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映画レビュー:五十三本目「ともしび」



一年、空いてしまいましたね。
何本か観ていましたが、今観終わった作品について。

「さざなみ」が各国で絶賛されたこともあり、その前に制作された同じくシャーロット・ランプリング主演作「ともしび」が観たいなぁ…と思っていたら、終了寸前のGYAO!に入っていて、しかも2時間後に配信終了!と知って慌てて鑑賞。

年老いた夫婦。
妻、アンナは家政婦。
夜には舞台のワークショップへ。
ある日、夫は監獄へ。
冷静に見送る妻。
「幼い我が子に、あんなことを!」と怒鳴りに来る女性。
息子は電話に出ない。
飼い犬は何も食べない。
孫に会えないアンナ。
見つけるアンナ。
伝えるアンナ。
何かの覚悟を決めるアンナ。

何が起きて、どうなって、どう終わってゆくのか。
その、ほぼ全てが観客の捉え方に委ねられる。
全部を表現し尽くす、シャーロット・ランプリングの表情。
仕える家庭の、盲目の少年との肌感での遣り取り。
それの、懐かなくなる飼い犬との対比。
夫の、息子への憎悪。
それに釘指す暴露。

「さざなみ」では「何故、前妻は消えたのか?」が明かされるシーンでホラーやサスペンス並みの恐ろしさが提示されたのに比べ、ここでは夫に関して何一つ説明されない。
観終わってから、あれこれ考えて、寒気が走る作り。

今作もまた、「さざなみ」同様、打撲痕のような微妙に重い痛みを感じました。

また機会があれば、是非。

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