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あの時感じることが出来なかった、ワクワクを感じたできごと。

一昨日、「やったぁ。今年の剪定、終わりっ!」と、柿の剪定を終え、ホッとする間もなく、昨日、言い渡されたのは、夫が焦っていた、山椒の苗木植え。


私が剪定を終えたのをちょうどいいことに、息子とふたり、「苗木植えをやってくれ」という。

焦るのも無理もない。

購入した苗木を、仮植え(10本ずつの束になった苗木を、土に植えて保存しておくこと)して、もう2週間ほどたつ。

10日ほど前に義父が亡くなって、てんやわんやで、手つかずだったのだ。


およそ、20年ぶりの山椒の苗木植え。

はっきり言って気乗りしなかった。

とにかく疲れて疲弊したことを覚えている。

あれほど疲れた農作業は、今までなかったのではなかろうか。


「農家はほんと大変」とかんじた農作業のひとつだった。


義父の旗振りで、ある程度の距離感を置きつつ、穴をシャベルで掘り苗木に土をかぶせて植えていった。

おまけに、今回は夫は腰が悪くてとうてい無理だし、ユンボを使って畑の整地をしているという。


「これでお前の生活安定や!」との夫の言葉に、息子は意外と乗り気。


もちろん、私にも「しない」という選択肢はなく、息子と一緒に、いざ山椒の苗木植えにしゅっぱーつ!


仮植えした苗木をシャベルで掘り起こし、軽トラに乗せた水を張ったバケツに入る分だけを、数十本単位で持って行くことにする。


今回、苗木を植えるのは、今回剪定の時期に、新たに柿の木を切り拓いた畑と、既に植えられている山椒の木のなかでも生が悪い、昔たんぼだった畑。
私が嫁い出来た時には、柿が埋まっていたが、元々たんぼだっただけあって、水はけが悪く、良い柿はできずに、20年前に山椒畑に変わった畑だ。


いざ、前もって夫が山椒を植えるところに目印に棒をたてたところに、スコップや鍬で穴を掘り、山椒の苗を植えていく。



4,50cm穴を掘り、山椒の苗をたて、土をかぶせ足で踏み固めると終了!


2つ、3つ苗をたてていくと、既にヘロヘロ・・・。


あの時は、もっと作業が捗った気がしたけどなぁ。

今回は、キモチ丁寧に作業をしているせいだろうか。


いやいや・・・20年前だと私当時30代・・・。


当たり前かぁ。


だけども、作業の合間に一休みしながら感じたワクワク感。


植えた苗が根付いて、根を張り、今ある山椒のように大きくなったら・・・。


想像するだけで、ワクワクする。


それに、身体を動かすことによって感じる気持ちの良い汗。


「うまくいけば痩せるかも」とまで思う位、余裕はなかったなぁ。あの時は・・・。


ふと向こうに目をやると、息子がものすごいスピードで作業を進めている。

初体験の苗木植えに「ひぃーっ」と、雄たけびを上げながら。

お昼には、「さいあく、次の日まで作業、かかってもいい?」と、あまりにも体力を消耗するので、二日がかりの作業を覚悟していたが、全数量100本を、ふたりで植え切った。

夫も義父が注文してくれた山椒の苗木を無駄にしたくないと言っていたから、ほんと良かった。


息子にとって初体験の苗木植えといえども、25歳身長190cmの彼にはかなわない。

「母ちゃんは、倍以上の年齢やから、君の半分くらいしか出来ひんよ」と、言った通り、一日を終えると息子の半分くらいしか作業が出来なかった。


夫がユンボで悠々と畑の整地の続きをしていたのは、苗木をふたりで全部植え切るだろうとにらんでいたのだろう。

三人ですれば早く終われるのに・・・と、思ったりもしたけれど、まぁ畑の整地も大事だ・・・。


帰りの軽トラで、「おれ、今日体重3kgくらい、痩せてるかも!」と、親の私ならわたしもそうだけど、息子も同じことを考えていたようで、嬉しそうに言ってた。


「さぁ、これで君の今後だけではなく、母ちゃんの老後も安泰やね!」というと、「ウへへへ」と何とも言えない返事がかえってきた。


ちなみに、山椒の木の寿命はもって20年ほどだという。
うちにある2千本ほどの山椒の木は、既に寿命を迎えているせいか、実の付きが悪い木もあるし、山椒は枯れやすいので、途中枯れた木もあるし、これから、寿命をむかえる木もバタバタとでてきて、山椒の木の植え替えを順次していかなければならない。


一年の農作業の合間を縫って、数十本単位、百本単位の植え替え作業が待っているので、はたまた精魂尽きる思いをしなければならないことは、想像に難しくない。


だけど、枯れやすく、寿命の短い山椒の木とちがって、何年でもその場所に滞在する柿の木を育てていると、義父はじめ先代の苦労が伝わってくる。


義父もやはり同じくして、みかんを伐採して、柿の苗木を植えて増やしていったと聞く。(夫も一緒にしたらしいが)

みかん主体の農家のときにも、今なお残っている初代の方(夫は4代目)が植えた柿も育てていたというから、農業はかたちある命を後世に残していける尊い仕事だとかんじる。


もちろん、栽培する作物がまるっきり違うものになれば別だけど、「産地」のものを作れば、その可能性は大きい。

とはいえ、うちも柿を後世に残せるか分からない。

うちが昔、「ミカン農家」から「柿農家」に変わったように、時代の流れや作物の価格によって変わっていくかもしれない。

たとえば、次は「山椒農家」だとか。

ご近所さんだと、「ぶどう」を作っていらっしゃる農家も多い。


だけど、とりあえず、今植え付けた山椒が、もし無事に大きくなったら、その時は「この辺りの山椒は、ばあちゃんが植えたんだよ」と、孫に・・・。


そんなことを妄想すると、ワクワクが止まらない・・・。


いや、そこまで欲張ってはダメだな。


まずは、25歳息子が結婚できるかどうかも分からないのに(笑)


今日は、植えた山椒の根にうまく水分が行き届くだろうタイミングで、一日中雨だった。
植えた山椒全部が根付くとも限らないけど、大きくなるといいな。

夫が颯爽と乗りこなす中古で買った愛車(ユンボ)。
おかげで、畑や農道の整備が捗るようになった。

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