天上の葦:太田愛:熱量、凄い

「天上の葦 上」「天上の葦 下」(044,045/2020年)

太田愛、初読。上下1,000ページ、ずっと熱い。正直、疲れる。読者に対して厳しい。これでもか、これえでもかと攻めてくる。でも、敢えてやっているんだろう。下巻でも、あの歴史的事実に関する言及の熱さには、驚いた。そこまで書くか、そんなに書く必要があるのか。

でも、必要だから書いたのだと思う。物語を展開させるだけならば、あの四分の一もあれば十分だろう。でも、あの熱量にねじ伏せられる読書体験は、なかなか痺れるので、こんな時期、時間、あるでしょ?オススメします。

事の始まりは、とあるニュース映像。渋谷スクランブル交差点で、突如、老人が倒れて、死んだ。その事件の謎の解明の依頼が超大物政治家から飛び込んでくる。それと同時期に、公安警察官が失踪した。その捜索を命じられる閑職の刑事。

この2つの流れが合流して、物語は瀬戸内海の小さな島に流れつく。そこまで一気に進んだ事件は、島のおだやかな時間にスローダウン。しかし、その島で、この事件の大きな闇が。そして、テレビの新番組のニュースショウとの絡みも。

話との落としどころを全く見せないまま読者を引っ張り続ける筆力と熱量を堪能してほしいものです。


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