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マンゴーの完全水耕栽培は可能か?【完結】

最終更新:2023/7/29
twitter消滅に備えて色々な記事を書き換えてますが、そもそもの企画からtwitterの存在が前提なのでこの記事は放置します。

軽くまとめておくと、マンゴーの完全水耕栽培は出来なくはなさそうですが家庭菜園ではオススメできないですね。マンゴーの【根】はかなり水没に強いですが、緑枝の水没は枯れる原因になるので避けましょう。  以上。


↓ 以下、暇すぎて眠れない人向け ↓

どうも、マンゴー好きのおじさんです。
突然ですが皆さん、マンゴーの種って見たことありますか?
実はマンゴーは種から育てることが出来るんですよ。


始めに

この記事は私の日記帳です。


皆さんはnoteで記事を書いているでしょうか?
リアルな日記帳と違って誤字脱字の修正ができ、適宜情報を更新できます。
しかし、この【後から修正・更新できる】というのは逆に、

「その時点で自分が何を考えていたか」を記録する点でちと弱い…

そこで現在、タイムスタンプ的にTwitterを使っているのですが、ツイート数が増えるにしたがって後から確認するのが困難になってきました。

その解決策として、ツイートした内容をnoteに随時追加していき、継ぎ足し継ぎ足しでピサの斜塔のような記事を作ることにしました。

一般的なマンゴーの水耕栽培

「 マンゴー 水耕栽培 」で検索をかけると丁寧な記事がHITすると思うので詳細は省きますが、私が実際に行った方法を軽く紹介すると…

種から芽出し
ある程度成長
土耕に変更
活着した姿

と、いった感じで、水耕→土耕に移行するのが一般的かと思います。私の検索能力ではマンゴーの完全な水耕栽培を見つけられませんでした。

マンゴーの完全水耕栽培は可能か?

ということでタイトル回収です。一般的には水耕→土耕と栽培方法を変えるところを、どれだけ水耕のまま引っ張れるのか?というのが今回の試み。
マンゴーを食べた副産物の種を使うので、懐にやさしい実験ですね。

マンゴーは根域の温度を調整すると花芽分化・収穫時期のコントロールができるらしいので、水耕栽培が可能ならいろいろ面白いことが出来そうです。

我が家で収穫した貴妃マンゴーの種も実験に参加

水耕で越冬は不可能と思っていたが、しかし。

正直なところ、水耕では冬季の水温低下で枯れてしまうだろうと考えていました。マンゴーの水耕栽培を行っている場所は、冷暖房のない部屋の窓際なので、日本の四季を肌で感じる夏暑く冬寒いという北薩スタンダード仕様。

一応、窓の冷気を防ぐためにプチプチを使ったりしていますが…

室温1.7℃!
水温は4℃!(斜め上からの写真なので5℃に見えますが)

流石にこんな低温に遭遇したら枯れても仕方ないと思っていたのですが。

無事越冬した実生マンゴーたち。暖かくなって新芽も出てきている。

水替えをせずに、秘伝のタレのように水と液肥を適宜加えているので藻が発生しておりますが、この状態でも枯れる様子はなし。強い。

根腐れではなく幹腐れ?

※ここから特に写真が汚くなりますのであらかじめご容赦ください。

毎日様子を観察していると、一本のマンゴーに枯れそうな兆候が!

経験上、こういった枝にハリがなくなったものは枯れる。

当初、水温上昇→水質の悪化→水の腐敗→根腐れという流れかと考えていたのですが、そうすると他のマンゴーも枯れるはずなので、別の理由があるのでは?と考えました。

水が濁ったり、藻が生えて緑色になっても元気な他のマンゴーたち。
一つの可能性として、根は水没に強くても、幹・枝が水没しているとダメなのでは?

枯れている/いないで何かしらの原因があるはずなので、完全水耕栽培を目指すにはその原因の特定が必要になってくるはず。私なりに推察すると

①枝が水没、腐敗して維管束が機能不全を起こして枯れた。
②際立って水質が悪化していたので、枯れた。
③実生なので遺伝的な弱さが発現し、枯れた。
④モンパ病菌などの病原菌が侵入し、枯れた。

こんな感じでしょうかね?

ちょうど多胚珠のマンゴーも育てていたので、そこから株を分けて実生キーツが枯れたペットボトルの水で育ててみることに。これで枯れなければ②と④は枯れた原因から除外できるはず。

とりあえず九月まで枯れなければ水耕栽培一周年なので、そこまでは元気に育ってほしいところ。次の試練は熱帯夜連発の猛暑に耐えられるかですかね~ 何か面白い変化があったら追記していくつもりです。


2022年7月追記

各地で6月としては異例の暑さを記録していましたが、鹿児島の暑さも例外ではなく、室温30℃越えが当たり前になってきました。

そして水耕栽培マンゴーにも変化が…

新たにケントの実生脱落

気温上昇からの水温上昇により、水の中に溶けている酸素が減っている可能性がありますが、元気なものもあるので比較してみます。

左が枯れた実生ケント、真ん中が元気な実生玉文、
右が実生キーツの枯れたペットボトルに移動した実生チョカナン
1か月近く枯れていないので、キーツに関しては茎腐が原因の可能性が高い。
透明な方が水温34℃
濁った方が水温32℃

謎の水温差が発生…透明な方は直射日光が液溜りに当たって温度が高くでたのでしょうか?
濁っている方は室温30℃に対して濁った水が太陽光を吸収して温度が高くなっていると予想。

更に室温が上昇して34℃の時透明な方が37℃に
濁った方は38℃

窓の位置的にこの時間帯が水温のピークになりそうですが、思ったほど温度差は出ていない様子。これが50℃くらいになっていたら水温が上がりすぎたのが枯れた原因と考えられるのですが…

