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206 新嘗祭(にいなめさい)


はじめに

今日は、勤労感謝の日のため祝日でした。勤労感謝という名でよばれるようになったのは戦後のことという話を聞いたことがあります。
もともとは、新嘗祭と呼ばれる宮中の行事が行われる日とされていたことは、日本書紀の記載を見ていくとわかります。つまり、大変に古くからある行事での一つというわけです。
今日の教育コラムでは、11月23日の勤労感謝の日についてではなく、新嘗祭と呼ばれる日本古来の行事についてお話してみたいと思います。

新嘗祭とは

宮中の年中行事の中でも重要なもの、それが新嘗祭となります。新嘗祭とは、豊作に感謝し、来年も豊作になるように願う収穫祭のようなものという印象を受けますが、少し違います。
神宮の中心で、最高峰とされるのが伊勢神宮なわけですが、伊勢神宮で年間に1500回に及び行われる恒例のお祭りの中でも、最も重要なお祭りとしているのが新嘗祭なのです。
その年に収穫された新穀を最初に天照大御神にささげて、御恵みに感謝する新嘗祭は、それ単体で行われているというよりもむしろ神宮の年間の祭典は神嘗祭を中心に行われているといっても過言ではなのです。

伊勢神宮

日本の神宮と言えば、伊勢神宮となるわけですが、伊勢神宮には内宮(ないくう)と外宮(げくう)があります。内宮(ないくう)は正式には皇大神宮(こうたいじんぐう)とよび、外宮は豊受大神宮(とようけだいじんぐう)と呼びます。
中心は、やはり天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祭っている内宮になります。なんと御神体は、あの三種の神器で有名な八咫鏡(やたのかがみ)です。
天照大御神とは、皇室の御祖先の神であり、私たち日本人の総氏神という位置づけです。そして、その天照大御神の食事を司るのが、外宮の御祭神である豊受大御神(とようけのおおみかみ)となるのです。豊受大御神は神衣食住を始めすべての産業の守り神とされています。
全国には、約8万社の神社がありますが、伊勢神宮はその中でも最大の聖域であり全国の神社の中でも格別のお宮とされているのです。

2000年の歴史

伊勢神宮のホームページを見てもわかるように、神宮で最も古い由緒をもち、天皇陛下の大御心を体して、天照大御神に新穀を奉り収穫の感謝を捧げる祭典と位置付けられているのが新嘗祭なわけです。
古来から日本人は「米」というものを主食として、また、国力の象徴として扱ってきました。また、天候や災害に左右されやすい米の生産に対して、で豊作への願いを片時も忘れずにいるために、自然や神々への感謝を祭事というかたちで可視化してきたわけです。
2000年という歴史の中で受け継がれてきた日本の伝統の核心が実は、新嘗祭というものに込められているのではないでしょうか。日本の伝統や文化を知るためにも、新嘗祭を知っておくのもいいのかもしれません。


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