死んでもいい:櫛木理宇:切ない

「死んでもいい」(078/2020年)

短編6作品。やっぱ表題「死んでもいい」が衝撃的でした。

そこなのか、真相は、という切なさ。

震えました。

その他5作品も人間の闇の部分をさらけ出すものばかり。ママ友の輪を乱す異端児(ママ)が登場したり、少年時代の苦い思い出の真相に気が付いたり、盗み癖から抜け出せなかったり。幸せから徐々に離れていく生き方しか出来ない不器用な人たち。もし、自分がこういう生き方しか出来なかったら、どうだろうか。切なすぎる。悪意があるのではない。気が付かないうちに暗部に足を踏み入れてしまう。

ただ「からたねおがたま」だけは踏み入れる直前でギリギリ回避される。止めてくれた人がいたのだ。そう、人との出会いで救われる。僕が今まで問題無く生きてこれたのは、自分の力ではなく、人との出会いの積み重ねだったんでしょう。

それにしても、切ない作品集でした。ちょっと辛いですが、オススメです。

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