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エアロフォンと出会って

わたしの最近の演奏活動には欠かせない相棒となりつつあるエアロフォン
「どんな楽器?」「何ができるの?」と質問される機会も多いので、わたしなりに紹介しつつ、なぜエアロフォンを始めたのか、エアロフォンで何をしていきたいのかをつらつらと。

エアロフォンとは

Rolandローランドが販売しているデジタル管楽器で、マウスピースに息を吹き込み、ボタン式のキィを操作して演奏します。
コンセントにつながなくても電池で動くので便利。音は内蔵スピーカーからも出るし外部出力もできます。もちろんヘッドホンもOK。
わたしが使っているモデル(AE-10)では128の音色があって、サックスをはじめとした木管楽器・金管楽器のほか弦楽器や民族楽器、電子音まで幅広くカバーされています。
初代のモデルが発表されたのが5年前くらい、今はエントリーモデルからフラッグシップモデルまで4種類がシリーズとして展開中のようです。

デジタル管楽器? ウインドシンセサイザー?

「エアロフォンって何?」と聞かれると、つい「EWIイーウィみたいなウインドシンセの新しいやつですー」と説明してしまいがちなんですが、エアロフォンは公式に「デジタル管楽器」を名乗っています。

調べてみた範囲では「デジタル管楽器」も「ウインドシンセサイザー」も、吹き込んだ息をセンサーで感知してアレコレして音を出力する電子楽器、という意味では差がなくて、総称としては「ウインドシンセサイザー」の方がよく使われている印象です。

それなのに、あえて「デジタル管楽器」を名乗るのはなぜか。
私見ですが、「ウインドシンセサイザー」と呼ばれてきた、息でコントロールするシンセサイザーに対し、更に管楽器らしさ・生音らしさを追求して付加したのが、音を電子的に出力できる管楽器としての「デジタル管楽器」という呼称なのかな、と考えたらしっくりきました。

しかし、エアロフォンは「ウインドシンセサイザー」ではないのかというとそんなことはなくて、使い方次第でどっちにも寄せられる、管楽器でありシンセサイザーでもあるのが特徴であり魅力なのかなぁと感じています。

ちなみに有名どころだと、AKAIのEWIシリーズはウインドシンセサイザー、YAMAHAのYDS-150はデジタル管楽器という認識です。(あくまで個人の見解です)

なぜエアロフォンを選んだか=なぜEWIを選ばなかったか

もともと、F1のテーマとして有名な『TRUTH』そして吹奏楽版『宝島』や『OMENS OF LOVE』を通してT-SQUAREそしてウインドシンセサイザー・EWIのことは知っていました。
でも、ウインドシンセサイザーという楽器に全く馴染みがなく、自分で演奏したいなんて発想に至らなくて。
楽器屋さんでソプラノサックスを試奏した流れでEWIを触らせてもらったこともあるのですが、持っていても何を吹いたらいいのか分からない!という困った気持ちになった記憶があります。タッチ式のキィにも戸惑いましたし。
なので自分がこういう楽器を演奏する機会はないと思っていました。

エアロフォンのプロモーション動画を見るまでは。

たまたま目にしたその動画、エアロフォンで奏でられるミュートトランペットの音がそれはもうめちゃくちゃ艶っぽくて…!

多種多様な管楽器の美しい音色を自在に操れるなんて、まさに「デジタル管楽器」の名に違わない、最高の楽器だと思いました。

マウスピースもサックスに似ているし、キィもボタン式でサックスみたいな配置、これでとっつきにくいわけがない!きっとすぐに吹けるようになるはず!
そう確信したわたしは、実物を見に行くことも試奏も一切せず、ネット通販で注文したのでした。勢いって恐ろしい。

