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小説空海 最勝王:服部真澄:仏教というツール

「小説空海 最勝王」(141,142/2021年)

空海、教科書で最澄とセットで出てき記憶が…程度の知識で読み始めました。奈良時代から平安時代の物語です。空海が空海になるまでの物語です。地方から都に上って来て、勉学に励むうちに仏教を志すようになり、僧侶になり、そして兼ねてからの夢だった唐に渡ります。

唐に滞在中のシーンはありません。唐への行き帰りのシーンもありません。なぜそこをカットしたのでしょうか。その作者の意図を聞いてみたいですね。ま、そこを書いたら上・中・下の超長編になってしまいますが。唐が書かれていないので、日本のことがよく分かる内容になっています。四国、土佐へ向かう旅の描写とかは、この時代が想像以上に進んでいたかもしれないという気持ちを掻き立てます。

仏教とは統治するためのルールブック、いやノウハウ本に近かったのかもしれません。儒教は理論的なノウハウ、仏教は心理的アプローチから導かれるノウハウなのかも。大陸と言う最先端の場所からやってきた考え方は、当時の支配層にとっては物凄い武器だったのでしょう。

と考えると、世界はそろそろ宗教の次のノウハウ本が必要なのかもしれません。資本主義も民主主義も行き詰っている感じ満載の今の時代に、誰かが何かを発明するのでしょう。

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