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211 日東駒専


はじめに

日本大学ラグビー部の違法薬物の使用及び所持に関するニュースは、日大を受験しようと考えていた多くの学生の期待を裏切るものとなりました。また、倍率の変動が予想されるとともに、偏差値が下がる懸念などもされています。それだけではありません。経営陣のハラスメント問題や脱税問題など教育機関の責任者としてあるまじき行為も明らかになってきています。
さて、このイメージダウンが今後の倍率等にどの程度影響してくるのかを今日の教育コラムでは少しお話してみたいと思います。

日東駒専

日東駒専とは、日本大学、東洋大学・駒澤大学・専修大学の都内の私立大学の4大学の頭文字をとったものです。大学受験を考えている人たちにとっては、国公立大学や早慶上智・GMARCHに次ぐポジションに位置する中堅私大グループとして広く認識されています。
その一角として位置づいているのが、日本最大級の総合大学である日本大学となるわけです。次に各大学の特色をごく簡単にまとめてみます。

【日本大学】
日本大学は、自主創造という教育理念に基づき、多様な学問分野に対応する総合大学で、少人数のきめ細かな指導が特徴です。

【東洋大学】
東洋大学は、哲学教育に力を入れ、自分自身で考える力の育成を目指している大学です。国際化にも力を入れており、留学支援や語学力強化などのプログラムが充実しているのも特徴です。

【駒澤大学】
「全学共通科目」には、教養教育科目、宗教教育科目、外国語科目、保健体育科目の4つの科目群があり、分野横断的な知識と広い視野を身に付けることができます。また、学生には将来の目標を持ち、知識や能力を高める意欲が求められます。

【専修大学】
専修大学は、社会・人文科学系の総合大学として、日本でも屈指の伝統を誇る大学です。また、5つの図書館があり、全体で198万冊の蔵書があり、学生の学びを支える環境も充実しています。

こうした中堅大学の上位に位置しているのが、「MARCH」と呼ばれる私立大学です。具体的には、明治大学(M)、青山学院大学(A)、立教大学(R)、中央大学(C)、法政大学(H)の頭文字を取った言葉となります。
関東地方にキャンパスを構えるこの5つの私立総合大学は、知名度も高く歴史もある日本の名門大学と言えます。
日東駒専の偏差値が約50~70に対して、MARCHは60~75とされています。入学試験の難易度も倍率もかなり違ってきますので、こうした点からも日東駒専は中堅どころとよく言われます。

スキャンダルに惑わされるな

日大のスキャンダルは、理事長の不祥事以前にも日大タックル事件などここ数年続いています。そのため、国から大学への補助金もほぼ全額カットとなっています。
こうした事態に対応するために新たな理事長、学長などが就任しましたが学生の薬物使用と学校の隠ぺいが明らかになりました。これに伴い、倍率が低くなるのであれば、日大への受験を逆に考えるという人が増えているなどといううわさが一部で広がっています。
前回の不祥事の際に激減から激増へと変動した事例もありますが、基本的にそうした倍率的な思考を強く持ちすぎて受験校を決めるというのはうまくいかないことが多いように思います。
どの学部のどの分野で何を学ぶかがしっかり定まっていないと、入学してからの日々に影響します。受験方法によっては、すでに受験手続が完了している時期かと思いますので、そうした人たちにとっては、日大の不祥事がこれ以上相次ぎ、入学後の学校生活や卒業後の大学のブランド力の低下につながらないことを願うばかりかと思います。

ガバナンス

ガバナンスとは、組織の所有者が組織行動を制御するための仕組みを指します。 今回の日大の不祥事をみていると、組織が目的達成に向けて適切に行動するという点においていくつもの誤りがあります。
長期的に安定した教育を学生に提供するためには、人材の維持・教育理念の存続・学ぶ環境の発展を可能にしていかなければなりません。
そのために、経営陣は教育者としての感覚を忘れずに統治・支配行動を法にのっとり行動していく必要があるのです。
学祖である山田顕義氏が明治22年(1889年)に創立した日本法律学校を前身とする日本大学は、国内最大規模の学校法人として独自性を発揮し、ここまで発展してきました。法による社会秩序の維持の大切さを今まさに見つめ返すことこそ、日本法律学校を前身とする日大が、健全なガバナンスを取り戻す上で重要な視点ではないでしょうか。

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