わたしにとっての救世主

エアロフォンを使ってやりたいことのイメージは、買った時点で定まっていました。「井手隊長バンド」での活動に間違いなく役立つと思ったのです。

「井手隊長バンド」はサザンオールスターズのトリビュートバンドで、ラーメンミュージシャン・井手隊長を筆頭にカバーライブや各種イベントでの演奏を行ってきました。

▲新横浜ラーメン博物館での演奏(2018年4月)
原曲で使われているビッグバンド風の管楽器や流れるような弦楽器のフレーズを、サックス一本でいいとこ取りの巻

このバンド、フルメンバーだとボーカル・ギター・ベース・ドラム・キーボード・コーラス・サックス(わたし)の7人体制で、バンドとしては人数が多めなのですがサザンをちゃんとやるには全然足りないんです。
原曲にはブラスセクションもストリングスもモリモリ入っていることが多いので…

初ライブはアルトサックスで出ました。
でもすぐにこれじゃ物足りないと気付き、徐々に楽器が増え、一番多いときではアルトサックスに加えてソプラノサックスにフルートにエレキヴァイオリンまで持ち替える暴挙に出て、荷物が多くて死ぬかと思いました。

この「荷物の多さ」がネックで、ライブハウスでのワンマンライブならまだしも、屋外イベントで短時間の演奏ではそこまで持ち替えていられないというか、楽器が増えればセッティングも増えるのでPAさんにも負担だし、そもそもミキサーのチャンネルがそんなになかったり。

なので基本的にはサックスだけ、アルトとソプラノを曲によって使い分けつつ、セットリストによっては妥協してどちらかに寄せたり…という感じでやることが多かったです。

いくら持ち替えてもわたしは一人なので結局足りないんですけど、もっと持ち替えられたら楽しいのにな〜〜ってずっと思ってました。

そこに降ってきたエアロフォンという救世主。

サックスもフルートもヴァイオリンもこれ一本!他の音色も使い放題!荷物少ない!しかも軽い!シールド挿すだけだからセッティングも楽々!

ついでに曲中での音色変更だって自由自在!もうアルトサックス首に下げたままソプラノサックス吹かなくてもいい!(結構重いんです)

と、夢ばかり膨らむものの、最近の井手隊長バンドはライブ自体なかなかなくて、まだメンバーにすらお披露目できていません。そのうち機会があるといいなぁ。

ちなみに、わたしがエアロフォンを買った直後にYAMAHAからYDS-150というソプラノサックスのキメラみたいな楽器が発売されました。
こっちもかっこよかったかなーと思ったのですが、どうやら完全に「デジタルサックス」のようなので、サックス以外の音が欲しかったわたしにはやっぱりエアロフォンが大正解でした。

新しい相棒との付き合い方

そんなわけで、エアロフォンでサザンを演ろうという当初の目論見からは遠ざかってしまったのですが、ひょんなことから別のバンドでライブデビューを果たし、レコーディングもしてCD音源ができあがったりなんかして、予想外の展開になっています。(この話は別でまたゆっくり書きたいと思っています)

そんな活動を通して改めて、わたしはエアロフォンで何がしたいんだろう、エアロフォンで何ができるんだろう、と考えるようになりました。

管楽器でありシンセサイザーでもあるエアロフォン。
管楽器については、経験からイメージしやすい部分が多いので、この曲ならこういうフレーズをこんな音でこう吹きたいという前提に立って、エアロフォンの奏法に落とし込んでいけばいいのかな、と思います。

では、シンセサイザーは。

電子音っぽい音色を選んで鳴らせばそれなりに雰囲気は出るけど、でもそれを繰り返していてもウインドシンセサイザーの本質には近付けない気がするし、ウインドシンセサイザーらしいアレンジもできるようになれないと思う。

そもそも、シンセサイザーって、何だ?

…というのが最近向き合っている壁です。まだまだ知らないことがたくさんあって、まだまだ長く楽しめそうです、エアロフォン。

とりあえず練習がてらT-SQUAREのコピーでもしてみようかなぁ。
あ、EWIでやれって言わないで!

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