水温が高くなっても発根している

40℃近い水温になっても根の成長が止まる様子はない。
ペットボトル内に見られる気泡。藻が光合成をして酸素を供給している。

水温の上昇そのものより水質、酸素量の著しい低下がマンゴーを枯らす原因になりそうですね。

どんどん脱落してゆく…

ある程度傾向は掴んできたので、一周年まで耐えてほしいですね。

7月26日追記&水耕栽培一時中止

連日暑い日が続きますが、水耕栽培のマンゴーの中には新芽を伸ばす個体も

条件が揃えば成長する模様
成長しているのは実生リペンスで、水質良好。

水質の急激な変化も「良い変化」なら問題ない可能性

液肥の加減などで藻が一気に成長して、赤潮のように酸欠になると水質悪化が急速に進み、マンゴーの調子が崩れるのは観察していてわかったので、枯れそうな個体の水を水道水に全量入れ変えて様子をみました。

水質悪化が進んだため水を入れ替えたもの
新しい細根が確認できる。
かなりのダメージを負っているが、踏みとどまれるか…

一年で一区切りする予定でしたが、諸事情により前倒しにしました。
緊急で水を入れ変えたものがどうなったかというと…

ギリギリセーフだった様子
発根量が増えているのを確認!

ここまでの観察により、水温4~40℃の範囲で根の生育が確認できました。

マンゴーの根にとって理想の水温については不明ですが、マンゴーの根が枯れる原因としては、酸素量・水の腐敗による何らかの有害物質の影響が考えられますね。高温期は特に水質悪化を起こしやすいので、こまめに水を変えてやる必要がありそうです。

株分けしたチョカナンを見る限りでは株が大きい程蒸散量が増え、要求する水の量が多くなり、水質悪化の影響を受けやすい傾向があったので、ある程度の大きさ以上に成長したらエアレーションを行って酸素供給するのが無難ですかね。

11月7日追記&越冬体制

2023年7月15日追記

久々の追記です。
ながいことほったらかしていたので水耕栽培のまとめまでしておきます。

本来の目的とは違いますが、水耕で一度冬を越した苗を土耕に変えて冬越しさせています。野外だと日射量や寒暖差が室内より激しくなるが、さて…?

↓追試的に行った新規苗の倉庫内での低光量・水耕の越冬は成功しました。

↑ ただし低光量水耕越冬したものは急に外に出すと葉焼けしますね。

色々ありましたが、水耕→土耕栽培組の大多数が越冬に成功しました。ただし、例外もありました。この例外から水耕栽培の優位性について考えていきたいと思います。長くなりそうなので先に書いておくと、水を張っておけば水切れで枯れることはないことが一つの優位点になると思います。

成長を阻害していた方が耐候性が上がる。

別の記事(↑)と被る部分がありますが、越冬という極度のストレス環境を乗り越えるには、ある程度のストレス環境において耐性を高め、成長を抑制しておくのが有効です。

かなり乾燥した環境で観察

まず、マンゴーの乾燥ストレスに対する強さが見て取れますね。

そこに低日射ストレスを更に加えて越冬に備えます。寒暖差は軽減されるのでそれはプラスに作用します。

結果はこちら。2か月放置してましたが、結構生き残ってますね。

アーウィン実生初代のアミが無残な姿に。他の株よりも地上に出ている部分が多く乾燥が激しすぎたのが原因でしょう。

単胚珠の実生は特性がランダム

枯れたのは確かケントの実生苗

こちらは第四ハウスで適宜水をやっていたのに枯れた苗が発生しました。日照変化+寒暖差に耐えられなかったんでしょうか。環境変化に弱めなチョカナンよりも弱いとは。台木としてはやはり多胚珠で素性の知れた土マンゴーなんかが優れているでしょうね。

越冬だけさせるなら、低光量・温度差小・適宜潅水が望ましいですかね。
ただし、花芽の分化には休眠中の日照を確保しないといけないので、実を収穫するのは苗を越冬させるより難易度が上がります。

北薩スタイル

乾燥させたり水没させたり横にしたり縦にしたり斜めにしたりと3年ほどマンゴーの特性を観察した結果、マンゴーの水耕栽培は可能だという結論に達しました。『どういうアドバンテージがあって水耕にするん?』というと、それは栽培者の創意工夫ですね。

マンゴーを擬人化して例えると?

めちゃくちゃ頑張り屋ですね。ただし、NG行動をとると拗ねる感じ。水をじゃぶじゃぶ上げていたのを急にストップしたり、暖かくなってきたところで急に寒波が来たりすると一気に「生きるのやーめた」みたいなムーブをとります。

あれですね、勉強しようとしてる所で親が『勉強しなさい』とか言ってきてブチ切れるタイプというか。本人が自由にできる環境だと大木に育つ感じ。アメと鞭によるフラストレーションがおいしいマンゴーの実に変わります。

樹上完熟を狙う場合、収穫時期を引っ張ると樹が衰弱して良くて隔年結果、悪くすると衰弱枯死します。結果を出したら、褒めて(剪定・お礼肥え等)やらねばマンゴーは育たじ。

尊い犠牲

とりあえず完結

マンゴーの品種ごとの性格の違いなんかもだいぶ掴んできました。ただ、それぞれのポテンシャルを日本で引き出したいなら1に施設2に施設3、4がなくて5に施設。という感じですね。水耕栽培にしてもある程度の面積になって初めて意味を持つかな、と。

これ以上更新することもないのでここらへんで完結ということにします。



ここまで読んでいただきありがとうございました。


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