ロックバンドBlink-182のドラマーであり、ヒップホップやポップスなど様々なジャンルとコラボレーションしているTravis Barker(トラヴィス・バーカー)と共に「Heart Shaped Box」「Lithium」などNirvana(ニルヴァーナ)のヒット曲をカバーするパフォーマンスを披露しました。

75分に及ぶパフォーマンスの中で、現在制作中のニューアルバムについてファンに報告しています。

この新しいアルバムの制作に取り組んでいるんだ。
出来るだけ早くリリースしたいね。
俺は俺たちが作っている音楽を本当に誇りに思っている。すごく楽しいし、みんなに何か新しいものを出せることにすごく興奮しているんだ。

当時、パンデミックにより多くの人が自粛生活を送る中「高揚感のあるアルバムを作りたい」と明かしています。

正直に言うと、アメリカのみんなは一日中家に座っていて少しおかしくなっていると思うんだ。
だから、俺は少しクレイジーになって、自分の快適な範囲からもっと一歩外に出て、自分にとって俺にとって最高の音楽を作りたいと思ったんだ。
どのアルバムのサイクルでもそう言うかもしれないけど、俺にとってはとても特別なことなんだ。
孤独や悩みを抱えている人は1人じゃないし、1日の終わりには地球上のすべての人に愛を示し、物事を解決していく必要があるということを示すような、高揚感のあるアルバムを作りたいんだ。
だから俺らはかなり一生懸命やっているし、信じられないようなものを作っていると思うんだ。

同時に、パンデミックによってアーティストがツアーやライブパフォーマンスを行うことができない状況が続きました。
ポストマローンももちろんその1人ですが、彼は特にツアーに情熱を注いでいることを明かしています。

俺はツアーが大好きで、ファンに会って一緒に歌を歌うのが大好きなんだ。
背中が痛い、首が痛い、足が痛い。
考えなければならないことがたくさんあるし、集中しなければならないこともたくさんある。
カメレオンのような目をして、あらゆる方向に目を配り、常に何が起こっているのかを把握しなければならないんだ。
多くのものを与え、それを愛で受け止める、ギブアンドテイクの関係だね。
それは誰もが望んでいることなんだ。

しかし、ニューアルバムもリリースしても自粛生活で思うようなライブができず、音楽制作への意欲が湧かないためリリースが遅れたと、彼のマネージャーは次のように明かしています。

長い間ツアーをすることができなかったので、ポストが新しいアルバムの創作活動をするのが遅くなったんだ。
『ツアーができないなら音楽を出したくないし、ツアーに出るまでに古くなってしまうのも嫌だ』と言っていたんだ。

また、3年前にロサンゼルスからユタ州にある約7エーカーの山の中腹へ引っ越しましたが、ここではツアー以外の時間は午前10時まで起きてTVゲームをしているという堕落した生活を送っていたようです。

ここでは、気が散ることがほとんどないんだ。
でも同時にいろいろなことを考えすぎて、大変なことになったよ。
音楽には多くのことがかかっている。曲を作り続けられるかどうかにかかっているんだ。
『もう全部話しちゃったよ』という感じで、なかなかできない。
アイデアが出尽くしたようなものだし、怖いよね。
昔はギターを弾くのが好きだったんだけど、今はもうほとんど弾いてない。
前はビートを作るのが好きだったんだけどね。

それを知ったマネージャーが自宅スタジオに何度か訪れ、一緒に演奏しているうちに、自分のやり方を取り戻したようで、制作のスイッチが入ったことを明かしています。

スイッチが入り『Stoney』(デビューアルバム)を作っているような気分になった。
それを取り戻すのが、いちばん大変なんだ。
波があり、流れがある。
それを理解することだ。
今、やる気がないからといって、あきらめたわけではないんだ。

復活を遂げたニューアルバムでは、敢えて収録曲数を減らした?!

最初のアルバムアナウンスから2年の時を経てリリースされた今作は、全14曲収録、約43分に収められており、曲数の多い近年のラップアルバムに比べ、比較的コンパクトな作品に仕上がっています。

これは彼の意図が反映されているようで、収録時間について次のように説明しています。

20曲から25曲を押し込もうとしても、うまくいかないんだ。
レーベルと話すと『曲数が少なければ、ストリーミングが少なくなるんだ』と言われるけど、全体としては、自分のアートや直感的なヴァイブを何に対しても妥協したくないんだ。
俺は特に音楽的に多くの妥協をしてきたけど、今はもうしたくないという気持ちになっている。
No.1は必要ない。
これはもう俺にとって重要じゃないけど、ある時には重要だったんだ。

レーベルからストリーミング数が少なくなることを危惧して、曲数を増やすように指摘されたようですが、妥協した曲を収録したくないと主張すると同時に、今はチャートの数字に囚われていないようです。

また、2021年に発表したThe Weekndとのコラボシングル「One Right Now」も今回のアルバムに収録されています。

この曲とポストマローンのキャリアについての記事はこちら。

Post Malone & The Weeknd - One Right Now (2021)

2022年5月には、Roddy Ricchとアルバム先行シングル「Cooped Up」をリリース。ポストマローンの2018年のヒットシングル「Wow」のリミックス以来、2度目のコラボレーションとなりましたが、ポストマローンは彼について次のように明かしています。

ロディはすごい男で、天性のパフォーマーであり、ヴォーカリストであり、リリシストであり、彼はただひたすらそれを追求し、とてもクールなんだ。
最初のショーでは、彼は「よく分からない」と言った感じだったね。
でも、サウンドチェックのためにステージに上がってきたとき、俺は「これはいけるぞ」と思ったんだ。
ちょっとだけ動いて「みんな調子どう!」ってね。
彼の成長ぶりを見ていると、とても美しくそして才能に溢れているんだ。
とても興奮しているよ。

Post Malone with Roddy Ricch - Cooped Up (2022)

おわりに

今作のリリースからわずか数日後に、2曲追加したデラックスエディションをリリースしたポストマローン
このサプライズは以前にも行っており、前述のデビューアルバム「Stoney」のリリースと同日にデラックスエディションをリリースし、後にこの動きからアルバムは大ヒットとなりました。

最後にポストマローンは「子供の頃に戻りたい」と、今後の目標について明かし、いつまでも自由で楽しい生活を手に入れたいようです。

牧場にソーラーパネル、あるいは水力発電で生活することだよ。
何年も何年も音楽を作ってきたし、この先、ただリラックスしてシンプルなことを楽しみたいんだ。
子供のころに戻りたい。
何の責任もなく、子供も家族も、みんな整っていて心配する必要がないから、ただゲームをしたり、高い草原で遊んだりできるんだ。

一時はアルバムの制作する意欲を失い、路頭に迷っていたポストマローンは、社会が再び活気を取り戻すと同時に息を吹き返し、見事にアルバムリリースへと漕ぎ着けました。

そのような心理的背景を踏まえて、今回のアルバムを聴いてみるのも面白いかもしれません。


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